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テキストカバレージ「やわたCS2ブロック決勝戦」2023/12/23 2023年の忘れ物を拾うのはCOMPLEXか、CRYMAXか




12月16日、竜皇神爆輝発売。

画像引用元 https://dm.takaratomy.co.jp/product/dm23rp4/

オリジナル環境だけでなく、2ブロック環境も大きな変化が起きる。

11月までの環境は、青白ライオネルと黒緑アビスの2強環境、と言っても差し支えない状態だった。

青白ライオネルはデッキの約半分がSトリガーで構成された防御寄りのデッキで、黒緑アビスはハンデスと盤面処理に長けたコントロールデッキである。この相反する2つのデッキを刈り取ることができるデッキを構築するのはプレイヤーにとって難題だった。


新弾発売からわずか1週間後、プレイヤーはどのようにゲームへ向き合い、誰が勝ち上がるのか。
千葉県本八幡の地で2ブロックフォーマットの戦いが幕を開ける。





2023年の忘れ物を拾うのは、COMPLEXか、CRYMAXか

2023年最後の2ブロックフォーマットで決勝を争うのは、おんそくとFANASTSIA。2023年12月23日現在のDMPランキング千葉県2位と埼玉県1位の対決だ。

そしてこの対戦カードを見た筆者は、運命の悪戯はほんとうに存在するのだと確信した。
なんと両名とも、今年この会場で決勝戦の辛酸を舐めたプレイヤーだからだ。そんな彼らが年度の最後の最後の試合で対戦することになっている。
DMGPや全国大会では毎回ドラマが巻き起こるが、デュエマの神様は、なんとよくできたシナリオを設定するのだろうか。



順番に選手を紹介していこう。

1人目はおんそく。デュエル・マスターズ公式のデュエチューブにも出演しており、デュエマをやっている人なら名前は聞いたことがあるであろう。
有名人であり、2ブロックのデュエマも愛している男である。

前回大会は準優勝だったが、今回も相棒の白黒メカを使ってここまで駆け上がってきた。今日こそは優勝することができるか。




対するはFANASTSIA。今年度から2ブロックフォーマットの世界へ入ってきたものの、その理解度の高さですぐに適応。
2ブロックで培ったセンスをオリジナル環境でも活かし、今年は赤白アーマードで3回CS優勝を果たしている。
だが、今年とてもいい成績を残した彼にも、この試合に負けられない理由がある。

それは遡ること2か月前。彼は決勝戦でカードを3枚しかプレイ出来ずに敗北した。
事故が起きている手札で何も出来ず、ミラー戦でなす術なく敗北した、あの時の記憶が蘇っているのかもしれない。

だから、今度こそは。
しかも今日は今年度の主人公であるアビスだけではなく、今年一年ともに走り抜けた<CRYMAXジャオウガ>までデッキに入れた。あの時の相棒と今度こそは優勝しなければならない。



そんな同じ思いを背負った者が対峙するとしても、勝者になれるのは1人だけ。


今年の2ブロックフォーマットの総決算として、また、自身のプライドをかけた戦いとして、2人は決勝戦に臨む。



GAME1


先攻はFANASTASIA。
祈るように手札を確認すると、今日は2マナのブーストが駆けつけてくれていた。
とりあえずゲームができることにほっとして<アビスベル=覇=ロード>をマナチャージしてターン終了。




対するおんそくは新弾でメカの強化カードとして配られた、フィニッシャーを1ターン目に召喚。

その名は<DARK MATERIAL COMPLEX>。

来年度のデュエル・マスターズの鍵を握ると言われるこのカードは、今までのメカが課題としていた、打点不足と押し込み性能を補完する時限爆弾として今日、おんそくのデッキに搭載されている。

先月までのメカは打点が伸びないことでデッキの攻撃力が低かったが、この<DARK MATERIAL COMPLEX>は一度動き出せばどこからでもリーサルを組むことができる。
このカードによって、メカは弱点を克服し、最終形態へとたどり着いたのだ。

そしてこのカードの性質は、面の取り合いとターン数経過によって起動する時限式のデザインであるため、はやいターンに場に送り出すことが出来たのは、おんそくにとって最高の滑り出しといえる。あとはカードが8枚下に入るのを待つだけだ。

