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誰もが熱狂する「神」フォーマットになるはずだった2020年度2ブロック及び十王編限定構築戦


2ブロック限定構築戦。

それは2018年度から公式に公認CSやグランプリ、全国大会店舗予選で採用され始めた、歴史の浅いデュエルマスターズのフォーマットの一つだ。

その概要はデュエルマスターズクリエイターズレターVol.23にて初めて公開され、


新DM編、双極編、超天編、十王編とカードプールが入れ替わりながらも現在まで楽しまれてきた。2ブロック構築が導入された1年目の時期と重なったDMGP 7thと、2days開催されたDMGP8thでは大会フォーマットとして採用され、大いに盛り上がった事は記録に残されている。

2ブロック構築の前身はブロック構築戦と呼ばれているものであり、その種類は歴史を振り返れば様々である。

筆者は今から約10年ほど前のE1期からデュエルマスターズを始めたため、見てきた限定構築戦としてはE3期・DS期・革命期・革命F期のブロック構築戦による全国大会エリア予選や殿堂0デュエル、構築済みデッキ入れ替え戦、そして今はもう忘れ去られたメガデッキデュエル7くらいなものであり、それ以前の歴史について詳しくはない。

筆者が中高生年代の頃からお世話になっている、DM:Akashic Record のこちらの記事の冒頭には詳しく記載されているので、時間がある方は読んで見てほしい。

DM史:零れた水は(GP7th/えんがわ/HARU/ ZweiLance/ dotto)

このことから2ブロックフォーマットはもともとはブロック構築と呼ばれていたものが整備されていった過程で正式に設立していったことが分かる。そしてそのブロック構築で行われた戦いの中で様々なブッ飛んだデッキがプレイヤーによって生み出されていった。

E3期 勝1グランプリ 赤青黒緑t白ビッグマナ

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DS期 デュエマ甲子園 白青緑イメンアルファディオス

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Rev期 デュエルマスターカップ ドロマー天門アダムスキー

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RevF期 革命ファイナルカップ 謎水ジョリー

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↑限定構築戦で使えるカードが限られていようとも、時代ごとに様々なブッ飛んだデッキがプレイヤーによって作り上げられていた。


そして2ブロック構築戦が登場してから3年目となる年に十王編は始まった。

個性豊かで目玉となるキングマスターを中心としながら10種類のチームと王国がせめぎ合う、過去最高に始めやすく、覚える情報量も少ない、誰でも楽しめるフォーマットになるべくして設定された2ブロックフォーマットがいよいよ動き始めたのだ。この楽しさは今年一年の間に十王編のカードを使ったプレイヤーにしか分からなかったかもしれないが、

2020年度の2ブロック構築限定戦は過去最高の限定フォーマットだった

メタゲーム的側面だけでなく、ゲームの面白さと奥深さについても。今まで行われてきた限定構築戦の歴史やノウハウの全てが活かされた、そんなフォーマットだった。

新型コロ○ウイルスの感染拡大が起こらなければ、MTGやポケモンカードのスタン制のように2ブロック構築がデュエルマスターズのメインフォーマットになる日がくるはずだったと言えるほどに。

GRという新たな外部リソースを誕生させた超天編と、十の王たるキングマスターがそれぞれのテーマ能力をぶつけ合った十王編のカードプールでの戦いは、殿堂構築(現アドバンス構築)の4cデイヤーや連ドラグナー、オカルトアンダケインといった、その時代を定義するトップメタが存在しない、様々なデッキタイプが存在する良環境だったのだ。


しかし、そんな最高に楽しいデュエルマスターズを提供することのできた、十王編のデュエルマスターズに対する世間的な評価はあまりよいものではなかった。

具体的なデータや統計を用意できるわけではないが、十王編に対するプレイヤーの印象は

・カードパワーが低く、アドバンス(殿堂フォーマット)で戦えるものが少なかった
・商品展開やその他の要因によって購買意欲が湧かなかった
・コロナ禍でのイベントの中止によるモチベーションの低下

それらしい理由についてはある程度挙げることができるが、他に不満点があるのかについては筆者はあまり思い浮かばなかった。上記のような不満を口にする人はただ何となくそう言っているだけかもしれないし、殿堂構築しか触っていない人なのかもしれない。

しかし兎にも角にも十王篇のカード達は(一部を除き)基本的に超天篇のカードパワーに届かなかったことは事実である。

しかし、1年間十王編のデュエルマスターズに付き合ってきた筆者としては今年の限定構築戦は過去に類を見ないくらい最高のフォーマットを展開していたと断言したい。とにかくやっていて楽しかったのだ。


「十王編のデュエルマスターズは失敗なんかではない、むしろ過去最高に激しく熱い戦いの場を提供していたのだ」と一プレイヤーながらに叫びたい。





前置きが長くなってしまった



このnoteでは1年を通して2ブロック構築戦で遊んでいた1プレイヤーが見てきたものや2ブロックにおけるメタ変遷を書き記したものである。また、このnoteはこのご時世に執筆されているので、必然的にコロナ禍のカードゲーマーの生活はどのようなものだったのかについての記録にもなる。

過去最高のデュエルマスターズを目指してきた十王編がこのまま忘れ去られないようにするためには、やはり誰かが戦いの記録を書き記さなければ、いや、デュエマに於いては石板に刻まなければなるまい。でなければ今年からデュエルマスターズのメインフォーマットになるはずであった2ブロック構築が報われない。

カード画像はデュエル・マスターズ、デッキ画像はデッキメーカーより引用・作成。

また、本noteは前・後編に分けてもよいくらいの文章量があるので、積み読にしたり、いいねを押して複数回に渡って読むことをおすすめします。


2020年度の2ブロック構築戦のここがすごかった


結論から言うと本来、2020年度のデュエル・マスターズはMTGやポケモンカードゲームのようなスタン制導入への転換期になるはずだった。

基本的に憶測でしかない話ではあるのだが、今年のデュエル・マスターズの施策を見ていると、なんとなくそう感じるのだ。

例えばDMPランキングのホームページを見てみるとこういったものの存在が確認できる。

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https://www.dmp-ranking.com (2021年4月5日段階)

おそらく今年のDMPランキングでは、通常のランキングとは別に殿堂構築(現アドバンス)・2ブロック構築・シールド戦で個別にポイント集計を行い、それぞれの分野での王者を生み出そうとしていた年だったのだと推測できる。

(憶測とか言ってますがソースありました。)

そのために必死こいて2ブロック環境を整備し、十王篇をスタートさせたのだろう。いつかデュエル・マスターズでスタン制が主流となる日が来ることを夢見て。その記念すべき年の初代2ブロック王者とシールド戦王者を誕生させようとしていたのだ。


また、今年の殿堂構築と2ブロックフォーマットでのカードパワー差が開いていたこともそれを裏付けている。

2020年度のデュエル・マスターズのインフレは基本的にEXパックとクロニクルデッキが主な要因であるからだ。

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≪ジョギラゴン&ジョニー〜Jの旅路〜≫や≪轟く革命レッドギラゾーン≫≪カシス・オレンジ≫などの環境デッキのパワーを一段階上に押し上げるカードを数多く収録した最強戦略ドラリンパック、

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≪爆龍覇ヒビキ≫と≪最終龍覇 グレンモルト≫を輩出し、今年の世紀末環境を開戦させたクロニクルファイナルウォーズデッキ、

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ドギラゴン剣のリメイクである≪蒼き守護神 ドギラゴン閃≫を誕生させた蒼龍革命。

十王篇のカードはこれらのカードよりどうしても見劣りしてしまうが、そもそも2ブロックが主流になっていれば殿堂(アドバンス)環境と2ブロック環境でユーザーの住み分けが可能になり、健全なパワーバランスの取れた戦いを求める人は2ブロックを、とことんエキサイティングなデュエルマスターズをしたい人には殿堂を、といった具合にフォーマットを分けることができる。

