映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

マルチバースやカンフーアクションが特色の映画だが、基本的には家族の危機を巡るストーリーとなっている。

ほとんど無限にある並行世界の中で、今の人生を生きているとすれば、別の人生に思いを馳せるのは自然なことだろう。今の人生を不本意に思っている人ほど、ほかのあり得た人生を夢想するのではないだろうか。しかし、何人も今の人生から逃れることはできないとすれば、今の人生が悲惨だとしても、それを引き受けるのが主体としての倫理的な態度であると言える。

可能性は無限でも、実際に体験できのは単一の人生でしかない。その中で最善の選択とは、結果としてどうなるかではなく、インテグリティに基づいた選択であると思う。

【以下、ネタバレあり】

ラストでエブリンが父親に娘のガールフレンドを紹介するところは、それを表しているように思った。つまり、最初に「友達」という不正確な紹介をしたのとは異なり、そこでは真実を告げている。それが相手にどういう影響を与えるかよりも、真実を優先しているのである。それがインテグリティということだと思う。


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