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ショスタコービッチ:セカンド・ワルツ

ある日、 FaceBook を通じて共有されて知った、素敵な映像をご紹介いたします。

  曲は、ショスタコービッチの「舞台管弦楽のための組曲第1番」より
「ワルツ第2番」。通称「セカンド・ワルツ」という名で知られます。

ご留意くださいネ、この YouTube映像の作者は、故意に、複数の映画の
シーンを組み合わせて、映画原作とは、まるで異なる「ストーリー」を
仕掛けておられるのです。

とある時代、とある場所で催された貴族たちの舞踏会。
美しき女性たちは、良きパートナーを、あるいは婚姻の相手を、あるいは
今宵一夜限りの相手を探しています。他の女性たちの選ぶパートナーをも
同時に値踏みしつつ。

男性たちは、貴族とその子弟で、朝廷の軍の高官位につく男たち。
同様に物色し、比べ、値踏みしつつ、今宵のパートナーを選んでいます。

次々に手を取り合う王朝貴族の男女たち。
カップルが次々と踊りだします。

    ≪ そして、時間が交錯 ≫

王朝貴族たちの眼に、自分たちとは別の(新しい)時代の、愛を誓い合った
新しいカップルが、結婚の儀式の後に、参列した人々の中で踊っている
「現代の情景」が見えたのです。

その男女は、シンプルで清廉な衣服を身をまとい、愛を誓い合ったばかりの二人の様子。友人や親せきから、多くの祝福を受けたばかりの二人は、幸福に溢れ、輝いています。

この景色を見た若き王朝貴族の娘たちの眼に、驚き と 羨望 の光が灯り、
高位の女性たちの顔には、憎々しげな表情が浮かびます。
「一体、いつの世に、どの世界で、あのような平民どもに、われわれの為の音楽で、同じダンスを踊れるというのだ!」という激しいサゲスミ。

「あちらの世界は、幸せそう。行ってみたい・・・」というトマドイ。

そして、あっけなく、チャンチャンと、音楽は終わってしまいます。

曲は、ショスタコービッチが、強制的に所属させられてたソビエト・ジャズ委員会の依頼 (実質、命令)により、ソ連におけるジャズの普及を目的として作曲させられたものなのです。

( ショスタコービッチが、命令を鼻であしらい、サラサラっと書き上げ、( ポイっと投げ返した情景が目に浮かびます。
( 曲に埋め込まれた、田舎臭ささ、醜悪さ、アザケリ、等々・・
( 無論、この曲がジャズとは、全く無縁であることは明瞭ですゥ・・・

チャンチャンッと切り上げ、貴族社会や専制国家をあざける、作曲家の痛快ぶりが、見事に埋め込まれている、と私スピンには聞こえるのです。

このYouTube映像を作られた方は、このクリップを作成する際、数本の映画
シーンを組み合わせた、とコメントしておられます。

明らかに冒頭は、映画「山猫」(The Leopard:1963年)の一画面です。
バート・ランカスターやアラン・ドロンの姿をご確認いただけるかと。
その後には「アンナ・カレーニナ」(1993年)や「戦争と平和」(2007年:TVシリーズ)が使われております。
ソフィ・マルソーやショーン・ビーンなどをご確認いただけるかと。

そして後半に登場する、現代に近い幸せそうな新婚さんのシーンは、「Pierwszy taniec Dagmara & Artur(2011年)」のシーンです。
ご参考まで、そのURLを添付いたします;
https://www.facebook.com/watch/?v=1375704092674590   

複数の映像をまことに見事に組み合わせて作られていること、貴族社会に
痛烈な皮肉を投げているかのような編集といい、誠に痛快な作品で、スピンの愛聴盤ですゥ (o^―^o)

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