なんなら殿堂環境は破茶滅茶にぶっ壊してしまって、それが嫌な人は2ブロックに移動して貰えば大丈夫といった考えもあったのかもしれない。

十王篇のカードパワーが低かったのはこういった想定のもと作られていたからだったのではないかと考えられる。

しかし2ブロックのすごかった点はこれだけではない。

2020年度の超天・十王篇2ブロックフォーマットはこれまでの2ブロック構築が積み上げてきた歴史とノウハウを活かした戦いの場を用意していた。具体的には構築の多様性と徹底的に整備されていたメタ環境の2点を挙げたい。

もともと2ブロック構築の良い点として、殿堂(アドバンス)環境とは異なり、使用できるカードが直近の商品に収録されているものしか使えないことによる、環境で覚えなければならない仮想敵やカードの種類が少ないことなどがあり、初心者や中級者でもカードを揃えやすくて参入しやすいことなどがある。(競技性が高くて勝ちやすいのは熟練者ということはさておき)

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そして今年の2ブロックはその商品展開に注力してまで、2ブロックフォーマットを徹底的に整備していた。

まずは年末と6月の2度に渡る殿堂発表によって超天篇の本当に強かったクリーチャーをメタゲームから追い出すところからだった。双極篇の2ブロック落ちしたカードのことを考慮しつつ、≪BAKUOON・ミッツァイル≫や≪MEGATOON・ドッカンデイヤー≫、≪ヨミジ 丁ー二式≫、≪マリゴルドⅢ≫、≪魔導管理室カリヤドネ≫などを排除した。

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これにより残ったのは≪グレープ・ダール≫を失ったことによる弱体化を受けたバーンメア・ザ・シルバーとエモGのコンビ、ドラガンザークに代表されるオレガ・オーラのみになった。

そしてこれらの超天篇産のパワーカードに対抗するのはそれぞれの固有能力を持つ十の王を中心に据えた各種チーム・王国だ。この構図によって2ブロック構築はその時々のトップメタこそあれ、様々なデッキが戦いの火花を散らす群雄割拠な環境へと変化した。

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↑最後の一つはチーム零。

その結果、年間を通して見れば非常に多様なアーキタイプが活躍する一年となった。

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そしてここに地域性までもが絡んでくる。

2ブロック構築でもデッキ紹介noteは活発に執筆されているが、関東と関西では事情や地域メタが異なるため全く参考にならないなんてことも起きるのだ。(面白い話ではあるが、関西ではギャラクシールドが環境トップとされているが、一方の関東ではバーンメアが最大勢力である。関東では昔からバスターなどのビートが主流になりやすいが、そういった地域性が顕著に現れているのだろう。それに加えて参加するメンバーが固定化されていることもデッキ分布に影響を与えているのかもしれない。)

そしてこの戦いを調停し、健全な環境にしていたのはさまざまなメタカード達。開発側が狙ってやっていたのか、はたまた偶然なのか知る由はないが、2020年度の2ブロックフォーマットの中ではメタカードの代名詞となりうるカードが勢揃いしているのだ。

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コスト踏み倒しを行うデッキが流行すれば≪異端流しオニカマス≫や≪洗脳センノー≫を、GRの勢力が強くなった場合には≪U・S・A・BURELLA≫や≪ワナビー・ワラビー≫を....。といった具合にデッキに採用することができ、環境上の仮想敵に対する対抗札がプールの中に必ず用意されていた。

超天・十王のほぼ全てのカードに活躍の機会と対抗手段を平等に与えている。すなわち、自分が活躍させたい好きなカードを勝たせることができる環境が用意されているということでもある。

しかもこれらのメタカードだけでなく、そのデッキタイプの中核となる「蒼龍の大地」「ドラゴンズ・サイン」「悪魔龍 ダーク・マスターズ」のような主力カードや、「勝熱龍主モモキング」「鬼寄せの術」「絶海の虎将 ティガウォック」などその他のチームや王国の動きの補助のカード等が追加されていったのは十王篇の通常弾EXブースターに当たる商品である。

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(あと100円パックやマキシマムザマスターパックなんかも中身が凄かったです。)



しかも年度の終わりにはこのシーズンを締め括るのに相応しいエキスパンションまで登場した。

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これらのパックは世間的にはコロ○ウイルスのおかげで競技シーンがなくなったことと、排出されるカードの能力なども相まって商品的価値が低いという評価になってしまったが、2ブロックが活発になっていたら今頃ここまで酷い言われようではなかったように思える。

これほど考えられていた環境を意図して創り上げたというのであれば、これは調整が上手すぎる。いや、それほどまでに本気だったという裏返しであろうか。

こういったことからも2020年度2ブロックは非常によくできており、プレイヤーを熱狂させるには十分すぎる舞台を用意してくれていた。そんな年に2ブロックの王者が全国大会に出場することがなかったことは非常に悔やまれる。

このあとからのメタ変遷などはこういった背景があることを前提としたうえで読んで頂けるとありがたい。





〜2020 2ブロックメタ変遷〜


最悪のスタートを切った2020年度の2ブロック


2020年度、デュエル・マスターズの全てのトーナメントシーンは完全に破壊された。


世界的に感染が拡大した新型のウイルスによって。


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            画像引用元:NHK NEWS WEB


この新型のウイルスの世界的な感染拡大によって世界中の人々の生活様式は変わってしまった。

また、それに伴って人が集まり、感染リスクを避けるためのいわゆる「3蜜」の状態になりやすいとされる興行的イベントは社会的に中止にせざるを得ない状況に追い込まれていった。



カードゲーム業界も例外ではなかった。


ここからはカードゲーム「デュエル・マスターズ」に限った話をしていくが、デュエル・マスターズにおける2020年年明けからの競技シーンは散々だった。

日本国内での新型コ○ナウ○ルスの初感染者が確認された2020年1月15日まではデュエマのCSが全国各地で行われており、メタゲームも通常通りに動いていた。(プレイヤー間では≪MEGATOOON・ドッカンデイヤー≫と≪ヨミジ 丁-二式≫によるループが初お披露目となり、CSの母数の4割を占めていたことが話題になっていた頃だったと思う。)

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しかし2月にもなると新型ウイルスの感染が徐々に広まり始め、それまで「なんか武◯産のウイルスが広まっているらしい」くらいにしか考えていなかった我々日本人にも緊張が走るようになった。

この頃からだっただろう。CSを主催するかどうかをCSの主催者側が考えなければならなくなったのは。

筆者のDMPランキングでの参加履歴を見返してみたところ、2月末まではCSが行われていたことが確認できた。

まぁ実際には3月末まではCSは開かれていた。また、この頃はDMPランキングの集計期間終了が近づいていた時期であり、ランキングを走っていたプレイヤーによるデッドヒートが繰り広げられていた。


しかし4月以降からCSが開かれることはなくなった。

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            画像引用元:日テレNEWS24

緊急事態宣言の発令である。

これによって緊急事態宣言が解除される6月までデュエルマスターズのメタゲームは専用のサイトであるDM vaultを除いて全て停滞することとなった。



波乱の幕開けとなったデュエル・マスターズ2020年度2ブロックフォーマット


カードゲームのメタ環境という話であれば、2020年度の2ブロック環境は前年度に開催されたエリア予選の熱気を引き継いでいるかのような盛り上がりを見せていた。

それぞれのエリア予選の結果及び全国大会出場選手の情報は公式ホームページにカバレージと合わせて記載されているので、詳しくはそちらを参照して頂きたい。

年明けの殿堂レギュレーション更新(BAKUOOON・ミッツァイル等が規制対象となった殿堂発表)までのエリア予選ではいかにプレイヤーがGR召喚を上手く使うことができるかが焦点となる戦いが行われていた。

