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今週のリフレクション【女性部下や後輩をもつ人のための1on1の教科書(池原真佐子氏)】

今週は、池原真佐子さん著「女性部下や後輩をもつ人のための1on1の教科書」を振り返ります。ざっくり3点で要約すると・・

1.キャリアとは、プライベートや価値観を含めた生き方そのもの。中長期的なキャリアをテーマにした1on1は、育成を目的に、能力や長所を伸ばす対話。「働きやすさ」は整ってきて、「働きがい」をサポートするのがキャリア1on1。メンターの役割、①キャリア支援、②ロールモデル/パーツモデルの提示、③エンパワーメント。ロールモデル的なメンターから、話を深掘ってもらうだけではなく、アドバイスをもらえることにより、新しい選択肢ができ、自分らしいキャリアの選択ができる。

2.メンタリングスキルは、①ディープカンバセーション、②アドバイス、③クロージング。ディープカンバセーションは、①信頼関係構築→否定しない・イメージ(見た目/態度/話し方)・自己開示・守秘義務、②傾聴→言葉の奥にある思い・同調ではなく共感・相づち・間をとる、③深掘り→リフレーズ・質問(五感/定量化/違う視点/鏡/思い込み/制約を外す/沈黙破り)アドバイスは、断りを入れて、知見・理論・視点を提案して選択を委ねる。理解できるか?実行するスキルや知識があるか?望んでいるか?状況に配慮できているか?些細なところに踏み込んでいないか?解決に焦点が当たっているか?クロージングは、話した内容のポイントを伝え、気づきを尋ねる。最後に、労い・ほめ・鼓舞する。

3.キャリアは非公式な場でフォローされてきたが、D&Iでは機能しない。女性だからと決めつけないことが重要。女性ならではの構造的な課題、①オールド・ボーイズ・ネットワーク、②的外れな配慮、③ジェンダーバイアス、④リーダーシップのジレンマ、⑤インポスターシンドローム。中長期的な視点で仕事の意義を共有し、フィードバックはマメにタイムリーにきちんと言葉で伝え、言葉で背中を押してあげることがポイント。

コーチングは相手の中に答えがあり、関わりによってそれを引き出すアプローチであり、アドバイスをしないのが原則です。しかし、著者の池原さんは、VUCA時代のキャリアのような答えのないテーマでは、自分の中に答えがないことも多く、ロールモデルのアドバイスによって相手の選択肢が増えることもあると指摘しています。

これは非常に共感する感覚で、誰かとキャリアの話をしていても、同じフェーズにいる仲間同士だと「難しいよね〜」で終わってしまうことがよくあります。問いを抱えながら(保留しながら)生きることで、たくさんの気づきがあることも真実ですが、他者からの刺激によってモノゴトの見え方が変わるのであれば、素晴らしいことだと思います。

「人・本・旅」というように、人が変わるためには外部からの新しい刺激は必要です。それが、憧れるロールモデルからの刺激であれば受け入れやすく、変わるきっかけになりやすい。しかし、それが押しつけになってはいけなくて、1つの素材としては渡しますが、どう料理するかは相手に委ねる、という姿勢が大切なのだと思います。ドヤ顔で武勇伝を語るのではいけません。

外部からの新しい刺激が必要なのは、ロールモデル側にも言えることで、話すことで他者から刺激をもらって自分と出会い直すことができるのかもしれません。アドバイスを聞くことが選択肢を増やすように、アドバイスをすることも選択肢を増やす。そんな好循環が回るのかもしれません。

アドバイスは決して悪ではない。悪いのは価値観を押しつけてしまうことです。サンプルとしてそっと提供するぶんには、お互いにとってプラスになるアクションなのだと思います。過度に恐れず、お作法を守って堂々とアドバイスをしていきたいですね。

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