僕のご主人様は、僕にハーネスを付ける時に、とっても申し訳なさそうに付ける。
それはそうだ、誰だって、拘束着なんて着けたくない。
それに、僕は霊感犬で、ご主人様のことが大好きだから、ハーネスを着けてないからって、逃げ出したりはしない。

そのことは、ご主人様も、よくわかってる。
でも、「ポチを守るためなんだよ～」と、ご主人様は口にする。

確かに、過去、何回か、突然、飛び出してきた車にはねられそうになったことがある。
後は、訳の分からない変な人に蹴飛ばされそうになったこともある。
そういう時に、ハーネスがないと僕を引っ張って逃げられないから、しょうがなくつけるのだと、ご主人様は言っている。

確かに、最近、変な人間が多くなった。
いろんなものを憑けている人が多い。
それで、つい、僕は祓ってやろうと吠えてしまう。

蹴飛ばされそうになった理由もそれ。
とっさに、ご主人様が、僕を抱いて逃げてくれたから、事なきを得たけど、あれは、危なかった。

そんなこと以来、僕のご主人様は、より用心深くなった。
ちょっとでも、変な雰囲気の奴がいたら、道を変える。
そうやって、僕のことを守ってくれている。

そんな話をご主人様が、お母さんと１つ上のお姉さんにしていたら、１つ上のお姉さんが、
「どうも、都市開発の名の下に、昔、封印された結界が壊されているせいで、いろいろなことが起きているらしいよ」と言っていた。

その話を聞いて、僕は合点がいった。
本当に、最近、変なものが多くなった。

ご主人様が変なことに巻き込まれませんように…と、僕は心から思っている。