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第4期特定健診・特定保健指導の見直しで、我々が注力すべきこと

ヘルスケア領域の行動変容に取り組むエーテンラボ株式会社で、カスタマーサクセスをしているだいちです。

2024年度より第4期特定健診・特定保健指導に関する見直しが行われます。ヘルスケア事業を営む立場として、この変化は見逃せません。本ページでは、自分の頭の整理がてら、見直しのポイントについてまとめてみました。それだけでなく、我々の事業にどのような影響があるのかも考えてみたいと思います。

直近の「特定健診・特定保健指導の見直し」について

第3期の見直し

第4期特定健診・特定保健指導の見直しを確認する前に、第3期ではどのような狙いで、どのような変更が加えられたのかを確認します。

2018年度から始まった第3期の見直しでは、主に特定健診・特定保健指導の実施率向上を目的として、下記のような変更が加えられました。(第3期における特定保健指導の運用等の見直しより)

  • 腹囲・体重の減少が認められれば、必要な介入量に満たなくても特定保健指導を実施したとみなす(モデル実施)

  • 特定保健指導の評価を6ヶ月経過後ではなく、3ヶ月経過後でも可能に

  • 特定保健指導をすることが見込まれる人に対して、データが揃っていない状態でも初回面談を分割して実施可能に

  • オンラインでの初回面談が可能に

評価についてアクティビティ(介入)だけでなくアウトカムの視点が加えられたり、評価期間が短縮されたり、初回面談の方法が柔軟にされたりといったような、限られたリソースの中で特定保健指導を実施するための施策が盛り込まれていることが分かります。

第4期の見直し

そして、2024年度から始まる第4期では、下記の変更が加えられました。よりアウトカム重視にするような見直しが行われています。第4期特定健診・特定保健指導の見直しについてより)

  • 成果を重視した特定保健指導の評価体系の導入

    • 腹囲2cm、体重2kg減を目指して保健指導を行う。達成した場合はその介入量を問わないこととする(アウトカム評価の導入)

    • 早期介入(= 健診当日の初回面接)の評価

    • 支援A(積極的関与)、支援B(励まし)の区分を廃止

    • 腹囲1cm、体重1kg減でも成果とする。その場合はアウトカムと介入量を合わせて特定保健指導終了とする。介入は、時間に比例したポイント設定から、介入1回ごとの評価へと変更

    • 対象者の生活習慣を改善するための行動変容が主な目的なので、生活習慣の改善はこれまで同様に評価。生活習慣の改善は2ヶ月以上継続した場合に評価とする

  • 特定保健指導の見える化の推進

    • 成果の見える化をすすめ、保険者はアウトカムの達成状況の把握や、要因の検討を行い、より質の高い特定保健指導を提供する

    • アウトカムの達成状況について、経年的な成果の達成状況を把握する

    • 第4期の特定健診・特定保健指導の実績報告データが集まる2026年以降、保険者ごとの集計結果を順次公表する(案)

  • ICT活用の推進

    • 在宅勤務や遠隔勤務のニーズに対応するため、遠隔で行う特定保健指導は、評価水準や時間設定等は対面と同等とする

アウトカムを重視するための変更が多く加えられた背景として、第3期のモデル評価によって、腹囲2cm、体重2kg減を達成した人は、翌年の健診結果でも改善傾向が認められたことが背景にあるようです。

第4期後期高齢者支援金の加算・減算制度について

上記で紹介した第4期特定健診・特定保健指導と密接な関わりがあり、かつ、同時期に開始される「第4期後期高齢者支援金の加算・減算制度」についても見ていきます。(第4期後期高齢者支援金の加算・減算制度についてより)

後期高齢者支援金の加算・減算制度とは、保険者から国に対する後期高齢者支援金(後期高齢者の医療費を支える財源)の納付義務において、その保険者の特定健診・特定保健指導の実施率等により、一定の率の加算(ペナルティ)または減算(インセンティブ)を行う制度です。

