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【奈良クラブ通信】生年月日が同じ二人の守護神

 奇しくも同じ日に日本とスペインという遠く離れた場所で生を受けると、成長過程の中でフットボールの中でも特殊なゴールキーパーという天職に出会い、努力を重ねた結果プロのサッカー選手となり、キャリアの最盛期に同じクラブでチームメイトとして出会う。まるで漫画のようにドラマチックな展開が今年、奈良クラブの中で起きている。

 今季、守護神の座を争う岡田慎司マルク・ヴィトは、共に1996年3月10日生まれ。先日、誕生日を迎え28歳となった。岡田が今季から新加入したマルクと生年月日が同じことに気づいたのは、加入リリースが出たその日(1/20)のこと。「本当にびっくりしました。(ポジションを争う)ライバルなんだけど、それ以上に親近感が湧いてきて、(来日したら)助けてあげたいと思いました」と岡田は当時を振りかえる。来日後にはすぐに生年月日について話をしたという二人。先週もマルクから「今週は俺たちの誕生日だな」と岡田に声をかけるなど、良好な関係を築いている。

同い年の二人だがGKとしてのスタイルは好対照だ。熱いハートとは裏腹に堅実なセーブやクロスキャッチでチームを救う岡田と、ビルドアップ能力に優れ、前へのアグレッシブなプレーが得意なマルク。ここまで開幕戦は岡田が先発したものの、その後の2試合はマルクがゴールマウスを守っており、出場機会も分け合っている。

岡田慎司

長野戦、富山戦と2試合連続で1点リードを守り切れない展開が続くが、「ここまでクリーンシートが一試合もないので失点0で抑えたい」と次節への意気込みを語ったマルク。一方、2戦目以降はゴールマウスを譲る形となった岡田も「自分自身の課題を克服することだけを考えて練習している。その先にスタメン出場があると思って一喜一憂せずにやる」と、爪を研ぎ続けている。

誕生日当日にはオリオールコーチらと共に神戸に出かけ、お祝いしてもらったというマルクは、「リーグ戦の最後には喜べる位置にいられるようにしたい」。家族と共に過ごしたという岡田は「家族やサポーターを含め周りの人を幸せにしたい」と、共に28歳の抱負を語った。

マルク・ヴィト

「シンジのプレーから学ぶことが多い(マルク)」「言葉の壁はあるけど、もっとコミュニケーションを取っていきたい(岡田)」と、互いを信頼しあって、高めあう関係の2人。ここまで1敗2分けと勝ちきれない展開が続く奈良クラブだが、同じ日に生まれた二人の守護神のハイレベルなポジション争いが、必ずチームを高みへと導くはずだ。

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写真提供:奈良クラブ

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