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〈読書メモ〉熱帯/森見登美彦

〈あらすじ〉

汝にかかわりなきことを語るなかれ――。そんな謎めいた警句から始まる一冊の本『熱帯』。
この本に惹かれ、探し求める作家の森見登美彦氏はある日、奇妙な催し「沈黙読書会」でこの本の秘密を知る女性と出会う。そこで彼女が口にしたセリフ「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」、この言葉の真意とは?
秘密を解き明かすべく集結した「学団」メンバーに神出鬼没の古本屋台「暴夜書房」、鍵を握る飴色のカードボックスと「部屋の中の部屋」……。
幻の本をめぐる冒険はいつしか妄想の大海原を駆けめぐり、謎の源流へ!

我ながら呆れるような怪作である――森見登美彦


〈感想〉

通勤時間のお供に手に取った本。
この本を読んでいる時間は「通勤時間」ではなく、「熱帯」という世界に閉じ込められていたようだ。
全意識をこの本に吸い取られないように、でも見えない熱帯への物語の扉を開きたいという好奇心の狭間で踏ん張っていた私だ。


地下迷宮にのめり込むように次々扉を開き、
人と巡り巡って。
何時しか迷宮の舵をその人に任せて
最初の語りてから続いた珍妙なお伽噺がやがてその人の断片的なものを繋げる線となり
その人が正しい道の進み方と扉の閉じ方を知り
1つ一つ思い出をなぞりながら扉を締めて
最後に扉が閉まって

また新たな物語が始まる

…はて、最初に出会った彼は何処に行ったのか。彼もまた“彼”だったのか?

姿かたちを変えて熱帯は語り継がれる。

私がその本を手に取るのはいつになるのだろう。

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