シータミッツァイルが環境の中心となり、赤青万軍投がそれを追い、それを狩らんとドロマーオーラやドラガンザークが立ちはだかる。そんな環境だった。

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しかし超天を突破した彼らのカードパワーは高過ぎた。

新人であるはずの彼らは何も2ブロック構築に限らず、歴戦の猛者が集う殿堂フォーマットでも戦いの火花を散らしていたのだ。

それは裏を返すと殿堂と2ブロック構築のメタゲームがさほど変わらないことを意味しており、プレイヤーはいつどの大会でもGR召喚をされた。なんなら≪ブラッディ・タイフーン≫こそ使えないが、殿堂構築とさほど変わらないカリヤドネループすら存在した。

これでは殿堂構築とは異なるゲーム性を味わうことができるという、2ブロック構築の意味があまりない。

殿堂でいっぱい見た動きやゲーム体験と異なることが2ブロック構築の目指すところであったのに、それが達成されていない。これが2019年の双極・超天編2ブロックの評価が低い原因であったのだと思われる。

それは超超超天!覚醒ジョギラゴンと零龍卍誕の発売によって加速していった。

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↑ヨミジ 丁-ニ式、零龍を輩出した伝説のパック。

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マナドライブ7が実装されたことで殿堂構築とフィニッシュ方法の違いこそあるが、4cドッカンデイヤーが環境トップに躍り出た。

また同じパックに収録されたバーンメア・ザ・シルバーもそれまでの伏線を回収するがの如く、青ジョーカーズのGRクリーチャーを束ねてその圧倒的な連鎖力とテクニカルな動きを実現することでその名の通りにデイヤーの対抗馬として活躍して見せた。

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↑なんと双極マークがあるのでグレープ・ダールも使えたのだ!!(棒)

しかしそんな(ある意味)エキサイティングな2ブロック構築は一旦思わぬ形で終焉を迎える。

前の章で説明した新型コロ○ウイルスの感染拡大だ。

幸か不幸か、3月までは通常通りに行われていたCSは全て中止になり、そのままブロックの切り替えが行われる4月を跨いでしまったことでツインパクトカードを生み出した双極編のカードは入れ替えによって使用不可に。赤青覇道などの一部のデッキタイプは戦いの場を殿堂構築に戻すこととなった。


そしてそのまま4月から十王編が始動。

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3月28日(土)に拡張パック第一弾となる切札×鬼札キングウォーズ!!!が発売となる。




ここからだった。2ブロック構築が面白くなったのは。






十王篇、始動


2020年3月28日(土)。十王篇第一弾となる、切札x鬼札 キングウォーズ!!!が発売。

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新主人公である≪勝熱英雄 モモキング≫を筆頭に新ギミックが6つ追加された。キリフダッシュ・バズレンダ・鬼タイム・ギャラクシールド・フシギバース・マジボンバーである。

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しかしこの時期は既に新型○ロナウイルスが流行しており、競技シーンは停滞していた。

また、パックの売れ行きがあまりよくなかった時期でもある。店舗の営業自粛により雇用が失われ始めた社会現象が起こっていたからか定かではないが、この時期はカードのシングル価格も暴落していた。ウマキン☆プロジェクトや「絶対の楯騎士」の初動価格が1000円台であったことは今となっては驚きである。

この時期の話は筆者の知人のこちらの記事を是非とも確認して頂きたい。一年も経つと時代の生き証人であるはずの我々も忘れてしまうことは多い。


話を戻そう。

環境的な話であれば、新弾のカードで注目を集めていていたのはギャラクシールドのカードだったと記憶している。

まぁ「絶対の楯騎士」のことなのだが。

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この時期はダッカルパラノーマルというデッキタイプが研究され、CSでも結果を出し始めた時期であったため、その動きを安定させるこのカードはとても使われていた。

しかし研究が進んでいたのはあくまでインターネットサイトであるDM vaultに限った話である。

つまりは2ブロック環境は超天・十王へのカードプールの入れ替わりが起きていたのにも関わらず、あまり研究が進んでいなかったのである。大会がなかった時期であるので当然といえば当然であるが。


そしてこの時期から超天篇と十王篇の間にあるカードパワーの差が話題になり始めた。

主な要因は当時のトップメタである4cデイヤー。

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殿堂であれば≪GOOSOKU・ザボンバ≫や≪U・S・A  BURELLA≫を獲得した赤白バイクが誕生したが、2ブロックではこれに対抗できる十王篇のカードはなかったのである。

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そんなことを受けてか、はたまた十王篇の意図を汲み取ってかは分からないが、インフルエンサーを中心に十王篇のカードのみで戦う1ブロック限定戦を推進する動きが活発化した。

(これより前に発表された動画は存在しますが、分かりやすいタイトルではなかったため、この動画を参考例にしました)


このムーブメントは非常に合理的だった。十王篇のカード達は十王篇同士で戦わせるかのようなデザインであったからだ。この時期に公認CSにあたるリモートなどのフォーマットでも無言の了承により1ブロックが採用できるようになったことも大きかった。

そしてそれは計3種のドッキングパックの発売により加速していく。

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新規カードや過去の汎用カードを大量に収録したパックにより、この段階でも十王篇のカードのみで十分遊べるほどになったのだ。

ただ、プレイヤーがその熱をぶつける場所はなかった。この頃の日本社会は緊急事態宣言が発令され、実に100年前のスペイン風邪の時の対応よろしく休校措置なども実施された。カードゲームなどと言っている場合ではなかったのである。リモートの文化もあまり広まらなかったように思える。

こうしてプレイヤーは緊急事態宣言解除という雪解けの日まで冬眠することになった。



そして来る6月。プレイヤーは爆龍皇の雄叫びによって目を覚ますこととなる。

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再開されたCS、本格始動した2020年度2ブロック


2020年5月25日、緊急事態宣言が継続していた首都圏一都三県と北海道で緊急事態宣言が解除され、それに合わせてデュエル・マスターズ公式からもCS再開のアナウンスがなされた。

これに伴い、停滞していたデュエル・マスターズのメタゲームは再び動き出した。

2020年度2ブロックはようやく本格始動したと言ってよいだろう。1ブロックか2ブロックかの違いはあれど、限定構築戦のCSに人が集まって開催されていた。


そして再開後直後に暴れていたのはバーンメア・ザ・シルバー。馬、馬、馬だ。

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ただ、これは当然といえば当然だった。もともと殿堂構築で使用者が多いデッキであり、下馬評でも期待されているデッキであったからだ。この時は≪グレープ・ダール≫や≪灰になるほどヒート≫を使うことができなかったが、そのポテンシャルで上位ポジションを埋め尽くした。殿堂で使っていたバーンメアの中の数枚を入れ替えて2ブロックに出場した人も多かったように思う。

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だが1ブロックでは白抜きの4c蒼龍コントロールが覇権を握っていた。

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ドッキングパックまでのカードプールでは中速のデアリモモキングがトップメタであったが、≪獅子王の遺跡≫と≪蒼龍の大地≫の登場によってデッキの基盤が出来上がり、そこに≪襲来、鬼札王国!≫や≪光魔の鎧≫などのトリガーを豊富に採用することで殿堂のコントロール顔負けのリストが組めるようになった。

この影響で多くのプレイヤーが≪大樹王ギガンディダノス≫や≪ロールモデルタイガー≫などのファッテイを投げつけ合うようになる。

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そうしてプレイヤー間で「2ブロックはバーンメアが強い」「1ブロックでは蒼龍」といった認識が共有され始めた時期である6月27日に爆皇×爆誕ダイナボルト!!!が発売される。

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↑発売日初日に雷龍ヴァリヴァリウスのシングル価格が4000円を突破したことは記憶に新しいかもしれない。

