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基本が大事!


<畑の哲学>基本が大事!

農家が自然農の本を読むと決まってこう言う。
「こんなんで育つわけがないだろう」と。

それもそのはずだ。基本中の基本しか載っていないからだ。
当たり前だが肥料や農薬の記載はないし、資材の使い方も載っていない。
書いてあることはタネ蒔きのことくらいで、草刈りの方法や耕し方なんかもほとんど載っていない。

農法と言っても特別なものでもないし、オリジナリティーのあるもの少ない。
「基本中の基本」としか言いようのないことしか書いていない。

そして、プロの農家が試してもうまく育つわけがなく、そして初心者が試してもうまく育たない。
それもそのはずなのだ。
土ができて、畑ができて、植物のことを理解できるようになった人だけが基本中の基本だけで実践が可能になるのだから。

つまり、本に書いてあるのは著者の畑で、著者だからこそできる方法なのである。

これはオリジナルの農法を編み出して、それを売り文句に講習会を開いている人たちにも言える。
適正な栽培方法は風土(土質や気候、環境など)と植物と栽培者が調和することで生まれるものなのだから、
それがまるで違う人たちが真似して、同じような成果が出るわけがない。

しかし、残念なことにこの資本主義の経済社会ではオリジナリティーが求められる。特にそれで有名になりたいとか、儲けるようになりたいと考える人にとっては。
「その人だけの農法」であればあるほど、人は食いつくし、お金を払ってまで聞きたいと思う。

しかし残念なことに「その人だけの農法」であればあるほど、他人には真似できないし、真似できても成果が出ない。逆にそのおかげで販売者のオリジナリティーは担保されてしまう。簡単にできてしまえば、オリジナリティーもクソもないから。

最近は執筆の依頼を受けるのだが、そのときもやはり「中尾さんだけの農法を教えてください」という趣旨のことばかりお願いされる。そうでなければ売れないのだから、仕方ないのだが。。。

私のところに相談に来る人たちの9割はそういう商法にハマってしまった人たちである。
誰にも「基本中の基本」を教わることなく、目先の流行りモノに飛びついてしまったがために、形無し状態で畑も頭の中も荒れてしまっている。

彼らの畑を見るといつも「誰か基礎を教える人間はいないのか・・・」と安西先生の気持ちになる。

私の1日講座でも、連続講座でも「基本中の基本」ばかりしか教えない。
にも関わらず、誰もが初めて知ったことばかりだと感想を漏らす。
もちろん目先の流行りモノが好きな人は来ない。だから、いつまで経ってもできないままなのだが。

土のこと、微生物のこと、雑草のこと、観察のこと、草刈りのこと、耕すこと。
気候のこと、雨のこと、タネのこと、獣のこと、森のこと。
基本中の基本のことが分かれば、自然と生き物は育まれる。何事も「基本が大事だ!」

そして生物多様性の風土が整えば必ず、基本中の基本だけで十分に恵みを与えれられる。
それが自然農の面白いところ。

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