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【読書ログ】これを読めばもっとサッカーがわかる!サッカー戦術の教科書(著者:小澤一郎)


今回の本はこちら

サッカー戦術の教科書 プレーモデルが試合を決める
著者:小澤一郎

まさに”教科書”

タイトルに偽りなし。本書はまさに教科書的に使うことができるものだと思いました。

教科書とは、学ぶべきことや知っておくべきことが書かれているもので、基礎の理解に役立ちます。また、演習問題を解いている時にわからないことがあれば、教科書に戻って理解を深めることもできます。

本書には、サッカーの試合を進めていく上で必要な考え方や知識が詰め込まれているので、わからないことがあれば「あれなんだっけ」と何度も教科書のように読み返して役立てることができます

例えばあなたがサイドバックならどうする?

例えば、あなたはサイドバックでプレーしていて、チームはこんな感じで攻めたり守ったりします、じゃあ頑張ってね。と急に言われたら何をしていいかわからないじゃないですか。

そのとき本書を読めば、サイドバックはこの状況ではこういうことを考えて(または気をつけて)プレーすればいいのね、とその役割を理解することができます。

各ポジションの役割が細かく書いてあるわけではないのですが、チーム全体がやりたいことを達成するために、どういうことが必要なのかというのがわかるようになっています。

プレー経験のない人こそ読むと面白い

私はサッカー観戦歴は長いのですが、プレー経験はありません。

だから、見た現象(プレー)に対して、あそこはああすべきだったよね的な話はできますが、あのポジションの役割は、とか、あの瞬間選手は何を見るべきでどう判断しているのかというところがわかりません。

著者の小澤さんは、「この状況ならこのポジションの〇〇選手は〇〇を狙っています」と各選手の狙いや与えられているタスクも解説してくれるので、見ているだけではわからない部分も知ることができます。

狙いまでわかって試合を見られるようになれば、もっと観戦が楽しく、奥深いものになりますね。

プレーモデルによって行動が決まっている

本書のサブタイトルに「プレーモデル」という言葉がありますが、著者は以下のように定義しています。

戦術に関わる重要なキーワードとして「プレーモデル」という言葉があります。「我々のクラブは、こういうサッカーをします」という宣言のようなものです。
(中略)会社ならば経営計画があり、(中略)学校ならば教育方針になるでしょうが、サッカーにおいてはプレーモデルが最も大事な約束事になります。

サッカー戦術の教科書 P13

また、攻撃時、守備時のプレーモデルとして、それぞれ2つの形があることも書かれています。

攻撃のプレーモデルは大きくわけて「保持型」と「カウンター型の2つがあります。

 サッカー戦術の教科書 P18

攻撃に保持型とカウンター型があるように、守備にも「ハイプレス型」と「リトリート型」の2つに大別されます。(中略)トップチームでは2つを組み合わせたハイブリット型が増えています。

サッカー戦術の教科書 P82

攻撃時の役割について多くのページが割かれていましたが、

  • 保持型のビルドアップで大切なことは数的有利を作りながらのパス交換です

  • カウンター型ならフィニッシュにつながるラストパスを狙います

  • ハイプレス型の守備なら相手の選択肢を奪うことを優先して強くアプローチをかけます

という風に状況に応じて、各プレーモデルの約束事や目指すべき形が解説されています。

正直一度読んだだけでは覚えることも理解することも難しかったのですが、プロの選手や監督、そして解説者たちはこれらのことを頭に入れてサッカーをしてる(見てる)のかと思うと、その凄さを実感することができました。

とにかく細かい説明

序盤では保持型のビルドアップについて細かく書いてありますが、なんと可変システムについて7種類も紹介されています。

読めば確かにそういうの見たことあるとなるものが多いのですが、4バックから3バックを形成するにしても、センターバック2人+ボランチ1人とセンターバック2人+サイドバック1人では、何が違って何が良いのかが解説されています。

またそれぞれの難易度にも触れてあり、だからこの形はあのチームのあの選手でないとできないのかと知ることができました。

フィニッシュ(シュートにつながるシーン)の解説部分では、中央突破からは5種類、サイド攻撃からのフィニッシュは4種類あるそうなのですが、これらについても選手の動き方や意識すべきポイントがまとめられています。こちらも9パターンもあるんですね。

動画による解説付き

本書は、たくさんのQRコードが載っているのですが、動画での解説を見る・聞くことができます。YouTubeで発信をしている小澤さんならではですね。

普段見ている方はお分かりかと思いますが、いつものように戦術ボードを使いながら、選手がどのように動くのかを解説してくれます。

サッカーは動きのあるスポーツですから、どうしても文字やイラストだけでは理解しづらい部分がありますが、動画解説もあるのはありがたいですし、実際わかりやすかったです。

また、一番最後に過去のエル・クラシコ動画を使った解説もあります。

本で書かれていることが実際のゲームの中で視覚的に説明があるのは良さに加えて、バルサ黄金期の選手たちのプレーが見れるのも良い点だと思います。シャビ、イニエスタもいました。

パソコンで試合映像、タブレットで小澤さんの解説動画を見てるとこんな感じになります笑

育成年代について

最後に育成年代についても触れられていましたが、個人的には一番刺さった部分です。

  • 日本サッカーはフィジカル優位な子供ばかりが活躍してしまうこと

  • 戦術の浸透が不十分であること

  • マルチスポーツを楽しむこと

  • スポーツを通して知的に成長すること

教育に関心のある私、部活動のあり方に疑問をもつ私としては、この辺りは特に海外文化から学ぶべきことが多いのだと思います。

プロサッカーだけでなく、育成年代にも精通している小澤さんならではの観点だと思いますし、非常に勉強になった部分です。

終わりに

最初にも書きましたが、この本は繰り返し読むことで知識や理解を定着させるのにとても良い本だと思います。

私は図書館で借りて読みましたが、購入しても良いなと思っています。

すこしでも興味を持ってくださった方は手に取ってみてください。

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