それまでのプールでも十分にポテンシャルを感じさせたギャラクシールドはMAX呪文と「策略のエメラル」の2枚のデッキの核を入手して完成形へと辿り着いた。そしてその殿堂環境でも戦えるポテンシャルを武器に1ブロックでは進軍を開始して瞬く間に環境の一角に躍り出る。中にはミラーを意識してドロマーカラーにして、≪ドラグ変怪≫を入れた型が入賞するほどだった。

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そしてチームウェイブのキングマスターであるキング・マニフェストは新たなデッキタイプとしてキューブマニフェストを誕生させた。

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実はしれっとマキシマムザマスターパックに収録されている≪ミステリー・キューブ≫と超天篇産ネバーループのキーパーツである≪天命龍装ホーリーエンド/ナウ・オア・ネバー≫、十王篇になって再録した≪幻影ミスキュー≫などのガチャカードとガチャの当たりとなる高コストクリーチャーのみでデッキを組んで、E3期のキューブブラスターのようなデッキにすることも出来る様に。そこそこの受けトリガーの枚数もあったことで、赤緑バーンメアに勝てるデッキとしてある程度の入賞数を稼ぐようになった。赤緑バーンメアには突然現れる≪完全不明≫や≪ロールモデルタイガー≫に対する対抗手段がなかった。

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だが、やはりプレイヤーに一番衝撃を与えたのはこのキングマスター。

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≪爆龍皇ダイナボルト≫。

この時期は≪鬼寄せの術≫と≪ロック・クロック・六九≫を組み合わせた赤黒のマジボンバー速攻が話題になっていたが、ダイナボルト登場後は誰も話題にしなくなってしまうほどだった。バーンメア・ザ・シルバーやエモGを2体同時に射出できるこの紅き龍はそれほどまでに魅力的でパワーを感じさせたのだ。

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そしてダイナボルトとバーンメア・ザ・シルバーはその後のCSでももちろん戦果を上げた。

ファイナル・ストップを味方につけて。

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こうしてリースバーンメアが成立し、≪シロイヌムサシ≫型赤緑バーンメアと合わせて2ブロックの覇権を握ることとなる。

だが同時期に対抗馬も複数誕生していた。その名もドラガンザークループ。

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もともとの原案はこの年の頭に登場した≪ダンゴ武者≫を絡めたヨミジループであり、それが改良されたものだ。山札を3枚程度になるまで削りながら墓地を肥やしてドラガンザークをセットアップ。効果で≪ダンゴ武者≫と≪斬罪 シ蔑ザンド≫を釣って効果を処理。ダンゴ武者の効果でもう一枚のドラガンザークを釣ってくるとあら不思議。相手のデッキを消すまで無限に行動が行えるようになる...といった具合だ。


この時期までのドラガンザークループは主に黒単色で構築されていたが、関東では水面化で青黒型が勝ち星を重ねるようになる。

根幹の構成は黒単とは大差なかったが、≪*/零幻チュパカル/*≫と≪*/零幻ルタチノ/*≫などの2コストのオーラで安定感を確保し、零星セブホールに繋げることで黒単よりも速いキルターンを実現した。

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なんならチュパカル→セブホールの動きは相手がGRゾーンから頑張って捲ったポクタマたま1回程度なら悠に耐えうることも強みだった。

そしてなによりすごいのがGRメタである≪U・S・A・BURELLA≫などに耐性があること。デッキの半数以上がコスト5以上のGRであり、ループに入る過程で≪U・S・A・BURELLA≫を除去ができるため、はじめの方にコスト4以下のGRを捲らない限りは無問題だった。

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しかしこのリストは常に秘匿されていて有料noteでしか情報源がなかったため、関東以外の地域で研究が進むのは数ヶ月先の話になる。


そしてもう一つはデュエル・マスターズ公式によって行われた一大イベントで初お披露目となった。

アナカラードラグ大地である。

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東北のプレイヤーにより戦場に解き放たれたこのコントロールは多くの注目を集めた。惜しくもリモートデュエマトーナメントでは優勝を逃したものの、その話題性もあって一躍プレイヤーの研究対象となる。(まぁGRに勝てなかったので秋が近づく頃には見なくなってしまったが。)

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だが2ブロック環境はダイナボルトのリリース後、しばらく環境に動きは見られなくなる。

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殿堂用の商品が立て続けにリリースされたためだ。

殿堂では連ドラグナーの登場により環境が荒れに荒れていたが、2ブロックからすればそれは対岸の火事。


だがそんな停滞した2ブロック環境に変化をもたらしたのは規格外の∞龍だった。

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解き放たれた∞龍


9月19日(土)。十王篇第3弾となる幻龍×凶襲ゲンムエンペラー!!!が発売。

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≪超法無敵宇宙合金武闘鼓笛魔槍絶頂百仙閻魔神拳銃極太陽友情暴剣R・M・G チーム・エグザイル ーカツドンと仲間たちー≫以来となるコスト∞のカードが登場し、新能力であるムゲンクライムの認知に一役買うことになる。

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また、この≪∞龍ゲンムエンペラー≫は不慮の事故で情報が漏れ、≪正義帝≫や≪爆龍皇ダイナボルト≫と同じタイミングでその能力が知られてしまうといった事態が起きたカードでもあった。

だがそのタイミングでもゲンムエンペラーの凶悪性に気がついたプレイヤーはあまりいなかったように思う。殿堂環境でフォースヒビキバトライハムカツゲンムという呪文が知れ渡るまでプレイヤーからは「強そうだけど面白カード止まりな性能」とすら思われていた。

轟轟轟ブランドの時の掌回転をプレイヤーはいつまでも繰り返すらしい。


そして追加された新能力はなにもムゲンクライムだけではない。ビビッドロー、オシオキムーン、アバレチェーンも実装された。

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事前評価では≪明日の鎖ハヤブサツイン≫に対する期待感が大きかったこともあり、アバレチェーンが注目株とされていたが、蓋を開けてみると≪メテヲシャワァ・ヲヲロラシアタァ≫が強いことが判明する。トリガーケアの出来るキングマスターを止める手段がドッキングパックに入っている≪ディオーネ≫くらいしかないのだ。

そしてこのフェニックスが≪U・S・A・CAPTEEEN≫や≪DOOOPPLER・マクーレ≫などのマジボンバーから出てくるとヤバい」ことはこの段階で知られていた。

だがデッキにするにはカードが足りない。2ブロックには≪“必駆”蛮触礼亞≫や

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「祝え!この物語の終幕を!」

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が存在するが、ビビッドローの補助カードが少なく、≪龍装者バルチュリス≫が存在しないために3キルが組みにくいといった問題があったのだ。そのため赤青終幕マクーレといったデッキが本領発揮をするのは四強集結!最強直結パックの発売を待つこととなる。

また、面白いデッキとしてはアンダケインループ(ミッツァイルループ)がある。

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序盤は4cデイヤーの基盤でリソースを稼ぎ、条件が揃い次第、≪不敵怪人アンダケイン≫+≪鯛焼の超人≫+≪樹占の風≫+≪BAKUOOON・ミッツァイル≫+≪絶望と反魂と滅殺の決断≫によるループでツタンメカーネンをループさせるデッキが登場し、デイヤー基盤は死んだと思っていたプレイヤーに衝撃を与えた。

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そんな中、2ブロック環境を大きく揺るがすデッキが関西で誕生する。

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リースヴァイカー(ネイチャーヴァイカー)だ。

関西の日本一経験者がCS優勝を飾ると、持ち前の3キル可能な速度を武器に環境で暴走。≪ BUN BUN・ヴァイカー≫の高いポテンシャルを≪BIRIBIRIII・ビリー≫と新しく収録された≪「疾風」の鬼 フウジン天≫で引き出すことに成功した。