<DARK MATERIAL COMPLEX>起動まで残り8枚。





対するFANASTASIAは2ターン目、3ターン目と<フェアリー・Re:ライフ>を2回使い、マナブースト。

今日は初動を使うことに成功し、2-4-6のマナカーブを描く。





対照的におんそくは、2、3ターン目の開始時に<DARK MATERIAL COMPLEX>の効果で山札からカードを下に入れる。

<DARK MATERIAL COMPLEX>起動まで残り6枚。


そして3ターン目に<特攻人形ジェニー>を召喚し、FANASTASIAの手札から<深淵の懐炉マーダンロウ>を捨てさせる。

そして<特攻人形ジェニーが場を離れたことで、再び<DARK MATERIAL COMPLEX>の下にカードが増える。

<DARK MATERIAL COMPLEX>起動まで残り5枚。







4ターン目を迎えるFANASTASIAだが、マナブーストとハンデスによって手札が細くなったため、このターンはマナチャージのみ。
この段階でマナゾーンと墓地に<アビスベル=覇=ロード>から出せる強いカードがないのが気掛かりか。


対するおんそくもターン開始時に<DARK MATERIAL COMPLEX>の下にカードを増やすが、これといった有効打はないので、4ターン目はマナチャージのみでターン終了。

<DARK MATERIAL COMPLEX>起動まで残り4枚。



5ターン目にFANASTASIAはようやく<アビスベル=覇=ロード>を召喚。

ターン終了時に墓地から<深淵の懐炉マーダンロウ>を出し、おんそくの手札から<堕カオスマントラ>を捨てさせる。



おんそくの5ターン目。
まず<DARK MATERIAL COMPLEX>の下にカードが送られる。

<DARK MATERIAL COMPLEX>起動まで残り3枚。


そしておんそくは<ドラン・ゴル・ゲルス / 豪龍の記憶>を召喚。

登場時の効果でシールドを1枚ブレイクしたのちに<アシステスト・アルデッド>を場に出し、自身の効果で1ドロー。盤面のメカを増やしていく。



6ターン目を迎えたFANASTASIAだが、手札とドローが芳しくなく、このターンのプレイも控えめだ。

<オ:ンータイ>を場に出して1ドローしたあとに<フェアリー:Re:ライフ>でブースト。
そしてターン終了時に<アビスベル=覇=ロード>の効果でマナゾーンから<ア:グンテ>を場に出し、<<ドラン・ゴル・ゲルス / 豪龍の記憶>をマナに送ることで、次のターンでの革命チェンジを阻止。




おんそくの6ターン目。
ターン開始時に<DARK MATERIAL COMPLEX>の下にカードが送られる。

<DARK MATERIAL COMPLEX>起動まで残り2枚。


そしておんそくの切札である<千羽忍革ボジソワカ>が戦線に投入される。

登場時の効果で墓地が4枚増え、ターン終了時に<ポッピ・冠・ラッキー>と<星姫械 エルナドンナ>を場に。
これでFANASTASIAの<アビスベル=覇=ロード>の踏み倒し効果を封じつつ、除去耐性持ちのクリーチャーを増やす。


トップ勝負になりつつある試合も7ターン目を迎える。
FANASTASIAは引いた<ア:エヌ:マクア>を召喚。

一番上のモードを使用して、2マナブーストしながらマナから<DARK MATERIAL COMPLEX>を回収し、そのまま召喚するが、時すでに遅し。
盤面除去を得意とする黒緑アビスといえど、除去耐性持ちがあるおんそくの盤面を崩すことは叶わない。

いや、相手のクリーチャーを除去しようものなら、場に居座る<DARK MATERIAL COMPLEX>が動き出してしまう、という威圧感がアビスロイヤルを静止させている。




そして迎えたおんそくの7ターン目。

まずおんそくは<アシステスト・アルデッド>召喚。そして1ドロー。

そして引いた<アシステスト:アルデッド>をまた召喚。1ドロー。双極編での日常茶飯事だった、<轟轟轟ブランド>の連続召喚のような光景が令和に行われている。




そしてトップから駆けつける、<アーテル・ゴルギーニ>。


おんそくは-4000するモードを2回選択し、FANASTASIAの<深淵の懐炉マーダンロウ>と<オ:ンータイ>を除去。そしてクリーチャーが場を離れたということは...?




<DARK MATERIAL COMPLEX>、起動。



盤面のメカを横に引き連れながら、<DARK MATERIAL COMPLEX>が、FANASTASIAのシールドを全て吹き飛ばす。


2023年最後の2ブロックフォーマットの勝者として忘れ物を拾ったのは、半年に渡ってメカを研究し続けたおんそくだった。おめでとう、おんそく!!!



