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希望と栄光の国 ー プロムス2012より

イギリス・ロンドンで毎年夏に開催される BBCプロムス(The Proms、BBCプロムナードコンサート)は、8週間に及ぶ一連のクラシック音楽コンサート・シリーズです。

1895年より開催されており、主にロイヤル・アルバート・ホールなどで行われるコンサートやその他のイベントで構成されています。

主会場のロイヤル・アルバート・ホールは毎回超満員となり、入りきれなかった人々およびロンドン近郊に居住していない人々の為に、大画面テレビ中継(パブリックビューイング)が行われます。
初期のころ、ホールに隣接するハイド・パークのみで行われていたこの中継は、2005年よりベルファスト、グラスゴーおよびスウォンジーの各都市に拡大され、その会場に集まる人々の総数は数万人に達します。


「BBCプロムス」の最終夜の最終曲は、イギリスの作曲家エドワード・エルガーが作曲した『威風堂々』(いふうどうどう、原題: Pomp and Circumstance)作品39。

原題の「Pomp and Circumstance」はシェイクスピアの戯曲『オセロ』第3幕第3場の台詞、"Pride, pomp and circumstance of glorious war" から取られており、「名誉の戦争の誉れも、飾りも、立派さも」なんて風の意味なので「威風堂々」という訳には少々抵抗がありますが、ともかく、

観衆は、『威風堂々』が演奏され始めると、一斉にリズムをとり、熱気と高揚のクライマックスの中、イギリス(とその友好国の)国旗を振り、以下の「希望と栄光の国」( Land of Hope and Glory )の大合唱が沸き起こるのです。

Land of Hope and Glory,   希望と栄光の国
Mother of the Free,      其は自由の母よ
How shall we extol thee,    汝より生まれ出でたる我々は
Who are born of thee?    如何に汝を褒め称えようか?
Wider still and wider     広大に、いっそう広大に
Shall thy bounds be set;     汝の土地はなるであろう
God, who made thee mighty,  汝を偉大たらしめたる神は
Make thee mightier yet      いまなお汝を偉大にする
God, who made thee mighty,  汝を偉大たらしめたる神は
Make thee mightier yet.     いまなお汝を偉大にする

プロムスの会場内のみならず、パブリックビューイングの会場に詰めかけた数万の民衆も、大声を張り上げ、国旗をうち振り大合唱。
その様は、まさしく熱狂的です。

ご紹介の映像で、2012年の指揮者 イルジー・ビエロフラーヴェクさんは
その熱狂に応え、
「素晴らしい、あなた方はほんとに素晴らしい。」
「一回だけで終わりにするのはもったいないので、もう一回やりましょ」
と、軽くスピーチをして、再度演奏するのです。

私スピンは、静かな静かな新年に、繰り返しこの映像に見入り、
「あぁ、日本人はこの熱狂を忘れてしまっているのではないか・・・」
「これほどまでに揃って国旗を打ち振り、国の栄光の歌詞を叫ぶ景色を、
 日本で見ることはあるのだろうか・・・」
と、毎年、ため息を漏らすのです。

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