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ここでようやくプレイヤーは気がついた。こと2ブロック環境に於いては≪BUN BUNヴァイカー≫がGR召喚をするカードの中では最強だと。GR召喚最強はバーンメアではなかったのだ。

こうしてその後の2ブロック環境ではヴァイカーをどのように活かすかが求められるように変化していった。実際にヴァイカーの展開力とスピード、攻撃力を超えるデッキはなかった。

そして誰もが諦めていた。3キル可能なメタビートに勝てるデッキなど存在しないと。対抗手段を考えるのをやめてそう結論付けたかったのかもしれない。

しかし世の中の天才デッキビルダーはそんな凶悪なデッキにも回答を提示していた。

奇しくもそのキーパーツとなったのはマナドライブ7のカードだった。

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最強の矛に対抗する盾、その名はベンリーニループ


2020年10月24日(土)。四強集結最強直結パックが発売。

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環境に影響を与えたカードとしては≪ロスト・ウォーターゲイト≫や≪音感の精霊龍エメラルーダ≫≪無双龍聖イージスブースト≫などがある。特に≪ロスト・ウォーターゲイト≫は赤青終幕マクーレ待望の多色カードをデッキトップに確定できるカードとして待ち望んでいたものだった。

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そして特筆すべきはモモキングとジャオウガの別バージョンだろう。

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≪鬼ヶ大王 ジャオウガ≫の登場と前の弾の≪百鬼の邪王門≫により、赤黒のマジボンバー軸速攻が構築できるようになった。2コストのコダマンマ系クリーチャーから≪鬼寄せの術≫または≪“必駆”蛮触礼亞≫を経由して≪U・S・A・CAPTEEEN≫や≪ロック・クロック・六九≫などを出して3キルするというもの。≪鬼ヶ大王 ジャオウガ≫が出てこようものなら全ての盾を鷲掴みにしながらアタック時に≪百鬼の邪王門≫を打って要求値を上げることができ、「やぁ」と言いながら現れる≪MEGTOON・ドッカンデイヤー≫によって尊い犠牲が生まれることもあった。


だがこの時期に注目を集めたのはこのデッキではなかった。

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環境に激震をもたらしたのはヴァイカーを乗り越えるために開発された耐久型ループデッキだった。

偶然かどうかは定かではないが、このデッキの原案も関西で開発されたものである。開発者同士が親交があるようなので、何か因縁や意識しているところはあるのかもしれない。

デッキの動きとしては、デッキの半数以上を占めるSトリガーで7マナになるまで耐え凌ぎ、7マナになってから≪音奏 ハイオリーダ/音奏曲第3番「幻惑」≫や≪審絆の彩り 喜望/キーボード・アクセス≫などで大量にGR召喚。GRゾーンが空になった段階で≪防羅の意志 ベンリーニ≫×≪音奏 ハイオリーダ/音奏曲第3番「幻惑」≫でループを開始、≪発明オジソン≫で山札切れによる敗北をケアしながら《*/弐幻ニャミバウン/*》×≪ハムカツ団の爆砕GO!≫などでツタンメカーネンループをして相手の山札を一方的に吹っ飛ばす、といったものだった。

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そしてこのデッキを完璧にサポートしたのが他のパーフェクト呪文と比べて活躍の機会がなかった、≪神楯と天門と正義の決断≫だ。

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3つ目の効果を使うタイミングはほとんどないが、盾追加効果とハイオリーダをばら撒くことができる効果がデッキのコンセプトにマッチしており、非常に強力だった。

こうしてネイチャーヴァイカー一強状態であった2ブロック環境に新しいデッキが誕生し、メタゲームは回り始める。この頃はインターネットサイトのDM vaultでも2ブロック大会が行われたことから研究が進んだ時期でもあった。予選のうち3ラウンドが2ブロックで行われる全国大会の開催が近づいてきたことも関係していないわけではないだろう。


その一方で十王編1ブロック環境では幻龍×凶襲ゲンムエンペラー!!!のカードの解析が行われ、蒼龍コントロール・ギャラクシールド・フシギバース環境にムゲンクライムとオシオキムーンが頭角を現し始める。

ムゲンクライムが躍進した背景には≪無量大龍 ドゥエ・ミリオーニ≫によるボードコントロール能力の高さが関係している。

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ムゲンクライム3というゲンムエンペラーより軽い条件でありながらも、十王篇環境のクリーチャーを軒並み倒せるパワーマイナス効果がゲンムエンペラーのフィニッシュまでの強力な中継ぎとして機能していた。これで取れない大型は≪罪無 ビコハン極≫で除去すればいい。

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そしてオシオキムーンのカードで注目されたのは≪偽りの月を盗むファントム≫だった。

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かの殿堂カード、≪復讐 ブラックサイコ≫を彷彿とさせる2ハンデスはコントロールを愛するプレイヤーを魅了した。だがこの時のカードプールでは効果を発動させるのがかなり手間だったため、それほど完璧にハンデスしきるのは難しい話だった。

だが皮肉にもこのカードは環境の一角であるギャラクシールドと手を組んでしまう。

もともとドロマーカラーで構築しても不自由がないギャラクシールドの盾から場に出てくる効果と噛み合いがよいことが発見されたのだ。しかもギャラクシールドはそれを可能にするリソースを稼ぐカードが豊富である。

自分は守りを固めてリソースを確保し、相手の手札を捨てさせているうちに相手が力尽きていることが多かった。なんなら自分の山札切れは≪ドラグ変化≫でケアすれば良い。

こうして十王篇環境も各チーム・王国で使えるカードが増えるにつれ、戦いは激化していった。

そして季節は最終決戦が待ち受ける冬へと移り変わる。主人公による最後の鬼退治の始まりだ。

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鬼タイムに足りなかった最後のピース、一王二命三眼槍


2020年12月18日(金)、十王篇第4弾が発売。

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例年、12月頃に発売されるデュエマの拡張パックは収録内容が豪華になる傾向がある。聖夜が近づく中でクリスマス商戦の時期であることも少ならからず影響しているのだろう。

これは余談だが、筆者がよくお世話になっているカードショップには、立石のタカラトミーオフィスからウィザーズの仙人達がフラッと遊びにくることがある。仙人達とカードショップの店長の仲がいいのだ。そんなわけでショップの常連の子供達は仙人達と交流し、対戦やお話をすることがあるわけだが、ある子が十王篇のラスボスやモモキングの行く末、そしてカードの効果はどんなものになるのかについて聞いたことがあるらしい。仙人は詳細な内容については教えてくれなかったそうだが、こんなことを漏らしたらしい。


「鬼札王国のカードはちゃんと強くデザインしたよ」

と。

これを聞いて筆者はカードショップの店長と「強くするなら主人公サイドのモモキングの方だよなぁ」なんて話をしたことを覚えているが、その数日後のコロコロチャンネルNEXTで我々はとんでもないカードを見せられることになる。

それが≪鬼ヶ王魔 エンド・ジャオウガ≫と≪一王二命三眼槍≫だ。

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初公開はシークレットバージョンだったが、その効果は画期的かつ衝撃的なものだった。これまでに≪不敗のダイハード・リュウセイ≫や≪伝説のレジェンドドギラゴン≫、≪リュウセイ・天下五剣・カイザー≫などの敗北回避能力を持つ龍の力を借りて数々の修羅場をくぐってきた筆者ですら椅子から転げ落ちるほどのカードだからだ。

