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【奈良クラブ通信】「自分たちのスタイルをブレずに貫いていくことが大事だと思う」岡田優希選手 インタビュー

GAME REVIEW

 2024明治安田J3リーグ第7節。ひと月の間に6戦をこなす3月のスケジュールを1勝1敗3引き分けの五分で消化している奈良クラブは、その締めくくりとして、ホームに金沢を迎えた。

 打ち合いとなった試合は、2度リードを奪われながらも追いついた奈良が、後半20分に百田真登のヘッドで3点目を奪い、ついに勝ち越したものの、前節讃岐戦に続きアディショナルタイムに失点を許し、3-3でドローとなった。

カタチが見えてきた攻撃陣

 今季3度目となる後半アディショナルタイムでの失点については、監督・選手も何度も反省の弁を口にし、対処しようと足掻いている姿を見てきただけにあえて言及はしない。むしろ今季ここまで複数得点をあげられなかったチームが、二度追いつき、勝ち越しとなる3点目を挙げたところに注目したい。

 この日の得点シーンはいずれも左サイドから。1点目は左ウイングに入った岡田優希が切り返して右足であげたクロスに、ゴール前にポジションを絞っていた嫁阪翔太が頭で合わせる形。続く2得点は、岡田とコンビを組む左サイドバック・下川陽太のクロスに、嫁阪、百田が頭で合わす形だった。右利きながら左ウイングに入る岡田は、思い切りのいい仕掛けから切り返してペナルティエリア内を向くプレーが得意の形。開幕当初は中との呼吸が合わないシーンも散見されたが、嫁阪も「左サイドで(岡田が)ボールを持てば、自分はファーサイドに飛び込めるように準備している」と話すように、チームの攻撃モデルとして確立されてきた感がある。また走力を活かした攻め上がりや両足のクロスが持ち味の下川とのコンビについて岡田は「適切なタイミングでサポートしてくれるので組んでいて楽しい」と、左サイドのユニットとしての完成度に手ごたえを感じている。

 中央の百田がペナルティエリア内で勝負するタイプなだけに、サイドからのボール供給の質と数がオフェンスのクオリティを左右するといっても過言ではない。左で作り、右で仕留める…今季の奈良攻撃陣のストロングポイントが見えてきた試合となった。またパターンが確立されれば、それをあえて外す動きが有効となる。ここからの攻撃陣の奮闘が、土壇場の失点に苦しむディフェンス面を補っていくはずだ。

INTERVIEW 岡田優希

ー開幕から1か月が経った。勝ちきれない試合も多いが現在の手ごたえは?
 金沢戦もそうだし、コンスタントにゴールチャンスは作れているとは思っている。ただ自分がこのクラブに来た意味としては物足りない。チームを勝たせる為にきたので、まだまだやらないといけないと思っている。

ーリードを奪いながら追い付かれる試合が多い。原因は?
 リードを奪うと相手もガムシャラにパワープレイを仕掛けてくる。その時に、そのまま力で押し負けてしまうシーンが多い。ただ奈良クラブはスタイルを確立しようとしているクラブ。リードしたから5バックで守り切るといった短期的な解決策ではなく、自分たちのスタイルをブレずに貫いていくことが大事だと思う。(テゲバジャーロ)宮崎の時も序盤7連敗したが、その間にスタイルを確立していって、8戦負けなし(※岡田もキャリアハイの14得点をマーク)でシーズンを終えられた。スタイルを貫いて、どんな相手の圧力も跳ね返せるようになることが重要だと思う。

ーここ数試合、左サイドからの攻撃で得点をあげるシーンが多い
 開幕戦から続けてきたことだが、徐々に積み上げてきたことが出ていると思う。百田選手や嫁阪選手が飛び込んでくれるだろうと思って、クロスを上げやすい状況になっている。

ー左サイドでコンビを組むことの多い下川陽太選手との関係について
 プレシーズンマッチの松本戦の時から、組んでいて楽しいと思った。自分の武器であるカットインやクロスなどの特徴を分かっていて、適切なタイミングでサポートしてくれる。守備でも2人で話しながらやってきて、前節はフリアン監督からも褒められた。ユニットとしてよくなっていると思う。

ー新加入選手としてフリアン監督のスタイルに戸惑いはなかったか
 僕自身ドイツでサッカーをしたいと挑戦したこと(町田ゼルビア退団後の2022年にドイツでトライアウトに挑戦)もあるので、ドイツ系のアグレッシブなスタイルが染みついてる。フリアン監督はスペイン系の「試合を支配する」タイプ。いかに勝つか・点を奪うかは同じだけど、そこに至るプロセスが違うので面白いし、学びになっている。戦術は緻密だけど、実際にトレーニングをして徐々に自分の中に落とし込めていっているとは思う。

ー奈良で暮らしてみて奈良の魅力は?
 2月には他の選手の家族と一緒に、いちご狩りにも出かけて、そういうところでも奈良の良さを感じている。古都の雰囲気もだし、自然が多くて四季のうつろいを感じられるのが良いなと思う。

ー次節以降に向けて抱負をお願いします
 どんな道を辿っても最終的に目標とするものを達成出来たらいいと思っている。目の前の試合には全力で挑みながらも、自分たちのスタイルを確立していくことが重要。そういう意味で次節も内容・結果共にいいゲームにしたいなと思う。

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画像提供:株式会社 奈良クラブ


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