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今週のリフレクション【リスキリングは経営課題(小林祐児氏)】

今週は小林祐児さん著「リスキリングは経営課題」を振り返ります。ざっくり3点で要約すると・・

1.DXというビジネス環境の変化を前提とした未来志向や過去との非連続性の強調がリスキリングブームの特徴。人的資本開示により人材領域への実践と成果が求められているが、日本では企業の人への投資が全く伸びていない。不足スキルを明確化→必要なスキルの獲得→ポストへのはめ込みという工場モデルは、個にフォーカスしすぎて、組織学習の視点がなく、学ぶ人しか学ばない。スキル明確化は難しいし、速度に対応できない。そして、獲得したスキルは発揮できるとは限らない。社会関係資本→心理的資本→人的資本の順番が大切。若手に社内関係資本をつくり、ミドルに社外関係資本をつくる。

2.日本人は「なんとなく」学んでいない。学ばせたくない企業と学びたくない個人の共犯関係がある。日本は能力の証明と賃金相場の足場が弱い。日本のキャリアは中動態的。中堅までは依存関係(中動態)、ミドル以降は主従関係(受動態)。業務上の変化は負荷=コストと捉え、変化抑制意識が波及する。自律的なキャリア形成は、個の力への過剰な期待になる。まずは、変化適応力=目標達成志向/新しいことへの挑戦や学びへの意欲/興味への柔軟性が必要。①予習主義、②学ばないことの選択、③学びのわたしたち化がポイント。

3.リスキリングを支える3つの学びは、①アンラーニング(捨てる学び)=現在の中途半端な成功体験が妨げる。限界認知(修羅場/越境的業務/新規企画業務)が必要。②ソーシャル・ラーニング(巻き込む学び)=真似し合い/教え合い/創り合い/高め合い。③ラーニング・ブリッジング(橋渡す学び)=社会開拓力が低い。スキル獲得を通じて変化の創出を最大化するための仕組みづくり=変化創出モデルが必要。①変化報酬型の施策(ポスト/金銭/経験)、②挑戦共有型の施策(信念の共有)。③目標管理制度、④コーポレート・ユニバーシティ(キャリア・コミュニティ/アルムナイ)、⑤内部労働市場のアップデート(対話型ジョブ・マッチングシステム)で実現。

「リスキリング」というと、最近よく聞く流行り言葉のように聞こえますが、本質は「学び続けたい」というマインドの醸成なのだと解釈しました。そんなマインドを醸成できる場を企業としてデザインすることが人への投資であり、それができていない現状が経営課題なのだと感じました。

そして、学び続けるマインドの醸成の1歩目に必要なのが書籍に書かれている「限界認知」で、つまり「今のままでは通用しない」という健全な冷や汗です。限界認知には、修羅場体験、新規企画業務や越境業務が必要ですが、この中で自分がコントロールして始められるのが「越境」だと思っています。

ここで注目したいポイントは、越境の1つの目的が限界認知にあることです。社外のコミュニティに参加して、その場の居心地が良く感じる。そんな経験はないでしょうか?こう感じられる場所は安心できるホームベースとして、確実に必要だと思います。しかし、ホームベースとしての目的が強い越境では「限界認知」は感じにくくなってしまうように思います。

そう考えると、越境には「心理的安全」と「限界認知」といったように複数の目的があり、自分の中でポートフォリオを組むと効果的なのかもしれません。とはいえ、まずは越境の1歩目をどう踏み出すかです。個人的なオススメは、たくさんの越境をしている人に巻き込んでもらうことです。もしかすると、これからは「巻き込まれ力」も大切なスキルになっていくのかもしれません。

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