                WINNER  おんそく




大会結果





今大会ベスト3カード


第3位 ドラン・ゴル・ゲルス / 豪龍の記憶


まずはこちらのデータを見てほしい。


使用者数10名。もともとのデッキ人気と新弾の強化でここまで数を伸ばした。
今大会ではメカが大躍進を遂げたと言っても過言ではないだろう。

そしてその躍進のきっかけとなったのは、デッキ基盤のメカが強化されたことが大きい。

<星械姫 プリマドンナ>や<アシステスト・アルデッド>、<タンクリオL8>などの序盤を支えるカードが大量に追加されたことも大きいが、<ドラン・ゴル・ゲルス / 豪龍の記憶>によって展開力まで手に入れたのだから恐ろしい。
ちなみに筆者は<ドラン・ゴル・ゲルス / 豪龍の記憶>チェンジ<ドラン・ゴル・ゲルス / 豪龍の記憶>、メガラストバーストドラン・ゴル・ゲルス ブレイク<千羽忍革ボジソワカ>をされて倒れそうになった。それほどまでに強い。
メカの今後の躍進に期待し、3位に選出。




第2位 CRYMAX ジャオウガ

元を辿れば、王来MAX編とはシールドを増やしてEXWINする<MAX・ザ・ジョニー>と、どんな枚数のシールドがあろうともそれらを1撃で吹き飛ばす、<CRYMAXジャオウガ>が戦うストーリーだったのだから、青白ライオネルが幅を利かせる環境でこのカードにお呼びがかからない訳がなかった。

オリジナル、アドバンス環境でも絶賛活躍中のこのカードだが、その凶悪性は2ブロック環境でもちろん通じる。
特に<DARK MATERIAL COMPLEX>から現れるこのカードの威力は凄まじい。

あと3ヶ月で2ブロック落ちしてしまうが、青白ライオネルキラーとして、闇文明にのみ許された強力なフィニッシャーとして、最後まで活躍するであろうこのカードを2位に選出。




第1位 DARK MATERIAL COMPLEX

筆者は<切札勝太&カツキング〜熱血の物語〜>や<流星のガイアッシュ・カイザー>、<飛翔龍 5000VT>など、昨今のデュエル・マスターズのカードの中にはこれまでのゲーム性や定石、セオリーを壊してくるカードが増えていると感じているが、このカードも間違いなくそれに該当すると確信している。

メカのこれまでの課題はとにかくフィニッシュ力だった。
どれだけ横に並べても相手を倒すのに数ターンかけなければならないことがデッキの性質上向き合わなければならない弱点だった。先月までのおんそく選手のリストを見ると、いかに盤面維持するかを重点に置いているかがわかる。

それを<DARK MATERIAL COMPLEX>は補完したのだ。

それもただシールドをワールド・ブレイクするだけでなく、除去が効きにくい押し込み方をする。スパーク系のトリガーを踏まなければターンを返すことなくフィニッシュできるだろう。

これが何を意味するか。
それは青白ライオネルすら貫通する押し込み性能を実現できるということ。

メカが環境トップ足りえる自力を手に入れるきっかけになった、<DARK MATERIAL COMPLEX>を1位に選出させていただく。









あとがき


ここからは文章の語彙がゆるくなります。
オタクの1人語りが苦手な方はブラウザバック推奨。


まずは本年もお世話になりました。このカバレージ企画はもともと、コロナ以降のここ3年ほど、空白の状態になった2ブロック環境の変遷を記録する意味合いと、女子高生がめっちゃ写真を撮るように、思い出の記録のために趣味で始めたものですが、気付けば1年以上定期的に続けることができました。

CS会場で「noteを見て参考にしました!」「環境を把握するために見ています。」と声をかけてもらえた時はやっていてよかったと思いますし、今年は自分以外の方から寄稿していただけたり、CSのイベント運営側の方と話す機会があったりと、色んな方との関わりが増えた1年でもありました。
プレイヤーとしての実力はランキングを走り続ける方より色んな面で全然持っていなくて実力不足ですが、来年度もデュエル・マスターズと関わることが出来ればと思いますので、今後ともよろしくお願いします。





2ブロックフォーマットの話をすると、来年度は全国大会のエリア予選が復活するのが大きいでしょう。

自分は勝手に「2019年以前の2ブロックフォーマットによる、あの熱いエリア予選が帰ってくる!!!」みたいな感じだと思っていますが、これがもしオリジナルフォーマットだったら暴動を起こすかもしれません。

エリア予選ではそれぞれの地区で使えるカードプールが違ったり、研究に割ける時間が異なったりしていて、地域ごとに結果が変わっていました。だからエリア予選のカバレージを読むの、結構好きでした。
色んな事件も起こったりして地域の特色も見ることができたわけですし。
今は2018年以前のものは公式の記録から消えてしまったので、見れなくなったのは悲しいです。ジャッジ枠出場とかもまたやるんですかね?というかdig.cards、なんで消えてしまったん??

