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続・漫才師"銀兵衛"の話

"銀兵衛の解散"という事実、数日経っても心をざわつかせ続けています。

2か月前に以下の記事を書いて以降、通勤中や家事をしながら新シーズンが始まったばかりの「ドレミ転校生」を聞きまくり、Youtubeに結構な頻度で上げてくれるネタ動画を楽しみに生きていたものですから。

M-1で初の3回戦進出に喜んだり、その動画を見て新たなファンが増えてる様子をTwitterで見ていたし、先日の単独公演「おっぱいファイアウォール」も見に行って、改めてその漫才に衝撃を受けたのでまた記事を書こうかな~と思っていた矢先、まさかの解散。

素人が外野から見てる限りでは、若くて勢いあって、無二のスタイルも確立されつつあって、時代もやっと追いついてきて、業界内外の注目がじわじわ高まってきてて上り調子にしか見えなかっただけにかなりショックを受けました。会社でこのツイート見て声出るところだった。。

ただ一方でなんとなく、受け入れることはできるというか やっぱりか、みたいに思う気持ちがあるのも事実。

その場のテンションで魂削ってぶつけるスタイルと、一人はほとんど喋らないのも相まってか、二人の漫才には常にどこか危うさや儚さのようなものを感じていて、「安定していつまでも見せてくれる芸ではないよな」とは思っていました。

その危うさこそが魅力なんですけどね。流れ星みたいな、若い二人が生み出す一瞬のひずみ(ちょっとキモすぎる言い方だな)みたいな漫才だからこそこんなに中毒性あるんだと思います。

「おっぱいファイアウォール」の開催を知ったときも、そんな感覚があったから無意識に「"今"見に行かなきゃ後悔しそうだな」って思いました。これは文字通り"見逃せない"と。

私の他にもそう思う人は多かったようで、初回のチケットは即完売で取れず、追加販売分でやっと確保して。

初めて行った座・高円寺、一回行ってみたいと思っていたので嬉しかったです。モダンでカッコいい建物で、今回久しぶりに自由席だったので他の人の前通って真ん中に入り込む勇気がなかった私は、最前列でちょこんと空いていた一番端の席に座りました。

下手側の一番端っこ。端とはいえ最前列でお笑いを見るのは初めてでしたが、結果的にすごくすごく良かったです。

目の前からは間近で繰り出される銀兵衛の熱量を浴びられて、後ろからは客席の笑い声が背中を押してくる感覚があって、でも正面じゃないところがまた特別感あって。幸せな時間を過ごせました。今回特に小松が舞台の奥行きを使うネタが多かったから、横から見るのはベストアングルだった気がする。。

もう生で見られない今、本当にあの時チケットを取って、あの時あの席を選んだ自分を褒めたい。最初で最後だったけど、銀兵衛という漫才師の最後の舞台を生で見たことは一生誇れるなあ。"「おっぱいファイアウォール」を見たババア"になる資格を得たことがこんなに重大なものになるとは、当日は全く想像してなかったけど。

11本の新ネタ(ラストライブで新ネタ11本て)、爆笑取るネタもあればあんなにホームなのに客席が全くついていけないネタもあって(笑)相変わらず唯一無二な漫才に圧倒され続けました。

個人的ハイライトをいくつか挙げると、まず1本目の開始20秒くらいで小松が盛大な言い間違いをかまして最初の笑いがそこで生まれたこと(笑)、ランジャタイか?と思うほど奇想天外なストーリーで腹筋つるほど笑った「フルボッキスキップ」、「アクアパッツァ」で20年振りに"かいけつゾロリのチョコレートじょう"のブルルチョコの記憶の引き出しをこじ開けられたこと、そしてラストの「公園」のネタ

11本通してひとつのアルバムを聴いているような構成の中、「公園」はまさに最後の曲らしい劇的で壮大なネタでした。小松の「じゃあ全員いないんすよ」って言う瞬間の表情が感情出すぎててもう忘れられないです。ラストであゆむが無言のままおもむろに動き出す瞬間も、なんだかスローに見えるくらいドラマチックで。わたしたち客席もあゆむも小松の世界にいた、っていう締めくくりは本当に綺麗で且つ衝撃的な漫才でした。これM-1で見たかったかもな。

やっぱり一回で咀嚼できる公演ではなかったので配信もすぐ買いましたし、毎日見ています。今これを書きながらも。銀兵衛の漫才でしか刺激されない脳みその部分というか、快感みたいなものありますよね。ランジャタイやキュウ、今年M-1で知った人間横丁など私が好きな漫才はこれが強いものが多いかもしれないです。毎日見てても全然飽きない。

この単独公演の約2週間後に解散の報告があったわけですが、ドレミ転校生最終回を聞く限り、ずーっと前からこの単独をコンビのラストに位置付けていたそうで。それを知ると感じ方がまた変わるし、「公園」のネタが更に意味あるように感じちゃいます。

まあ外野がそんな深く考察するとかしてもしょうがないので「意味深だなあ」で止めておきますが、つくづくこれで活動を終えてしまうのがもったいないな~と思わざるを得ません。こんなに面白いのになあ…

ただラジオで解散の経緯を聞いて今思うのは、それぞれで芸人は続けると言う二人の未来に幸あれという気持ち。ドレミ転校生も最後までらしくて面白かったな。泣かないためにちんこの画像を準備するの笑う。小松は解散したくないんだろうなあ。

もちろんこれからも応援するし、銀兵衛というすんごい漫才師がいたということもずっと忘れたくないな。noteという残せる場があってよかったです。

長々書きすぎてしまうのでこの辺にします。新しい笑いに出会わせてくれた銀兵衛に感謝を込めて。


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