だが≪一王二命三眼槍≫の登場に関して伏線はあった。

≪一王二命三眼槍≫が登場するまでの赤黒鬼札王国ビートダウンはその性質上、どうしてもスーサイド戦法になってしまう。

相手がほぼ同速のビートダウンだった場合、自分から盾を回収して戦う鬼札王国側のクロックの方が先に尽き、相手が先にダイレクトアタックするゲーム展開が多いのだ。

そのため、十王篇1ブロックの赤黒速攻には≪百鬼の邪王門≫の他に≪革命の鉄拳≫などが採用され、ジャスキル回避問題を解消しようとするのが一般的だった。

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だがデッキの中のクリーチャーのパワーはどれも非力で、≪革命の鉄拳≫は相手のジャスキルをかわすには少々物足りないカードでもあったのだ。

当時このデッキを練っている人は≪百鬼の邪王門≫以外の受け札が出来ればなぁなどと思っていたことだろう。

そこに来たのが≪一王二命三眼槍≫である。革命と言っても過言ではなかった。

そしてこのどんな攻撃でも一度無効にするカードの登場で他のチームや王国は雑に5点+1程度の打点を作って突撃することができなくなった。もし耐えられて鬼エンド付きのカウンターでも喰らおうものならアニメのジョー君のように自分が負けるのだ。

この≪一王二命三眼槍≫は鬼札王国を強化するだけでなく、そういったプレイング・戦略性を2ブロック環境に持ち込んだ。

そして年明けになると関東の有名デッキビルダーによってこの2枚は≪BUN BUNヴァイカー≫などと手を組むことになる。こうして各種パーフェクト呪文によるハンデス・コントロール・アグロプランの全てを行えるデアリ邪王門が誕生し、新殿堂後の2ブロック環境に殴り込みをかけることとなる。


だが他のデッキも進化を遂げていないわけではなかった。この時期から2ブロック環境のギャラクシールドは赤を採用してラッカカラーへと変化した。

2ブロックはどうしてもGRを意識しなければならないため、その対策として≪デモニオ八金棒 黒縄棍≫や

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≪U・S・A・BRELLA≫を採用し、フィニッシュをパワー溢れる2枚の殿堂カードに任せることで制限時間の問題と火力不足を補った。

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GRから出てくる超点フィーバー状態の≪魔神神怒ブランド≫と合わせて≪絶対の楯騎士≫が複数回殴りながら盾と手札を合わせて4〜6枚増やすといった豪快なフィニッシュを決めることができた。



そして関東ではとあるカードが追加の秘密兵器として投入されていた。

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そのカードは≪瞬閃と疾駆と双撃の決断≫。

一見するとなんのために採用されたか分からないこのカードは対戦相手に対して数々の初見殺しを行った。このカードはもともと≪チキチキ・JET・サーキット≫や≪ダイヤモンド・ソード≫などの制限時間問題を解消するカードの枠だった。だがそれ以外のタイミングでは腐りやすい札だったため、似たような仕事をこなしつつ器用に動けるこのカードに白羽の矢が立ったのだ。

1つ目のモードは≪U・S・A・BRELLA≫や対ドラガンザーク用の≪緑知銀 グィムショウ≫をばら撒くことができ、

2つめのモードは3つ目のモードと合わせてターン開始時場に出てきた≪絶対の楯騎士≫をSAの2回攻撃・2ドロー盾2枚増やしをする化け物へと豹変させ、バーンメア等のGRクリーチャーを殴り返しながら盤面を制圧した。

3つ目の効果は早期に打点を増やして詰めなければならないドラガンザーク対面などに対して即時打点を生み出すことができた。

こういった器用なカードとして2ブロックのCSでラッカギャラクシールドは≪瞬閃と疾駆と双撃の決断≫が秘匿されながらも度々上位入賞を果たした。

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また、12月から1月にかけては(主に九州などで)クローシスカラーのゼオスコントロールなどが増加した。

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黒オーラなどでハンデスを行い、かのボルコンのように≪ボルメテウス・蒼炎・ドラゴン≫で安全に殴り切ることをコンセプトにしたものがスタートだった。

だがこのデッキも派生系が登場し、性質が変貌する。

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初見だと何をするデッキなのか分かりづらいが、その実は黒単ヘルボロフのニトロサイコや黒単デスザークのラビリピトガリュザーク同様のコンセプトである。

相手の手札を0にしてから場に≪アドレック・ワークマン/バイス・スクラッパー≫を設置。その後無月の大罪持ちのオーラを展開してシールドを1つブレイク。何事もなければターン終了時にデメリット効果で破壊。するとアドレック・ワークマンの効果が反応してブレイクした手札を墓地に沈める....。この挙動をダイレクトアタックまで行うだけだ。

ただ運が悪いことにこの時期の関東ではドラガンループのシェアが伸びており、どうしても不利がついてしまうため、あまりよい成績を収めることが出来なかった。ただ、こういった独創性のあるデッキが活躍するのも2ブロック環境ならではだ。


こうしてVANベートーベン期のCSが終わりを迎えるころ、またデュエマのトーナメントシーンは再び停滞することになる。


そう、緊急事態宣言の再発令である。


















急速に普及するリモートデュエマ、プレイ人口が増えた十王篇1ブロック


2021年。日本では再び緊急事態宣言が発令された。緊急事態宣言の期間は結果的に3/21日までとされている。

もちろん(1月の1週目を除いて)この3ヶ月間にCSが開かれることはなかった。自粛要請が出ていたので当たり前だが。

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年明けから配布されるCSプロモがVANベートーベンから卍デ・スザーク卍へ、ベスト8プロモは≪天災デドダム≫へと変わったことでプレイヤー間では競技シーンが盛り上がるかと思われた矢先のこれだ。やる気を折られる気分になったことは覚えている。

そんな事態を見かねてか、はたまた想定していたのか。10月頃にデュエル・マスターズ公式からクリエイターズレターが発表されていた。

リモートCSのサポートが1月から豪華になり、抽選で≪ドラゴンズ・サイン≫が追加で配られるように。そしてデュエマのフォーマットがアドバンス(旧殿堂)・オリジナル・2ブロックの3つに分かれることが発表された。


また、1月には次世代WHFオンラインが開催され、デュエマからは
「最強チームは誰だ!? 十王篇ファイナルウォーズ!!」と題した視聴者参加型企画が行われ、公募によって選ばれたチーム・王国のデッキを使って仙人達が代理戦争をした。≪ひょうたん≫が採用された愛のあるデッキを研究仙人が優勝させたことは大きな話題となり、この感動のエピソードについては覚えている人も多いことだろう。


そして(十王篇のカード達からすれば)幸か不幸かCSが開催されなくなったことで、ここからしばらくはリモートCS上でメタゲームが動くことになった。フォーマットは外部リソースを使わないオリジナルと十王篇1ブロックのみになり、オリジナルと合わせて十王篇1ブロック人口は急速に増加していった。結局デュエマが好きな人は競技の場がありさえすればフォーマットには拘らないのだ。

そんなリモート上での十王篇のクリーチャー達の戦いは最高の盛り上がりを見せる。

1月の段階で多くのシェアを獲得していたのは鬼札王国とギャラクシールド、蒼龍コントロール、デアリフシギバースなどのデッキ群だった。

上記の3つは年越し前から強かったデッキ群であったため、シェアを獲得したことには疑問を持たないが、注目すべきはフシギバースだった。

このフシギバースは黒緑で構成され、タッチで≪襲来、鬼札王国!≫が入っているデアリの基盤に関してはだいぶ前から完成していたようだ。

≪ツルハシ童子≫や≪ナチュラ・スコーピオン≫、≪凶殺皇 デス・ハンズ≫などのフシギバースの種になりつつ除去をこなせるSトリガーを大量に採用し、相手の攻撃を躱しつつ≪ダクライ龍樹≫や≪大樹王ギガンディダノス≫に繋げてコントロールする。それがフシギバースのデッキコンセプトだ。

