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今週のリフレクション【具体と抽象(細谷功氏)】

今週は、細谷功さん著「具体と抽象」を振り返ります。ざっくり3点で要約すると・・

1.具体=善、抽象=悪という印象は大きな誤解。複数のものをまとめて、1つのものとして扱うのが抽象化。まとめて同じ、と考えられるのは人間だけ。抽象化を一言で表現すれば「枝葉を切り捨てて幹を見ること」言いかえれば、共通する特徴を抽出すること。言葉を物理的な世界ではなく、精神的な世界で使えるのは抽象化の賜物。抽象化によるパターン認識によって、複数場面で活用できることが最大のメリット。

2.具体の世界は個別/バラバラ。抽象の世界は関係性/構造。例え話は具体→抽象→具体の往復運動。具体と抽象の認識は相対的で、限りない階層構造になっている。いわゆる永遠の議論の大部分は、どの抽象度のレベルで話しているかが抜け落ちている。抽象は解釈の自由度が高い。例えば、具体が映画、抽象が原作。仕事の上流は抽象、下流は具体の価値観。上流の仕事にコラボレーションは向かない。

3.抽象の世界はどこまで単純化できるかが美。二項対立が二者択一に見えてしまうのが具体。アナロジーは抽象レベルのマネ。具体レベルのマネはパクリ。抽象化能力のもたらす客観視の姿勢は、主観的な感情と衝突する。抽象は具体とセットで連携が必要。抽象と具体はマジックミラーのようで、具体側から抽象の世界は見えなし、抽象化は一度手にすると手放せない。多様な経験が増えるほど、本質レベルの共通部分が見えてくる。

企業の研修でロジカルシンキングやクリティカルシンキングをやることがありますが、研修中のワークで感じるのが、まさに抽象化の巧拙です。抽象化がうまい受講者はワークをうまく進められるだけでなく、楽しそうに取り組みます。おそらく、これまで自分が無意識にやってきたことが言語化されて、再現性を得たことが嬉しいのだと思います。

一方、ワークがなかなかうまく進められない受講者は、それぞれの要素がバラバラに存在していて、関連付けることに苦慮しているように思います。まさに、具体から抽象が見えていない状況です。こと状態でピラミッドストラクチャーとか、MECEと言われても、なかなか活用できないのが正直なところだと思います。

だからこそ、まずは「抽象化のスキル」を徹底してトレーニングすることが、思考力をつける一歩目だと感じました。

しかし、書籍にもある通り、抽象化に慣れると手放しにくく、無意識に枝を切り幹に集中してしまいます。それは自分の内面にも無意識に働いてしまうため、自分のやりたいことや率直な感情がキャッチしにくくなってしまうのではないでしょうか。だから、抽象化のスキルは身につけつつ、1つのツールとして使い分けができるところまでトレーニングすることが、一番大切なのではないかと思いました。

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