#17 ライト層とコア層を考える

最近さまざまなシーンでプロスポーツが「ビジネス」として語られ、
競技云々ではないところでの魅力訴求こそが来場者数拡大のカギとして語られています。
プロスポーツとビジネス。
今まではあまり交わることのなかったこの二つがようやく日本でも語られ、
スポーツをビジネスとしてとらえる風潮が出来上がりつつあります。
それはそれで喜ばしいことです。
スポーツが文化となるためには、多くの日本人がスポーツを日常の中に自然と取り入れられる環境がなければなりません。
では、その環境を作るためには。
色々な必要要素があれど、まずは「継続性」。一発だけの打ち上げ花火ならばあげられるかもしれない。
でもそれはブームであって文化にはなりえないのです。
継続させるには当然資金が重要で、それをうまく得る方法、それがビジネス。だからスポーツにとってビジネスは決して悪ではないのです。

そのビジネスの観点から、さらに最近よく聞こえてくるのが、これです。

「ライト層の獲得」。

ライト層とは、その競技にたいするリテラシーが低い人。
もしかしたら興味がない人。
こういった人たちをうまく取り込み、観客動員を増やすためには。
こういった人たちが、また来たい!と思うような施策とは。
そんなことが色々な場所で様々な人たちによって語られ、実行されています。

一方でもともといた層、「コア層」という人たちも存在します。
この層も大事にしていかなければいけない。問題はこの二つの層をどう融合するのか。

というわけで、第17回は、「ライト層とコア層」について考えてみたいと思います。




本当にライト層獲得が最重要か

今回はライト層獲得の施策を考える、というわけではありません。
もう少し根本的なところ、結局、ライト層獲得が一番の重要ポイントなのか、という点を考えてみたいと思います。
というのも、サッカーにおいて、私自身はおそらくはライト層にはあたらないのです。
どちらかといえばコア層。特にJリーグに関しては筋金入りのコア層にあたると思います。
そんな私からすると、日々語られる「ライト層獲得こそが重要」という風潮についつい疑問を抱いてしまうわけです。
もちろん、巷で語られる施策はちゃんとしたビジョンのもと行われているわけでしょうから、獲得したライト層をライトのままでは終わらせない、といったところまで考えられているのでしょう。
とはいえ、です。
そうだよね、ライト層、大事だよね、と素直に思えない自分がいたりするのです。
これが本音です。
なので、自分自身を納得させる意味でも、一度考えてみようと思いました。


コア層の心理

では、逆にどこまでいけば、「コア層」なのか、という話もありますね。
私の場合でいえば、ホーム試合は年間ほぼ現地観戦。アウェイは最近行けなくなりましたが、テレビや情報は逐一チェック。応援するクラブの選手の名前はほぼ全員言えるし、もちろんルールも知っている。
そしてこの生活をもう20年近く続けています。
これは、文句なしの「コア層」ですね。チームを愛し、チームの勝利こそが最大の喜び。スタジアムに何故来ているのか、といえば、試合を見にきている。もっといえばチームの勝利を見にきている。でも、たとえ負けたって次もまた来る。そんな感じでしょうか。
そしてコアはコアを呼ぶわけで、普段スタジアムで会う仲間は全部、こんな感じのコアな人々です。

コア層はそれが幸せと感じ、チームを生きがいと考えています。
しかし、かたやライト層からすれば、それこそが観戦のハードルをあげている(らしい)のです。
自分はそこまでではない、というかちょっと楽しみたいだけなのに。
というか、今現在はあまり知らないけどちょっと行ってみようかなと思っただけなのに。
勝った負けたに青筋たてて、時には涙する。そんなところに自分は行けない。というか、行っては行けないんじゃないか、、とまで思っているかはわかりませんが、とにかくハードルを上げまくってしまっているようなのです。
そこでそんなライト層にも「いいんですよ、気軽に来ても」と思わせるために、また勝敗だけではない魅力を伝えるためにスタジアム外でイベントをやったり、色々な分野とコラボしたりといった施策が編み出されているわけです。


相容れない層

コア層とライト層。
この二つは本当に相容れない二つです。
お互いがお互いのことを理解できない(もしかしたらしようとも思わないかも)。
例えば自分の子供にたいしての誘い方にも違いがあるような気がします。
「サッカー見に行こう!」「有名選手が出るよ!」「イベントで仮面ライダーくるよ!」といって誘うのがライト層だとしたら、
コア層は「チームを応援しに行こう!」の一言でしょう。これはあくまで想像ですが。
しかしながら、この二つの層がチームを支えているのは事実です。
そう、どちらか、ではなく、両方なのです。
もちろん、みんなわかっている事だとは思いつつ、何故か最近ライト層優先の考え方な気がして少し気になります。
被害妄想でしょうか、、、

例えば、試合中、スタンドを盛り上げるのはいつだってコア層です。
それはサッカー、野球、バスケ、、さまざまなプロスポーツの共通点だと思います。
もしコア層が少ないチームがあれば、そのチームは盛り上がりに欠けているでしょう。
コア層が盛り上げているチームで代表的なのが、浦和レッズであり、阪神タイガースであり、
今でいえば広島カープでしょう。
カープはカープ女子など、いわゆるライト層へ向けたプロモーションを積極的におこない、
人気が急激に上がったように見えます。スタジアムも街中に新調し、さまざまなテーマの席種を販売することで
人気球団へと駆け上がった感があります。
しかし実際は広島という土地・地域にねざし、もともとコア層がしっかりした球団だったわけで、
女性客や新規客が増えただけでマツダスタジアムがあれだけの盛り上がりを見せたかは疑問です。

つまり、ライト層がスタジアムの雰囲気に魅力を感じ、リピーターになるきっかけを作っているのは他ならぬコア層だったりするのです。

自分がコア層という事もあり、なんだか自然と弁解してるようになってしまいましたが、、、


なぜライト層なのか、というヴィジョンが差を生む

どうしても偏った考えになってしまっていると思いますが、
そこを差し引いたとしても、
スポーツ文化醸成という面からすれば、いかに「コア層」を増やすかという事は重要なポイントであると考えています。

しかし、すべての人が最初からコア層ではないわけで、
そこで重要なのがライト層の獲得という事になるわけです。

なぜライト層獲得が重要なのか、といった目的や、その後いかにコア層へともっていくか、といった将来像までを見据えたヴィジョン。

それがあるチームと無いチームの差が数年後には大きな差を生むように思えます。


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スポーツを考える人

スポーツがもつ、さまざまな事柄について、個人的に勝手に考えます。スポーツが日本の文化になる日を夢見て。(不定期連載中)
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