#6 義理でも良いから…
今日はバレンタイン。
「バレンタインの日空いてる?学校前に来て欲しいんだけど。」
小学6年生の時にクラスの女の子に言われた言葉だ。自分の元にとうとう本命チョコが来るのかとワクワクが止まらなかった。多分ニヤニヤが止まっていなかったはず。単純な男だからね。
当日。胸を高鳴らせて学校前に向かうと自転車に乗った女子が4,5人いた。まさかそんなにチョコを渡してくれる子がいるのか!とテンションがMAXに。
学校前に着くと
「〇〇 おはよう!」「今日はよろしくね!」
「頼んだよ!〇〇にかかってるんだから!」
と女子が自分に向かって言っている。
ん?あれ?なんか思ってたのと違うぞ。
恥ずかしそうにチョコを渡してくれるそういう感じではないのか?バレンタインは幸せになる日ではないのか!?
少しずつ会話を聞いてとうとう自分の立場を理解する事になる。
「男の子の家が分からないから連れていってほしい。」
どうやらガイド要員で呼ばれたようだ。
ここまで来ると悲しさを通り越して、楽しくなってきたのだろう。それを聞いて笑いが止まらなかった。
言われた仕事はしっかりやるタイプではあるので、しっかりと女子達をモテモテのイケメン達のお家へ連れて行った。
ここまでの過程で1つ欲望が生まれてしまった。
「義理でも良いからチョコが欲しい!」
全員の望みを叶えた後、少しだけ。少しだけ。
お礼としてチョコを貰えることを期待した。
チョコが来ることはなかった。
今日はそんな悲しい思いをする人が1人もいないで、多くの人が幸せになることを切に切に願っている。(何様だよ…笑)
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