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【映画】パリに見出されたピアニスト

原題: Au bout des doigts( フランス語:この指で(未来を) )
封切:2018年
監督:ルドヴィク・バーナード
主な出演者:
 マチュー・マリンスキー:ジュール・ベンシェトリ
 ピエール・ゲイトナー:ランベール・ウィルソン
 女伯爵エリザベス: クリスティン・スコット・トーマス 他

パリ北駅の出勤時間帯の喧騒の中、パーカーと穴のあいたジーンズを着た20歳の青年マチュー・マリンスキーが、駅構内の駅ピアノでバッハの「前奏曲とフーガ第2番ハ短調」を弾く映像から物語りは始まります。

これまで誰も弾かなかったような高速のバッハがまず衝撃的です。

が、マチューはパリ郊外の労働者層が住むエリアの出身で、まともな音楽
教育を受けたことはなく、実はまともに楽譜も読めない青年でした。

その音楽に聞き惚れ、こんな青年がどうして かくも見事なバッハを演奏しているのか理解できず、呆気にとられて見惚れているパリ高等音楽院のピアノ科のディレクターのピエール。

ピエールはピアノ教育の最高峰のパリ・コンセルバトワールの教育面の最高責任者でありながら、自身は「音楽で迷子になり」、入学者が減少している音楽院を立てなおす為の妙策も見当たらず、また数年前に自身の息子の病死という不幸に遭い、生きる目的を失いかけた時期にありました。

この物語は、
天才的な音楽性を持ちながら社会の底辺に淀んでいた青年マチューと、
マチューの天才的な演奏能力を磨き上げて一流のピアニストに育て上げたいと考え始めたピエール。それを手伝うピアノ教師エリザベス(伯爵夫人という綽名で呼ばれる人)。
マチューを応援するアンナ(音楽院に学ぶ女性)、労働者社会でのマチューの友人達のケビンやドリス、そして、マチューの家族たちの物語であります。

物語の中で演奏される音楽が掛け値なしに素晴らしく、何回も聴いてしまいます。
冒頭の、バッハ「前奏曲とフーガ第2番ハ短調」
そして、リスト「ハンガリー狂詩曲 第2番」
最後に弾かれる、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番 第1楽章」

実際にこの演奏をしたピアニストは、ジェニファー・フィシェさんですが、
出演者たちの、誠に素晴らしい「演奏の演技」も見所です。

さて、映画レビュー記事ですので、ストーリーは詳しくは書きません。

ですが、主人公のピアニストとしての才能を見出し、一流のピアニストに育て上げようと奮闘する大人たちが、マチューの芸術性が噴き出るラストシーンで「教え育てることの感慨」を学ぶのだ、というメッセージを、どうか、受け止めてあげて欲しいと願います。



PS:私スピンは、アマゾンのプライムビデオにて、好きな処を繰り返し
  聴いております (o^―^o)ニコ
  どうぞ、字幕版を選んでご視聴ください。どうも、最近の吹替え版の
  声優さん達は演技力不足で聴くに堪えません。

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