(ジャッジ枠大会の記録、これくらいしかなかったです。アイドルの名前、どこにでも出てくる。)


そして何より、DMPランキング以外の方法で全国大会への道が開かれるんです。
現行のランキング制度では、(というか2019年以前もあんま変わらなかったけど。)毎日CSが開かれている地域に引っ越してでも行かなければとてもランキング上位を狙うことはできません。
昔はばんぱく選手が、今だと小判選手なんかがいい例でしょう。

(半年ランキング走るのに40万は飛ぶ。DMPランキングは修羅の世界。)


しかし、エリア予選は違います。店舗大会を抜けて、1日運だけでエリア予選を優勝すればもう全国大会。夢がありますよね。

誰でもデュエル・マスターズ史に自身のハンドルネームを残すチャンスがあるわけです。

そんな大事なものがかかった2ブロックフォーマット、研究が進まない訳がない。
限定構築での戦いが来年度から盛り上がるといいですね。

特に今年のアビスレボリューションは「限定構築を意識しているのか?」と思うほどやりがいがある面白いゲーム性をしています。
デザイナーズデッキが強くて、それでいて文明ごとの特色が分かれている。これでエリア予選できたら最高だったのに.…。

来年の4月になったら害悪デッキの青白ライオネルが2ブロック落ちするので、来年の2ブロックはぜっっっっっったいにもっっっっと面白い。
みなさんやりましょう。というかウォーミングアップも兼ねて今から始めるのも全然アリです。絶対デュエマ!!



次回開催日は超CSと日程をズラしたいらしいので、未定です。1月の最後の週とかになるのかな。
2月1週目と2月3週目で月2開催だとそれはそれでモチベーションが続くから参加者的にもありがたいかもしれません。
せっかくデッキを組んだのに、CSの開催数が少なくてあんま使えないともったいないもんな。


それでは、今年も1年間ありがとうございました。来年度もどうぞよろしくお願いします。



                   おわり





































最近、自分は今年何が出来たんだろうとか、何も達成出来ない1年だったなとか思ったりすることが増えました。

前から知っているがGPなどの大型大会で上位入賞したり、ランキング上位になったりしている良いニュースも見る反面、自分がガキだった頃から知っている人が引退していったり、離れていくなど。

身近な人がメキメキ上達して結果を残していて、1人1人物語があるのを見た1年間だったのが、自分を省みるきっかけになったのかなと思います。

あと、自分もいつまでデュエマができるのかについて考える時間ができたというか。20代中盤なんて普通の人は仕事に精を出して結婚したりするのが普通なんだよな。
時間の流れに抗うことはできるけど、何かを犠牲にしていることを自覚しないといけないなって。
自分に残された時間は少ないと思いながら、来年はプレイしたいですね。

僕はGPでBest8に入賞するまでは引退したくないので、こうして誰かの物語を記録する側をやっているだけじゃなくて、自分が主役になっている日が来るまでは努力しようと思います。あくまでプレイヤーとして。




マジでどうでもいい後日談1

あと、今回のカバレージは、
如何に<DARK MATERIAL COMPLEX>を描くかを意識して書きました。

なにしろ、ドキンダムXやドルマゲドンX、新世壊ぶりのカウントダウンギミックを持つカード+研究が進んでいないお陰でプレイヤーがどれほどの強さか測りあぐねている時期ということで。それはもう気合入りますって。
動き出すまでの威圧感や、対面する側の焦り具合が伝わっているといいな。
というかタイトルも思いついた時、「天才だ!!!!」って自画自賛してました。どっちのカードも英語表記で見た目も似ている、しかもどっちのカードもラスボスポジションっていうすごい偶然の産物です。出来過ぎだってこの展開。事実は小説より奇なり。

(自分で観測した中では)人類で初めて<DARK MATERIAL COMPLEX>を題材に書くという責任を持って、今回はこのように提出します。
よかったら感想をコメントで教えてください。喜びます。





マジでどうでもいい後日談2

アドレナリンパックを開けている時にこのカードが目に入ったんですけど、フレーバーテキストを見てちょっと思うところがありました。ほんとにいいこと書いてる。

元の意味は
「将棋や囲碁、TCGなどのボードゲームみたいな遊びって、1回勝ち負けついたらすぐ盤面を片付けちゃうけど、その一瞬の余韻がエモいよね」
っていうのにかけているんだと思いますが、記憶にだけ残るものを、無理矢理文章にして記録に残してやるのがライターだよなって意味でも取れますよね。深くていい。


カバレージライターの起源はこういう思いだったんでしょう。


バンキシー、はやくカードになってくれ。俺はお前を使いたい。

 

                 ほんとにおわり


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