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巻き込むのではなく、巻き込まれたいと思わせろ!【実践!スポーツビジネス道場#05】


←第4話

ポッドキャスト番組「実践!スポーツビジネス道場」の文字起こし記事です。
「実践!スポーツビジネス道場」は一般社団法人スポーツビジネスアカデミ(SBA)の公式オンラインサロン「THE BASE」が毎週木曜日に配信しているポッドキャスト番組です。
スポーツビジネス界で奮闘する若手ビジネスパーソン、酒井翼さん(東京都社会人リーグ2部所属のサッカークラブ「TOKYO.CITY.FC」でスポンサー営業を担当)が日ごろの業務での葛藤や悩み、アイディアをスポーツビジネス界の第一線で活躍し、SBA代表理事を務める荒木重雄さんに壁打ちし、成長していく様子をお届けしています。


酒井)こんにちは。TOKYO.CITY.FCの酒井翼です。
前回はスポンサーシップセールスに関して僕が考えていることを荒木さんにぶつけさせていただきましたが、今回はスポンサーシップセールスを進める中で人の巻き込み方が大切だと感じている一方課題と感じてる部分でもあるのでご相談をさせてください。

荒木)はい。

酒井)はい。スポーツの一番の価値の話しからすると、そこって荒木さんが色々お話されてる部分かと思うんですが、大きな部分としてリソースが少なくても人を巻き込んで様々なアクションにつなげていきやすいことだと思っています。
例えば行政からのサポートが一般企業に比べて受けやすかったり、サッカークラブに関わってみたいという人がたくさんいたり、地元のスポーツチームだからという理由で取り上げてくれるメディアがいたり。
一方で集まってくれている人の力を最大化させるために、巻き込み力がまだまだ足りないなと思っていて、そこを荒木さんにアドバイスいただけたらなと思っています。

荒木)人を巻き込むことって大事だと思うけど、課題と感じている「人を巻き込めていない感」ってどんなこと?

酒井)今、課題と感じているのは、年上の方の巻き込み方です。
前提としてTOKYO.CITY.FCの組織の話しをすると、現在フルタイムメンバーが5名、ライフワークメンバーが20名で運営しています。ライフワークメンバーには社会人もいれば学生メンバーもいるような感じです。
その中で年上メンバーは僕より知識や経験もあるので、うまくその方たちを巻き込むことが大切だとは思っているんですが、一方で遠慮してしまったりとか、ライフワークとしての働き方なのでどこまでお願いしていいのかと躊躇してしまったり。。
結果として自分で考えるより良い方法がありそうなことであっても自分の頭で考えてしまったり、自分でタスクを一人で抱えてしまったりしていると感じています。
荒木さんは若くして外資系で社長になられて、ご自身より年上の方に指示を出すシーンも多かったと思いますが、年上の方を巻き込む時にどういったことを意識していたか等、アドバイスいただけたらなと思っています。

荒木)なるほどね。すごく気持ちがわかる。俺も若いころ苦労して苦労して同じような壁にぶつかってきた。経験の中で突破口を見出してきたいくつかのポイントとして、これはあくまで参考というか、経験値の共有になるけど。
うちの会社にも行動指針10則というのがあって、「人を巻き込む」はその中の一つにもしているんだけど。おっしゃる通り事を起こそうとしたときって自分一人だと物理的な時間の問題以外にも、やれることの範囲がガラッと変わるので巻き込めば巻き込むほど大きな画が描けるっていうのは当たり前の事だけど、じゃあ現実問題どう巻き込むかというと、人を巻き込もうっていうアプローチだとなかなかうまくいかなくて、基本お願いモードになってしまう。つまり巻き込もうとしているという態度になっちゃうわけで。理想的には巻き込まれたくなる行動をするということが大切だと思っている。この違いわかるかな?

酒井)ちょっと今イメージ湧かなかったです。もう少しお伺いしていいですか?

荒木)「巻き込もう」は翼(自分)が主語になるよね?「巻き込まれたい」は相手が主語になる。相手が巻き込まれたくなる行動ってどういう行動ですか?っていう逆の言い方もできるよね。
スポーツでも音楽でもなんでもいいんだけど、ファン心理と似ていて。ファンになるってどういうことかというとアーティストだったり、ファンになる対象の人がファンになってください!って言ってファンになるもんじゃないと思うんだよね。

酒井)たしかにたしかに。

荒木)自分から寄ってくわけでしょ?それってその人に何かがあるから寄っていくわけだよね。その寄っていこうとしている人が、仮に気を使っているなあと思っている人にたぶん寄っていかなくて。
やっぱり巻き込む人っていうのは一つの確固たる個性だったりあるいは圧倒的なリーダーシップだったりとか夢、熱量、情熱とか人が巻き込まれたくなる何かを持っているから人ってそこに寄っていくということなんだよね。だから自分から何とか巻きこませようと思った瞬間に矢印が逆になるじゃない?それって自分だけの問題じゃなくてビジネスモデルにも深くかかわっていると思っていて、俺は顧客マーケティングとファンマーケティングの違いって言っているんだけど。

酒井)顧客マーケティングとファンマーケティングの違い?