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ただ、このデッキは有識者以外には追従者が生まれなかったようで、YouTuberをやっているファボレオンや実況者などの一部の人の間で使われるデッキだった。だがこのあとの2月頃からは≪悪魔龍ダークマスターズ≫や≪ドマンモ龍樹≫などのハンデスの通りの良さや環境にあったデッキであることから度々入賞するようになる。

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こうしてフシギバース→蒼龍コントロール→鬼札速攻の3すくみ環境が出来上がる。


だがそんな環境にデアリ邪王門を世に送り出した製作者が今度は最強のドラゴンを引き連れて環境に進行する。

その主軸となったのが≪断影龍 ユスティーツァ≫。

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プレイヤーがパックから当てても「微妙」と評価し、誰も見向きもしなかったカードのポテンシャルを見つけてすぐさま獅子王型基盤に放り込みそのまま上位入賞。(初登場時は伝説呪文サイクルなし)

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この構築は環境に大きな影響を与え、多くの追従者を生むことになる。


そして2021年2月20日(土)。十王篇を締め括るパックが登場する。

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≪超救命主タイヨー≫や≪ソーシャルマニフェスト二世≫、≪伝説演者カメヲロォル≫や伝説サイクル呪文が登場し、この一年間に登場したチーム・王国全ての最終強化カードが追加され、2ブロック・十王篇1ブロック環境最後の戦いを盛り上げてくれる......   はずだった。


このパックが登場した2月20日頃はデュエル・マスターズのCS・イベントの開催開始が再延期が発表されたタイミングだったのだ。

そのため、これらのカードが超天篇と戦うことができたCSは一部を除いてほとんどなかった。3/27日開催のドラグーンDMCS vol.12 2ブロックと超天・十王・王来3ブロックのプールで開催された、3/28日の第18回 トレカKCC デュエマCS 2ブロックが最初で最後だろう。


こうして2020年度の2ブロック環境は幕を下ろした。



王来篇に向けて


2021年3/28日、埼玉県春日部市。超天篇のカードが使える最後の2ブロックCSの会場となったトレカショップKCCには27名の参加者が集まった。埼玉県では2ブロックのCSがある程度の頻度で開催されているので、意外とプレイヤー人口は多いのだ。

CSの参加受付を終えて第1回戦のマッチングが発表されるまでに体を慣らしておこうとする参加者は、それぞれ自分の身内を見つけるなり「久しぶり」だの「しばらく見なかったね」だの「今日は何を使うか教えろよ」だとか言い合いながら、長い緊急事態宣言が明けて去年同様にCSがある日々に戻ったことを喜びあう姿があった。だがそれと同時に一抹の寂しさを感じる人もちらほら見受けられた。みんな今日が超天篇のカードを使える最後の2ブロックCSになることは頭のどこかで理解しているから。1〜2年の間、2ブロックで使い続けてきたデッキとは今日でお別れだ。

だが予選が始まるとそんな心情は頭の片隅に追いやらなければならない。これまで一緒に戦ってくれた相棒に恩返しをするには勝つしかない。超天篇のパワーを持った相棒であればそれを可能にしてくれることは各プレイヤー自身が一番理解している。負けるとすれば自分の判断ミスか勝利の女神の気まぐれのせいだ。

タイムテーブルは予定通りに進行し、予選と決勝トーナメントは着々と消化されていった。

結局この日に優勝したのは赤緑バーンメアだった。1年を通して常に最強の風格を見せた馬が一年を締めくくった。

≪「時空さえも突き抜けろ!」≫が採用され、運がよければ最速3ターン目に≪シロイヌムサシ≫を即時発射し、Jチェンジすることで3ターンバーンメア着地を可能する構築には、最後の最後までデッキの研究が行われた後が見て取れた。これがこのフォーマットの良さだ。負けて帰るまでに学びがある。

そしてプレイヤーは帰路についた。

だけど。

そこで筆者はある光景を目にする。みんな自分がお世話になったカードに感謝の念を零している。予選でドロップしていったプレイヤーもそうだった。自覚があるのかは分からないが「来週から使えなくなるんだよな」や「今までありがとな」といった言葉が自然と口から溢れていた。

ある人はバーンメア・ザ・シルバーやエモGに、

ある人は天啓CX–20やせんすいカンちゃん、無限合体 ダンダルダBBに、

またある人はベンリーニやハイオリーダに、

BUN BUNヴァイカーやBAKUOOON・ミッツァイル、ナウ・オア・ネバーや大卍罪ドラガンザーク。

僕達のピンチを助けてくれたのはいつだって彼らだった。ほぼ勝ちの試合を勝ち確定にしてくれたのも。

筆者も予選最終戦が終わった頃にデッキの中の≪MEGATOON・ドッカンデイヤー≫や半年間隠し通して何回もの人を◯した≪瞬閃と疾駆と双撃の決断≫を見るとそう思えてしまった。

でも、そんな最強の集団だった超天篇の君達は2021年度の2ブロックでは使えない。だからお別れだ。君達と頑張って戦った十王篇のカード達がこれから1年間、我々プレイヤーを助けてくれる。だから心配しないでくれ。多分だけど、しばらくの間超天篇の君達より強い奴らは現れないと思うし。今度はアドバンス環境で会おう。


さて、2021年の2ブロック環境の敵となるのはDM史に名を残した超獣の力を借りたスター進化クリーチャーと、倫理観なしに強者の力を融合させたディスペクターだ。

さぁ、君も共に戦いの場に出かけよう。数々の王が来襲する王来篇の開戦はもうすぐそこだ。





                     Fin






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この部分に気がついた人は多分前から僕のnoteを読んでいて手口を知っているか、カーソルバーに違和感を覚えた勘のいい人なんだと思います。今回はnoteのページそっくりな画像を貼ったので半数以上の人が落ちてくれていると踏んでます。いやでもダメかさすがに。やることが子供騙しすぎる。

ここから先は本文を読み終わって余韻に浸っていたい方や「うおおおおおおおおお」って感化されていたり「2ブロックやってみようかな」「ちょっと今度からCSに参加してみようかな」とか思い始めた人には一晩寝てからこのページを読むことを推奨致します。人類は愚かではないので「100日後に死ぬワニ」で作品を読み終えた後の余韻の大切さを学習したはずです。それでも構わない方はここから先の身の上話や独り言、自分語りな内容を読んでも大丈夫です。本当に下らないですけども。










〜警告2回目〜



















終わりに

初めましての方は初めまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。Feiです。年明けまではVANを何回も取り損ねて落ち込んでいましたが、この前朱雀をとることが出来ました。よかったよかった。

本文はどうしても熱い競技シーンの雰囲気を壊したくなかったのであんな感じになりました。堅苦しい感じにしないと緊迫感とか迫力がなくなってしまうので、その分こういうところで「書いてる人間は所詮その辺のオタクなんだ」、とか人間くさい感じを出そうということで筆をとっています。

いやーやっぱ疲れるんですよ。本文で書いてきた口語体じゃない、砕けていない口調。でも一回くらい冒頭で引用したDM:Akashic Recordのような記事を書いてみたかったのでやり切った感じはあります。憧れを持って育ってきたので。3ヶ月くらいチマチマ書いた甲斐があった。さらに言えばカバレージなんかもああいう雰囲気なのでね。仕方ないね。また、キューブマニフェストとかラッカギャラクシールドとかの話は実は僕のことだとここで打ちあけておきます。一応時代を作った人ではある....とは思うので書きました。自己顕示欲。

あとタイトルは自分の理性が「デュエマのメインフォーマットになるはずだった2ブロック戦」とかの方がいいだろって文句言ってるんですけど、タイトルはどうしてもDMP特有の遊び心のあるふざけた頭の悪い感じのブログに近づけたかったのであんな感じになっています。

