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今週のリフレクション【心のゾウを動かす方法(竹林正樹氏)】

今週は大好きな竹林正樹さん著「心の象を動かす方法」を振り返ります。ざっくり3点で要約すると・・

*象(直感)は認知バイアスという習性がある。象使い(理性)の活動にはエネルギーがかかるため、日常判断は象、重要な判断は象使いが担当している。象が圧倒的に力強く、象使いは非力でなかなか出てこない。象の習性には、損をしたくない、今まで通りがいい、これからも大丈夫、自分は大丈夫、今が好き、皆と一緒がいい、同じ意見を探す、身近な情報で判断などがある。象の習性は克服するのではなく、うまく付き合う必要がある。

*人を動かすには、①正しい情報を提供(啓発)、②行動したくなる環境を整える(ナッジ)、③褒美と罰則を整備(インセンティブ)、④選択を禁止(強制)、のアプローチがある。ナッジとは「そっと後押しする」「ひじで軽くつつく」意味で、象を動きやすくするために習性に働きかける。有効なアプローチだが、①悪用リスク、②長いプロセスには効きにくい、③行動継続までは期待できない、④日本での研究が不足、という限界もある。

*ナッジをうまく使うには、EASTがポイント。①障害要因の除去(Easy)=シンプルな目標/最初と最後のメッセージ/ノイズ除去/面倒な手続きの除去/初期設定の工夫、②促進要因の付与=印象的(Attractive):印象的な見た目/利得と損失の強調/差別化、社会的(Social)=同調効果/コミットメント/顔の見える関係、タイムリー(Timely):心が開いたタイミング、締め切りの明記。印象的(Attractive)は扱いが難しく、逆効果になることもある。

人を動かすには、啓蒙/ナッジ/インセンティブ/強制の4つがあり、ナッジが最も効果的だということは、人材育成でも全く同じだと感じました。

啓蒙=知識の伝達だけの研修では残念ながら行動は変わらず、インセンティブや強制では短期的にしか行動が変わりません。象使い(理性)ではなく象(直感)に働きかけ、象の習性(バイアス)に気づき、行動変容をそっと後押しするのが理想的な人材育成ではないでしょうか。

だからこそ、座学だけの一方通行の研修に意味は薄く、コントロール感が漏れているワークは効果が薄いのだと思います。あくまでも本人が行動を変えることを選びにくい要因を取り除き、一方で選びやすい要因を整え、最後にひじで軽くつつくのが、まさに人材育成だと思います。

そう考えると、人材育成の場でいかにナッジを自覚的に取り入れることができるかが、効果的な育成をできるかどうかの分水嶺になりそうです。改めて、EASTの法則を意識して研修企画をしてみたくなりました。

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