荒木)じゃあスポーツってなんでお客さんの事ファンっていうの?っていう。他の産業では言わないよね。
スポーツとかエンタメってお客さんの事ファンて言うじゃん。その違いって何かって考えたことある?

酒井)あ~。考えたこと無いです。最近のマーケティング系の本とかで一般的な商品もファンを作ることが大事だと言われているのは感じています。

荒木)なかなか音声だけで伝えるの難しいんだけども、わかりやすい説明になるかなあ。。
例えば翼がある商品を持っているとします。翼という一つの丸い円とその下にお客さんという違う丸い円の2つの円がある状態。

酒井)それはつながっていない?

荒木)繋がっていない、離れている状態ね。
そこで翼が持っているサービスを下の円の人たちに買ってもらうよね、普通。それは上から下に対してプロモーションするよね?買ったもらうために商品を下に届けに行くわけですよ。お客さんはその商品を自分のものにして、自分のものにした自分に価値を感じるから、それがつまりブランドなんだけど。自分自身が身につけている服だったり車だったり...。要は物を売る・届けるわけ。

酒井)僕のプロダクトをお客さんに対して届ける。

荒木)そう、それが顧客マーケティング。それをどうやったら売りやすくなるかとか。場合によっては翼以外の競合がいるのでどうやって競合に勝って自分の商品の方がより良いかということをアピールするのかが顧客マーケティングだよね。
いわゆるマーケのツールの3Cのコンペティターとかを意識したりとか4Pとかのプロダクト・プロモーションとかを意識してとにかく顧客に対してどう売るかというマーケティングをするわけだよね。
一方でファンマーケティングは物を下に落として売るのではなく、翼(プロダクト)の円にいかにお客さんを入れ込むかっていう。

酒井)あー、なるほど。

荒木)商品をお客さんに届けるのではなく、お客さんから商品に寄ってくる状態にするっていうことがファンマーケティング。
これがファンマーケティングと顧客マーケティングの違いと理解していて、これの違いはそもそも売ろうとしていないということ。そこに対してその円の中に入ってくるというのは、ファン・お客さんから中に入ってくる状態。
つまりそうなったときのマーケティングのやり方は違うわけで、あえて言うと顧客マーケティングは巻き込もうとしてマーケティングしていて、ファンマーケティングは巻き込まれたくなるようポジションを取っているから人が巻き込まれていく。
だから確固たる自分というか、それがクラブなのか翼(自分)なのか、何か一つ強烈な個性を持って行くことがそもそも大事なことだと思うんだよね。
クラブの立場としての魅力、翼としての魅力を、そこに確固たる信念をもってやり切る姿勢が重要だと思う。

≪第5話 終わり≫

■登場人物
➤荒木 重雄 Shigeo ARAKI
一般社団法人スポーツビジネスアカデミー(SBA)代表理事。
株式会社SPOLABo、株式会社スポカレ代表取締役。2005年に千葉ロッテ球団の執行役員・事業本部長、パシフィックリーグマーケティングの取締役執行役員を歴任。日本サッカー協会(JFA)の広報委員をはじめ、官公庁のスポーツ関連プロジェクトなどにも多数参画。
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➤酒井 翼 Tsubasa SAKAI

J1から数えて8部に相当する、東京都社会人リーグ2部に所属するサッカークラブ「TOKYO CITY F.C.」にてスポンサー営業などを担当。
スポーツクラブで働きながら、1000万円プレイヤーになることを目指し、日々奮闘中。
TOKYO CITY F.C. 公式サイトはコチラ

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日米英に拠点を置き、スポーツビジネス界の第一線で活躍する理事4人が世界の最新スポーツビジネストピックスを発信する「理事会」や、スポーツビジネスの各専門分野に長けたゲストをお招きし、担当理事とのトークディスカッションをお届けする「サロン」など、スポビズパーソン注目のコンテンツを定期的に発信しています。昨今のコロナ禍を経て、オンラインでのコンテンツを強化し、直近のサロンはほぼアーカイブにて配信中!(いつでも何度でもご視聴可能!)
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