今日からプロレスの見方が180度変わる話。
※この記事は2019年12月の記事を修正加筆したものになります。
【第一章〜プロレス界のタグライン〜】
そもそも、皆さんご存知の通り、プロレスはショーです。
それに対して格闘技は、シナリオも勝ち負けも事前に決まっていない、完全なるシュート(真剣勝負)です。
この棲み分けに、“今となっては”誰も疑いを持ちません。
しかしながら僕が少年だったころ(30-40年くらい前)、プロレスはシュート(真剣勝負)だと一部のマニアで言われていましたし、自分もそう信じていました。
すべては、この人がこんなタグラインを掲げたからです。
↓↓
『プロレスこそ最強の格闘技である』
そう、これは、20世紀不世出のスーパースター、
アントニオ猪木の発言です。
有言実行の猪木は、この素晴らしいタグラインのもと、空手家や柔道家、現役のボクシングヘビー級世界チャンピオンまでプロレスのリングに上げさせ、勝利することでプロレス最強論に拍車がかかりました。
そこに集まったのは、我々のようなファンだけでなく、後継者として独立していく佐山サトル(初代タイガーマスク)や前田日明、高田延彦、藤原喜明といった選手層、そして、興行を盛り上げたケロちゃん、プロレス中継に革命をもたらせた古舘伊知郎も、このタグラインにまさに引っ張られた人たちです。
所謂プロレスというジャンル自体のアウターブランディングとインナーブランディングが80年代に確立したわけです。
しかし、2000年初頭、一人のレフェリーの暴露本によって、そのタグラインは”ただの言葉”に変わりました。
一番近くで名試合を裁いていたメインレフェリーが、「プロレスは完全なる八百長である」と、歴史に残る過去の試合の裏側をすべて暴いた本です。
当時、社会人になったばかりだった私は、信じていたものが崩れたことでかなりショックを受けました。(それまで信じていたんかいっ!)
そして、恐らく私だけでなく多くのプロレスファンが、プロレスに失望し、プロレスから離れ、K-1、PRIDEといった真剣勝負の格闘技に流れ込んでいきました。
プロレス暗黒期の突入です。
しかし今はプロレス人気は不死鳥のように見事に蘇りました。その理由…
そこには、私の持論があります。
ビジネスにも通じる、持論…
プロレスにあって、格闘技にないもの…それは、、、「愛」です。
プロレス人気再燃の根底に『必ず最後に愛は勝つ』理論があったのです。
【第二章〜必ず最後に愛は勝つ〜】
「新日本プロレスのファンの皆さま、愛してまーす」
これは新日本プロレスのエース、棚橋弘至のマイクパフォーマンスで必ず言うセリフです。
「愛している」対象は、会場に足を運んでくれたまたは中継を見ている顧客です。プロレス界のエースが、何万人の中の一人ひとりを意識して、マイクで叫ぶのです。
全ての格闘技者が「自分が一番強い」または「強くあろうと」と思って日々トレーニングを重ねています。
対戦相手からKOまたはギブアップを奪った時なんかは「どうだ!自分は強いだろう!!」と全身を使って観客にアピールします(全員が全員そうではありませんが)。極限状態から解放されたあの瞬間は人間の本能的なムーブかもしれません。
真剣勝負である格闘技の「強さ」というのは実は曖昧で、目の前の対戦相手のお陰で自分の強さが測られています。というか見られています。
その前提を忘れて自分を誇示する…つまりそれは、欲求のベクトルが自分自身に向いている証拠です。
一方のプロレスは、その欲求ベクトルが顧客、に向いています。
観覧・閲覧している顧客のために、相手と一緒になってある意味で後世に残る“素晴らしい作品”をまさに命を懸けて作り上げているのです。
なぜ、身を粉にしてこんなことができるのか…
それは、プレイヤーもフロントも、本気で顧客とプロレスを“愛してまーす”状態だからです。
私は時に「プロレスってクリエイティブだなあ」って思います。
それは職人気質の選手もいるんですけど、試合は結局相手選手と観客とつくる“作品”なんです。
だからプロレスのことを「ファイティングオペラ」って表現した人には心から共感しました。
プロレス人気再燃の理由として、プロモーションの仕方やSNS戦略は確実にあります。でも敢えて今回はそこにスポットを当てるのではなく、大前提から話したかったのです。
今の新日本プロレスが過去最高に売り上げているのは、それぞれ興行としての、試合としての“作品”が、過去とも他社とも比べようもないくらい、クオリティが高いのです。マジで。
私は広告プロダクションで働いていますが、営業業務も担います。
売ろう売ろうとすると売れない…欲求ベクトルが、自分に向かないようにいつも気を付けています。
逆に気を付けないと、欲求ベクトルがすぐに自分に向きます苦笑
自分に向きそうになった時の合言葉は、、
愛してまーす
です。
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