自分が憧れて影響を受けたDMデッキ開発部とか◯ン◯ンブ◯とか◯◯ブログ、◯◯◯◯◯のブログとかその他の強豪プレイヤーによるデュエマの記事を見て育ってきたので、自分もブログとか書けるようになったら.....と考えていたのでこうしています。これは言い訳させて下さい。ほんとに好きなんですよねDMPのブログ。忘れられた◯跡さんとかもためになりますし。今の有名プレイヤーの昔のブログを漁ってみたらほんとうにためになって面白いと思いますよ。アメーバとかの時代では他者のCSの戦績とか対戦の所感を見ることすら貴重だったってのもあるのかな。

ようやく本題に入りますが、このnoteは世間的に「超天と十王篇のカードは嫌うべき」みたいな風潮が嫌で書いたんですよね。

多分GRを倒す側に回ると全然敵わなくて文句言っちゃう感じなんだと思います。というか僕が去年まで刃鬼でそれをやって痛感しただけなんですけど。詳しくは過去のnoteを見てください。(唐突なステマ)

だからそういった影響もあって今年のデュエマの施策は失敗だったみたいな風潮があるんだと思います。まぁでもここまで読んでくれた人はこうなった原因を分かってくれていると信じてます。タカラトミーは災難だったね。全部コロ◯ウイルスが悪い。

だからその分すごく残念でもありました。

当初の予定であれば僕は今年に行われていただろうDMPランキングの2ブロック部門で走ろうって思ってたんですよ。周りに昔から見てきた全国大会出場者を輩出したチームがいたり、競技DMに真剣な知り合いもいたりした影響もあるんでしょうけど。殿堂環境を追って勝つのは自分には無理だけど、2ブロックならいけそうだと。

でもそれがコロ◯の流行でなくなっちゃって。社会人になる前の事実上最後の一年だっただけに余計に無念です。

(少し前までは原一◯とかヘブンズ◯イスなどの調整チームが進学や就職の影響を受けて解散していくのを「なんで自分の状況が変わっても続けようとしないんだ?好きなら続ければいいのに。」とか思ってたんですけど、最近は自分の将来を考えるともう自分の去年のカードゲーマー人生も終わりが近づいているのを意識するようになって少しは納得が行くようになりました。まぁこのままいくと自分が世間的にブラックな印象が強い職業に就くから自分で無意識に不安に思っているだけなんだと思います。思春期症候群を発症しそう。)

だから去年の自分は夏の甲子園やその他インターハイが続々と中止になっているのを「まぁ残念なのは分かるけど俺は3年間部活出来た人間だからなぁ」とかどこか他人事のように見てたんですけど、それに近いことが我が身にも起きるとは思ってもいませんでした。(あ、山梨学院優勝おめでとうございます。というか決勝だけ青森山田がドラマ起こされただけだと思うんだよな。今年は期待してる。)

しかもフォーマットが整備されてて本当に2ブロック用の商品展開だったから余計に悲しいです。


でもこの一年2ブロックをやってきてよかったです。めっちゃ楽しかった。

僕がデュエマで一番楽しいと感じるのはチーム戦のCSと全国大会の店舗予選の時期。あの権利が取れない中で知らない店にまで足を伸ばして駆け回る夏と秋。権利が取れた時の喜びはひとしおです。

チーム戦も同様。少し前までは東京でアニチュCSってチーム戦のCSがあって、それこそ東京のDMPからしたら定期開催されるお祭りみたいな感じのCSがあったんです。毎回開催時期が近づくとチームメンバーを探し始めるあの感じとか、朝全員寝坊しないか連絡をとるハラハラとか。負けて帰る時に相手にされた上振れムーブの愚痴を言いながら帰ることとか。ベスト4までは行ったことないんですけど、あの日々があと3年くらい帰ってこなさそうなのが惜しいです。しかもチーム戦で足を引っ張れないから必然的にファンデッキを持ち込むのが申し訳なくなって環境デッキを触るんですよ。そういった点でも競技DMを知る一因になったわけです。

だからそんな2ブロック等の限定構築戦は僕に競技DMの世界を教えてくれた競技であり、DMの遊び方として見た目が好きなカードを勝たせるというスタンスとは別の、新しいカードを使って勝利を重ねていくうちに好きになっていく、という楽しみ方を教えてくれたフォーマットなんですよ。

2ブロック構築戦がなければ今頃の僕はサッヴァークとかチェンジザとかドンジャングルS7とかスコーラーとかミッツァイルとか、その年の新しいクリーチャーを使ったり、好きになったりすることはなかったと思います。僕はルールによって使えるカードに制限がないと刃鬼のデッキを考えちゃう人間なので。だからこうして(半ば強制的に)新カードに触れる機会になってくれるフォーマットは自分の力量を測れて色々楽しいんです。だから好きです。(あと言い訳しながらCS出れるんですよ。いや〜俺ほんとは刃鬼の人なんだけど、2ブロックだと使えないからな〜しょうがないよな〜みたいな)

(昔、友人に「フェイさんはそんなオタクデッキを使わないで強い山使えば絶対アベレージ高くなるのに....」って残念な人を見る目で言われたことを今でも覚えています。彼は去年の夏頃に今の4cヴァイカーとほぼ同じようなリストを作るほどのセンスがあったのですが、もうデュエマを辞めちゃったんですよね。引退するって話を聞いた時は笑顔で送り出したけど、できれば帰ってきてほしい。)


それは今年も同様でした。


チームウェイブのキング・マニフェストとロールモデルタイガーとはCSの決勝戦で負ける悔しさを分かち合いましたし、

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チームボンバーのダイナボルトや雷龍ヴァリヴァリウスにはデッキコンセプト実現するためのデッキの組み方に関する考え方とか、上振れムーブができるデッキは強いことを教わりました。

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ギャラクシールドの絶対の楯騎士や雷光の聖騎士なんて強いからという理由で触り始めましたし、なんなら最初見たときは「ドラゴンじゃないしなんだこの見た目、ダセェ!!!」なんて思っていました。

ですが、長い時間使ってだんだん勝てるようになり、戦績も向上していくうちに好きになりました。(文章がガチ恋オタクみたいで気持ち悪いためこのへんでやめておきますが。)

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まぁ、だから何が言いたいかというと、自分が普段愛用しているデスザークとかモルトNEXT、天門とか連ドラみたいな「自分の好きな切札以外のカードも使ってみてもいいんじゃないか」ってことを言いたいわけです。

まぁ「これ使ってみたいな」と思わせるカードが決まる要因なんてのはほとんどの場合、カードイラストが自分の好みかどうかで、効果とかは二の次だと思うんですけど....でも使っているうちにお気に入りになるってこともあると思うんですよ。

だからどうか十王篇のカード達を悪く言わないでください。見向きもしないのは流石に可愛そうです。

言いたいことはこのくらいですかね。だいぶ長くなっちゃいました。

あ、普段お世話になっている人は2ブロックに微塵も興味なさそうだし、これ見ていないと思うんで言っちゃいますけど、僕は7月くらいまでジム行けなくなります。多分新弾の発売日以外は顔を出さないんじゃないかな。取り敢えず平日はほとんど無理。1〜3月の間もほとんど居なかったのはそういうことです。今サボると来年飯も食えずに路頭に迷う羽目になるんだ。すまん。あと今のまま行くと来年は横浜に引っ越しそうだから付き合える時間も残り僅かになりそうだと思ってくれ。まぁFライナーが凄すぎるせいで頑張ればこれるだろうけど...。まぁそういう感じなので。


ではこれくらいで終わりにしましょうかね。ここまでお付き合い頂きありがとうございました。


20周年を迎えたデュエルマスターズのこれからの競技シーンがますます発展していきますよう。


P.S

今年は自分がDMで一番好きなカードが入る山を2ブロックで作れなかったことが無念だったので、今年は頑張るよ。2ブロック文化がオリジナルによって消滅しなければの話だけど。

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                  ほんとに終わり

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