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【進路に悩む高校生必見!!経済学部で何を学ぶ?】6.コーポレートファイナンス編


はじめに


 今回は経済学部で勉強するコーポレートファイナンスについてどのようなことを学ぶか解説します。進路や学部選びに迷っている高校生、学問に興味のある大人の方に向けて、現役経済学部大学生が解説、紹介します。

 「コーポレート・ファイナンス」「企業ファイナンス」「企業財務」「財務管理」などとも呼ばれたりします。また、金融工学にも通じる学問です。

 前回はマクロ経済学という学問を紹介しました!いろいろな学問を紹介しているので是非見てください!



コーポレートファイナンスはどういう学問?


 コーポレートファイナンスではどのようなことを学ぶか説明します。

 コーポレート・ファイナンスは、数理モデルを用いて、企業の資金調達、投資、資産管理について研究する学問です。具体的には、株式や債券の発行プロジェクトの評価リスク管理などが含まれます。つまり、投資家の意思決定を数理モデルを用いて研究していく学問です。

 この学問は数学を用いるのですが、投資の判断や株の値動きなどを数式で表現します。この点が個人的に面白いと思います。

 よく株式投資は「分散投資がおすすめ」と言われていますよね。コーポレートファイナンスを使えば分散投資はリスクが低減されることを理論的に考えることができます。これは私もびっくりしました。

 具体的にどういう学問か見ていきましょう!


具体的に紹介:企業価値とは


 コーポレート・ファイナンスとはどのような内容を扱うか説明します。

・企業価値の測定
・レバレッジ効果
・MM命題
・ポートフォリオ
・CAPM

などといった項目を勉強します。


企業価値の測定


 企業価値について紹介します。ところで次のプロジェクト案を見てください。

 今、370万円の投資をすると、1年後に400万円のリターンが返ってくるプロジェクトがあります。金利は10%です。

 あなたはこのプロジェクトに投資をするでしょうか?

 「今、370万円を払ったら400万円で返ってくるってことは、差額の30万円を貰えるということでしょ?」実はそうではないのです。ポイントは金利10%にあります。

 金利10%とは、お金の価値が1年間で1.1倍されるということです。本当は銀行などに預ける利子を指すのですが、ここではお金の価値が増えるとしましょう。現在の100万円が1年後には1.1倍されて、110万円になるというイメージです。

 逆に時間の流れを考えると、1年後の110万円は1.1で割り算され、現在の100万円になるとも考えられます。この1.1で割り算することを割引といい、割引されたものを割引現在価値といいます。

 (時間が経つとお金の価値が下がることを数式でやるイメージです。明治時代の人たちにとって1円はとても高価に見えますが、それに比較すると現代の我々にとっては1円にあまり価値を感じれないですよね。つまり時間が経つとお金の価値は下がるのです。)とりあえず

1年後の110万円 = 現在の100万円

というわけです。では1年後の400万円の価値は現在に割り引くとどうなるでしょうか。 400 ÷ 1.1 = 364(小数点第1位で四捨五入)となります。

1年後の400万円 = 現在の364万円

となります。つまり、「今、370万円を払ったら現在の364万円で返ってくる、つまり7万円の損になる」ということになるので投資すると損になるのです。そのため、このプロジェクトに投資するべきではないでしょう。

 今、350万円の投資をすると、1年後に400万円のリターンが返ってくるプロジェクトがあります。金利は10%です。

 あなたはこのプロジェクトに投資をするでしょうか?

 逆にこの場合なら、「今、350万円を払ったら現在の364万円で返ってくる、つまり14万円の利益になる」ということです。この場合なら、プロジェクトに投資するべきですね。

このように、割引現在価値を考え投資をすることで、企業の資産価値を増やすことが企業価値の測定になります。


MM命題


 次に、MM命題を紹介します。こちらは軽く紹介をする程度に留めておきます。MM命題とは、「ある条件の元で、資金調達の方法は企業価値に影響を与えない。」という命題です。企業が製造などをするには資金が必要です。その用意の仕方についての考え方です。

 資金調達は、2種類あるとします。

  • 銀行などの絶対に返す必要がある資金(債権者)

  • 株式などの返す必要のない資金(株主)

  銀行からお金を借りた場合、利息を支払う必要があります。株式では利息を支払うことはないので、利息という点で両者の資金調達に違いがあります。ただし、MM命題とはある条件の元で、銀行だけで資金調達をしても、株式だけで資金調達をしても、銀行と株式で同時に資金を借りても企業の価値は変わらないのです。不思議ですよね。

 「ある条件」というものがポイントなのですが、そういう話を大学で勉強します。 


まとめ:他にはこんなことを学ぶ


 以上のことから、コーポレート・ファイナンスというものがどういう学問か理解できたと思います。今回は企業価値の測定、MM命題を紹介しましたが、ポートフォリオやCAPMというものもあったりします。

 他に大学で専門的に勉強しようとすると

  • MM命題に法人税がある場合を考える

  • リスクとリターンを数学で考える

  • 分散投資がなぜお勧めされるかの理由

などといったことを学びます。次回は金融論について紹介します。

 経済学部に進路を考えている方への1つのきっかけになればいいなと願っております。最後まで見ていただきありがとうございました。

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