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今週のリフレクション【いちばんやさしい組織開発のはじめ方(早瀬信氏/高橋妙子氏/瀬山暁夫氏)】

今週は早瀬信さん/高橋妙子さん/瀬山暁夫さん共著「いちばんやさしい組織開発のはじめ方」を振り返ります。ざっくり3点で要約すると・・

1.組織開発では「目に見えにくいこと」をテーブルの上に載せ、みんなで話し合って問題解決を図る。組織開発とは、現場にいる人たちが自ら、人と人の関係性を通して組織内に違和感のあるプロセスを見直し、より良い組織をつくる活動。良い組織とは、①目標達成ができる(効果性)、②明るくイキイキ元気がある(健全性)、③良い状態を自分たちで継続できる(継続性)組織。これまでの経験則で解決できない適応課題を、技術的な対応で短期的に解決しようとするとこじれる。人の気持ちやコミュニケーションに関わる問題が山積みで、今こそ組織開発が求められている。

2.出発点は「何を目的とする組織なのか」を正しく見極めること。関係の質を向上させるため、話し合いの機会を意図的に設ける。職場から離れたオフサイトで行い、その場を建設的にするグランドルールを決め、ポジティブなテーマを設定し、異なる意見や考え方に気づく。対話によって、モヤモヤの要因に気づき、関係がつくられ、モチベーションの高い変革行動につなげる。対話では①プロセス(タスク/メンテナンス)の観察に基づく、②ヒューマニスティック(尊重)、③デモクラティック(小さな声)、④システム思考、⑤協働的の価値観が重要。

3.組織開発は、現場に受け入れられるような言葉・定義から始める。ヒューマニスティックな価値から健全性に働きかけ、業務の効率性を高めることで経済的な価値を実現できる。①知り合う、②相互理解と信頼関係、③協働関係、④自己革新する関係、と関係の質を向上させる。モヤモヤしたらすぐ、できるところから始める。集まる場所をつくり、目的や良い組織観を共有し続ける意思を持つ。やる気のある部門に働きかけ、現場での実践者を育成して自走支援をする。組織が変わるとは個人が変わること。小さなグループのメンバーがチェンジエージェントになっていくことが必要。

組織開発というと、活気のないチームを活気溢れるチームにするプロセスのような印象を持ちがちかもしれません。そうすると、活気があればOKとなってしまい、ゴールがモヤモヤしてしまいます。その結果、組織開発はなんだかフワフワしたチームワーク向上施策、のように捉えられてしまうのかもしれません。

しかし、書籍には「人と人の関係性を通して組織内に違和感のあるプロセスを見直し」とあり、アプローチは人間関係(活気がない等)ですが、ゴールはプロセスの見直しと書かれています。そうであれば、経営の求める生産性向上にもつながっていく合理的な取り組みになるハズです。

つまり、人の問題から入っていって、目に見えない問題をテーブルに並べる。その中には業務プロセスや人事制度のような様々な問題が背景としてあり、当事者同士で何を解決すべき課題とするのかを腹を割って議論する。そうすると、課題の解決はもちろん、腹を割って議論したプロセス自体から、他の問題の解決や予防にもなる、ということなのだと思います。

組織の問題は属人化しがちです。誰が悪い、誰のミスだ。しかし、その背後には構造の問題が必ずあるので、そこまで踏み込んで議論するためのきっかけとして、人の問題から入るという順番なんだな、と感じました。

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