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右腕

きょうは私の大切なYさんについて書こうと思う。

彼女は、2019年4月に私の働く保育園にやってきた。人事の人から「とても頼りになる人が入るよ!」と教えてもらって、当時の園長とすごく喜んだのがついこの前のことのようだ。

人懐こい笑顔で気さくな人柄のYさん。
世代が近いこともあって、打ち解けるのにさほど時間はかからなかった。

その年の10月。園長が産休に入るタイミングで、当時主任だった私が園長、そしてYさんが主任になることが決まった。しかし急なお産となったため、引き継ぎもままならない状態で、新任園長・新任主任コンビとして新たなスタートを切ることになった。

慣れない園長業務でアップアップの私を、主に支えてくれたのはYさんだった。しかし彼女は彼女で、久しぶりの電車通勤による疲れから転職を真面目に考え始めた頃だった。
あの時、Yさんが辞めてしまっていたら、今の私は絶対にない。

あれから約3年半、私が園長としてここまで走って来られたのは、園のスタッフや保護者の方、事務局メンバー、みんなのおかげだ。中でもYさんの存在は例えようもないほどに大きい。
彼女は主任としてだけではなく、ひとりの人間としてみんなに寄り添い、現場を支えてくれた。

そんな彼女が、この4月から他の保育園に行くことが決まった。異動の候補にあがった園は今より通勤に時間がかかるので、もっと近いところでなんとかならないかと、人事に何度かかけ合った。人事の方でもできることは全部してくれたと思う。しかし、最終的にYさんしかいなかった。それを本人に伝えることが、今年度最後の私の仕事になった。

「わかりました。○○園に行きますね。」
と、言ってにっこり笑ってくれたYさんの顔を、私は一生忘れないだろう。

彼女と過ごした日々を振り返ると、本当にいろいろなことがあった。コロナで世の中が随分と変わり、保育の現場も一変した。初めてのことばかりで悩むことも多かったが、常に一緒に考え行動してくれたYさん。

本当に本当にありがとう。

4月から右腕を失う私は、バランスを崩して上手く歩けないかもしれない。だけど、Yさんの背中を見て、彼女から学んで、着実に力をつけてくれている後輩達がいることも確かだ。

そして、そんな彼女が持つ高い保育力や育成力が、他の園で活かされるならこんなに素晴らしいことはない。
新しい場所での更なる飛躍を心から応援したいと思う。

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