2018年度から開始した第3期の見直しでは、糖尿病等の重症化予防や、がん検診の実施率、後発医薬品の使用促進等の取り組みを評価対象に加え、予防・健康づくりや医療費の適正化に取り組む保険者へのインセンティブをより重視する仕組みに見直されました。

そして2024年度から開始される第4期では、これまで保険者ごとの申請による評価だったものを、統一されたデータのフォーマットにするよう改変されました。これにより客観的な評価が可能となるだけでなく、国全体としてのデータヘルス活用に向けた動きが促進できるようになります。

上記を踏まえ、第4期の加算・減算の基準について見ていきましょう。

支援金の加算(ペナルティ)

支援金の加算は、特定健診・特定保健指導の実施率のみで決定されます。具体的には、特定健診70%、特定保健指導45%を下回っていればペナルティの対象となり、ペナルティの度合いにはグラデーションがあります。

支援金の減算(インセンティブ)

支援金の減算が適用されるための要件は、「下記指標の合計点数が保険者全体の上位20%に該当すること」かつ「必須項目(★の4つ)をすべて満たすこと」です。(下記の指標は一部抜粋)

  • 特定健診・特定保健指導の実施率(実施率が基準値以上)★

  • 要医療者への受診勧奨

  • 糖尿病等の重症化予防

  • PHRの体制整備★

  • コラボヘルスの体制整備★

  • 後発医薬品の使用割合(使用割合が基準値以上)★

  • 加入者の適正服薬を促す取り組み

  • がん検診等の実施状況

  • 加入者に向けた予防・健康づくりの働きかけ

    • 生活習慣改善および喫煙対策事業の実施

    • 運動習慣の改善

    • 食生活の改善

    • 睡眠習慣の改善

    • 飲酒習慣の改善

    • 喫煙対策

    • こころの健康づくり

    • インセンティブを活用した事業の実施

保険者は、特定健診・特定保健指導の実施率を高めるとともに、上位20%に入るためにさまざまな施策を実施することが求められます。

我々が注力すべきこと

このような国の制度がある中で、弊社エーテンラボができることは何でしょうか。

現在、我々が保険者向けに提供しているプログラムは2つ、「みんチャレ禁煙」と「みんチャレダイエット」です。これらのプログラムで提供できることと、上記の4期見直しとの交点は、下記に集約されるかなと思います。

  • 卒煙や2kg減など、参加者の行動変容を通じて、成果にコミットすること

  • 短期的な成果だけでなく、長期的に卒煙や体重減が続いていること。そのためのフォローがあること

代表の長坂も「成果を出してマネタイズしよう」と繰り返し伝えており、何度聞いたか分かりません。この点はとにかく我々が大事にしている価値観の一つです。

カスタマーサクセス視点からすると、顧客の成功(CS) = 顧客のアウトカム(CO) + 顧客体験(CX) なので、成果を追い求めながら、その過程の体験も良いものにすることが求められます。もちろん成果にコミットしたプロダクト作りを行っている自負はありますが、まだまだ道半ばであることもたしかです。

特に長期的に見ても成果が出ていること、長期的に見ても行動変容がされ続けていることは、チャレンジしがいのある難しい課題なので、とことん向き合って取り組んでいきたいです。

おわりに

最近の弊社は、資金調達が完了し、採用が加速している段階です。事業が伸びてきて人手が足りず、募集ポジションもさまざまなので、フィットするポジションが見つかるかもしれません。

我々と一緒に難しくもやりがいのあるチャレンジをしてくれる方、まずはカジュアル面談でお話ししませんか?

ヘルスケアや行動変容、我々の働き方に関心がある方は、下記の採用ページをぜひご覧ください。採用ページにはPodcastもありますので、弊社の雰囲気を知りたい場合はぜひ聞いていただけると嬉しいです!

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