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石井食品さんを訪問させていただきました。

石井食品さんといえばイシイのミートボール。食物アレルギーに配慮した食品も製造していらっしゃるということで広報の方にお話を聞かせていただきました。

-石井食品さんがどういった会社なのか教えてください。

今はミートボールで有名な石井食品ですが、もともとは電器屋から始まった会社なのです。しかし火事で全部焼けてしまって。当時は戦後ということもあり食糧難だったので、電気屋時代の包装技術を活かし、船橋漁港で獲れるアサリで佃煮を作ったのが石井食品の始まりです。
その後食の欧米化に伴い、1970年にチキンハンバーグを、そして1974年にはミートボールを発売しました。
現在はミートボールとハンバーグを事業の軸にしています。ですが、弊社の根幹として食を通じてみなさまのお困りごとを解決したいという思いが強くあり、食物アレルギー配慮食品や非常食など多岐に渡った商品を販売しております。

-石井食品さんの食物アレルギー配慮の食品は京都府の京丹波工場で製造されていますよね。

はい。きっかけは東日本大震災です。災害の時に安定的に商品を供給できる拠点となる場所が必要だと考えました。そこで千葉県の八千代工場、京都府の京丹波工場、佐賀県の唐津工場の3か所のうち比較的日本の中心にある、京丹波工場が適切だと判断しました。

-なるほど。だから本社と離れている京都府で生産されているのですね。

実は最初は食物アレルギー専用の工場にする予定はありませんでした。
災害時だと電化製品等が使えない可能性が高いと想定し、常温保存の商品を作ろうということになりました。その後、お客様の声やこれまで寄せられた声を集めている中で、「食物アレルギーを持っていると災害時に食べられるものが少ない」というお声をいただいたため少し方向性を変更し、2012年に食物アレルギー配慮専用施設が完成したという流れになります。

-その食物アレルギー配慮専用施設について詳しく聞かせてください。

食物アレルギー配慮専用施設にはA~Dまで4つの厨房があり、各厨房で特定の商品のみ生産しています。原材料を搬入する場所も違えば、制服や器具も違います。洗濯機も厨房毎にあり、全てを1つの厨房で完結できるようにしています。
厨房に入る時も、まず工場内に入るために私服から白衣に着替え、手洗いやエアシャワーをします。その後専用施設の厨房に入るために再度専用の白衣に着替え、手洗いとエアシャワーを行います。
さらに、排水もセル毎に独立させています。排水が一緒になってしまったら食物アレルギー物質が別の厨房にはいってしまう…。という危険性もありますので、そういった所にも気を付けています。
また、厨房内の空気圧も変えており、食物アレルギー物質が空気を介して商品を汚染してしまうことも防ぐ努力をしています。

-細かい部分まで配慮していただけて嬉しいです。近年発売されたランチボックスについて教えていただけませんか。

2017年10月に発売しましたランチボックスは、食物アレルギー団体の方々との交流の中で、「子供が1人で出かける用事や修学旅行等の行事でホテル先まで行って食事を用意した」という親御さんの話を伺ったことがきっかけとなり開発された商品です。常温で持ち運べて、安全で、御飯もおかずもある商品を作れないかと、試行錯誤してようやく2017年に販売することができました。

-このランチボックスの反響はいかがでしたか?

「こういう商品があると助かる」や、「こういう所に着目したか!」という反応をいただけました。先日中国地方で起こった洪水では、食物アレルギーの団体さんから支援の要請を受け、商品を供給させていただきました。食物アレルギーをお持ちの方々が連日白米、よくても塩がかかっただけのおにぎりを食べているという状況が続いていたそうなのです。そこでランチボックスを送らせていただいたところ、大変喜んでいただけました。

-ちなみに販路を通販のみにしていることに対するこだわりはあるのでしょうか?

食物アレルギーは一人一人症状の重さが違うため、目の届きにくい物流をなるべく使用せず、可能な限りお客様と一対一で向き合って食物アレルギー配慮商品を提供することが弊社の目指すサービスだと考えています。そのため、ランチボックスは販売店には卸さず自社通信販売サイトのみで取り扱っています。

-様々なことを考慮した結果、通信販売ということなのですね。

はい。商品を卸す先での取り扱いにも責任を持ちたいと考えていますので、販売先を拡大してくかと言われると難しいところがあります。以前レストランで使いたいから商品を卸してくれないかという声もいただいたのですが、我々で一度その施設の様子を見させていただいたり、商談をして、お断りしてしまうということもありました。

-ランチボックス以外にも、石井食品さんは食物アレルギーに配慮したおせちも販売していらっしゃいますよね。珍しいなと思っています。

食物アレルギーに配慮しているおせちを製造しているのは弊社だけですね。
お孫さんだけがおせちを食べられないとか、お子さんだけ手作りの違うものを食べるのがさみしいというお声をいただき、何か手助けができれば、ということで特定原材料7品目に配慮したおせちの販売を始めました。
ランチボックス同様弊社のおせちは大量に作るというよりは、丁寧に1つ1つ作って、確実にコンタミがないように、数量を制限して作っています。

-そして、言いにくいのですが…。石井食品さんの「まぜごはん」は2合で226円。しかしアレルゲン対応の方だと1合で216円。ちょっと高いなって…。

食物アレルギー配慮商品は通常の商品以上に原材料からこだわって生産しています。例えばかしわめしの素ですが、調理前日の朝から一人一人鰹節を削ってだしを取っています。コンタミを考慮すると、削ったものを仕入れるということもできないので。ですが一番の要因はアレルギーの検査ですね。

-検査って高いのですか?

高い…ですね。他社は、複数のロットをまとめて抜き打ちでチェックをしているところもありますが弊社の場合は1ロット毎に検査をしているので、どうしても単価が高くなります。

-検査がそもそも高いのに、細かく検査しているということですね。

検査基準も、国で定められているのは10ppm以下ですが、弊社では1ppm以下で設定して「ELISA法」という検査をしています。先ほどのランチボックスも、商品が4種類入っているので、4種類それぞれの検査代となるとどうしても通常の商品より価格が上がってしまうのです。

-最後になりますが今後の石井食品さんについて聞かせてください。

今後もお客様の食に関する課題を解決していきたいです。食物アレルギーもそうですし、非常食でもそうです。そしてインバウンドにも対応したベジ系等、1つのジャンルにとらわれず、新たに生まれるニーズ、需要にどう適応していくかを常々考えながら商品づくりを行っていきたいと思っています。

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今回の取材で、石井食品さんがいかにこだわって、そして丁寧に商品を製造されているかがわかりました。商品がスーパーなどで簡単に手に入らないのは、石井食品さんの徹底した管理があるからという理由でした。でも、おかげさまで安心していただくことができます。
この度はお忙しい中お時間を作っていただき、本当にありがとうございました。

石井食品株式会社食物アレルギー配慮商品:https://shop.directishii.net/lp/allergy/


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