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#61 春の訪れと共に①

「暖かな春の訪れと共に、ここ〇〇中学校に入学出来たことを嬉しく思います。」

9年前の4月8日、中学校の入学式で自分が発した新入生代表の言葉、冒頭部分だ。


入学式が行われる約1ヶ月前、
小学校の卒業式があった。

我々の小学校は1学年に120人弱いるのにも関わらず、卒業証書を受け取る前に舞台上で一言言わなくてはならないのだ。

「小学校での1番の思い出は修学旅行です!」
「お父さん、お母さん。いつもありがとう」
「将来の夢は〇〇になることです!」

これを言いなさいという決まりはないので、
自分で言葉考えるのだが、大体この3パターンだったような気がする。

小学校の卒業式は何回も何回も練習をして
本番を迎える。

練習は声が出ていないと、
120人の前で永遠と練習をさせられる。
声が小さい人や人前に出るのが本当に苦手な人にとっては地獄のような時間だ。

#3 でも書いた通り自分は信じられないくらい声が大きいので、1度も怒られることはなかった。むしろ褒められるくらい。

体育館の1番前と1番後ろで聞こえ方が変わらないように。というのは常に意識しているので、まあ褒められて当然だろうなと思った。
(すげぇ嫌なやつだな…)


卒業式を数日後に控えたある日
担任の先生から「放課後少し残ってくれないか」呼び出された。

1秒でも早く家に帰りたいので、内心
(いや、勘弁してくれ!休み時間じゃだめなのか!)とイライラしていたのだが
「もちろん、大丈夫です。」即答した。
(本当に情けないな!)

呼び出された部屋に行くと、
担任の先生と学年主任の先生が2人座っていた。なんか悪いことしたのかなと記憶を辿っていたのだが何も思い当たることがない。




覚悟を決めて椅子に座ると




先生「入学式で新入生代表の言葉をやってくれないか。」




(ん?は?)





自分「なんて言いました?」




先生「新入生代表の言葉をやってほしいということです。」

思いもよらぬ言葉に驚きが隠せなかった。
普通なら即決するべきなのだろうが、
すぐには決断することが出来なかった。

なぜなら、
生徒代表の言葉や〇〇の言葉を言っている人に対して「つまらねぇなぁ!」「誰も興味ないわ!」強めの嫌悪感を抱いていた。

楽しんでもらいたい、記憶に残ってもらいたい
という思いが強すぎるが故に小学生ながら
絶対にこんなことはやらないと心に決めていた。
(捻くれていて申し訳ございませんでした)


ただ、やはりせっかく頂いたチャンスなので
無駄にはしたくないと言う思いも強く、
少しその場で考えて
「やらせていただきます。」と返事をした。


部屋を出ようとしたタイミングで
担任の先生が
「好きにやっちゃっていいからね」
そう伝えてきた。






(今、好きにやっていいと言ったな。)
心の中でモンスターが暴れ出す。









「勿論です。自分じゃないと言えない言葉を
みんなに届けるつもりです。」

対してカッコ良くもない、
ダサいセリフを先生の前に吐き出して
部屋を後にした。

続く。

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