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心に響く歌声

何度見ても涙ぐんでしまう。当時13歳、ノルウェーのアンジェリーナ・ジョーダンが、米国の公開オーディション番組で受賞した時の動画。

初々しい表情や仕草が感動的で、ドラマチックに編集された映像がいかんなく盛り上げ効果を発揮してるせいもあるんだけど、でもそれだけじゃない。彼女の声の響きがダイレクトに心の琴線に触れる。とても不思議。

そこで思い出したのが、AI美空ひばりの声。NHKスペシャル企画で、音声合成技術で在りし日の歌声を再現する、ヤマハ技術者の渾身の挑戦だった。

過去の収録音声を学習データとして使ったディープラーニングで、七色の声を持つと言われたひばりさんの細かな発声の癖や、曲種の歌い分けまで再現しようとした。しかも、過去に歌ったことのある曲でなく、新たに準備した新曲で、生前を知るファンを感動させられるかに挑むという興味深い企画。調整を繰り返し、完璧とは言えないまでも、最終的にはかなりいい線までいったらしい。AI恐るべし。

調整の過程で、ひばりさんの声がどうして人の心を揺さぶるのか、いろんな発見があったそうだ。技巧が優れていただけでなく、例えば、前後の音の高さや音楽の流れといった「音楽としての文脈」を大切にして精密に仕上げられていたことが確認できた、とか色々。

学習データとして使われた音声は、レコード会社から提供された歌声だけでなく、幼い息子さんが自分の留守中寂しくないようにと録音してあった、絵本の読み聞かせも入っているそう。色んな気持ちが詰まった声からの再現ということだ。

アンジェリーナの歌声も、同じように解析してみれば。きっといろんな解説ができるんだろうなあと思うけど、今は謎解きよりも心に響く歌声を味わいたいな。

気になるのは、一挙に注目を浴びた彼女を目まぐるしい人生が待ち受けているであろうこと。これからも大好きな歌を歌い続けて、幸せでいてほしい。



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