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目からビーム!19 馬糞を見て兵力を知るスパイ~機密ダダ洩れ日本

 小学校5年の担任だったS先生は戦時中、中国大陸で諜報活動をしていたという。授業中、よく当時の話をしてくれるのだが、それがすこぶる面白かった。こういうのを「生きた授業」というのだろう。
 たとえば、一般人に紛れるために拳銃はフォルスターで吊らず、いつもズボンのポケットに小型のやつを忍ばせ、いざというときはポケット越しに撃つのだそうだ。これなども子供心に、へえ~カッコいいと思って聞いていたのだが、撃ったあとの姿を想像すると……穴の開いたズボンを履くスパイというのもちょっといただけない。
 他に、よく覚えているのは、馬糞の話である。馬糞の数を見て、馬の数を知り敵兵(ゲリラ兵)の数、武器の数を知る。それを瞬時に計算するのがスパイなのだそうだ。
 日本軍のスパイとえば、誰もが思い浮かべるのが中野学校だ。S先生の口からは一度もその名称は出てこなかったが、ここの出身者だった可能性はある。中野学校卒業生は商社マンの他、教諭として派遣される者も多く、また戦後、教職につく人もいたようだ。沖縄では波照間島に教諭として赴任していた中野学校二俣分校出身者・山下虎雄こと酒井某氏が有名であろうか。彼については僕も多少調べており、いずれ書きたいと思う。
 閑話休題。自民党総裁選が終わった。安倍首相の対抗馬だった石破茂氏は出馬表明の会見で「私は防衛庁長官時代、人民解放軍の青年将校たちに機密以外の自衛隊情報をすべて見せた」と自慢げに言ってのけたという。この報道に、耳を、目を疑った人も多かったのではないか。馬糞を見て兵力を知るのがスパイである。この男、馬糞なら敵に見せても大丈夫だと思っているのだろうか。つくづく、こんな男が防衛のトップにいたという事実にゾッとするし、この男が総理大臣にならなくてよかったと本気で思う。
 明後日に控えた沖縄県知事選挙は、総裁選とはまた別の意味で日本の命運を占う選挙となることだろう。くれぐれも熟考の上にご投票を。あなたの大切な一票が巡り巡ってスパイを利することなきよう。

(初出)八重山日報

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