Blue Moon(青野春秋)

問題のある漫画家がマンガには生涯描くことはない話。マンガと生きる私生活や自己作品の創作…

Blue Moon(青野春秋)

問題のある漫画家がマンガには生涯描くことはない話。マンガと生きる私生活や自己作品の創作裏話などの自己分析や反省、そして何よりも感謝の気持ちを込めて記していきます。

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  • 【漫画とマンガと漫画家と私】

    ひとりのマンガ読者として、またひとりの漫画家として、ただただマンガが大好きな私として。 そんな漫画家による『青野春秋のマンガと歩んできた漫画人生譚』

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はじめまして

漫画家の青野春秋(あおのしゅんじゅう)と申します。 遡ること2005年に小学館より刊行されていた『月刊IKKI』(残念ながら2014年廃刊)にてデビューして以来、病欠を繰り返しつつ『俺はまだ本気出してないだけ』『五反田物語』『100万円の女たち』『夢子ちゃん』『スラップスティック』などのマンガを描いてきました。 そして現在は本格的に身体を壊して、連載は休載とさせていただき闘病生活を送りながら復帰に向けて準備中です。 連載を楽しみにしてくださる読者の皆様には、我ながら誠に

    • 『100万円の女たち』の創作裏話 〜締め切りの向こう側 〜

      デビュー間もない頃に「青野さんは週刊連載をするつもりはありませんか?」と週刊スピリッツの編集Oさんから大変有難い提案をして頂いたのですが「無理だと思います」と正直に答え、その後も月刊連載や読切、頑張っても短期集中連載でマンガ制作を続けていました。 僕が週刊連載に踏み切れなかった理由は2つありました。 ・生まれつき虚弱体質で3〜4年に一度のペースで何かしらの病気になり、入退院を繰り返して生きてきた自分の健康状態への不安。 ・描き込みの少ない作風なのですが、両手に軽く問題が

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        落書きとイラストと似顔絵2

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          続・しばざんまい(青野はる本店)

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        • 【漫画とマンガと漫画家と私】
          15本

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          完結した過去作の続きを描くということ

          このマンガは私の連載デビュー作『俺はまだ本気出してないだけ』の完結から数年後の話だ。 この遠い昔に描いた作品の結末には我ながら納得していたし自信もあったので、出版社からの正式な続編の打診も丁重にお断りし続けていたし、私自身「続きを描くことはありません」と公言していた。 また、これは個人的な考えですが漫画家としても一人の読者としても完結した作品(自己作にかかわらず)の続きを描きたいとも読みたいともまったく思わない。 「もういいよ。だったら新作(描きたい)読ませてほしいんだ

          完結した過去作の続きを描くということ

          『夢子ちゃん』の創作裏話 〜紙から電子へ転換期〜

          「青野さん、Webでマンガを連載してみませんか?」 と、編集者Tさんから提案された。 2014年の話だ。 今のようにスマホやタブレット、パソコンでマンガを連載するというのは、まだまだ定着しておらず出版関係者も漫画家も懐疑的で嫌悪感さえ持っている人たちの方が圧倒的に多かったし、僕自身も抵抗感は正直あった。 マンガに限らず、小説や雑誌や専門書は当たり前に紙の本を読んで育ったので、Webならではの強い光で目がチカチカするし、紙のような質感は消えてしまい読みにくいと思ったし今も

          『夢子ちゃん』の創作裏話 〜紙から電子へ転換期〜

          『五反田物語』の創作裏話

          このマンガは表題作の連作短編を中心にした短編集です。 『五反田物語』は、1話ごとに登場人物たちが19歳、20歳、21歳と年齢を重ねる中の出来事のひとつに焦点をあてる形式で描くことで、歳を重ねるのはあっというまかもしれないけれど、人生における大切な変化が大なり小なり起きているのかもしれないという視点で描いています。 2020年11月現在で24歳まで発表しており、この短編集には19歳から21歳までの3話が収録されています。 その続きは次に短編がまとまったときに書籍化されるかと

          『五反田物語』の創作裏話

          青野春秋を形成する作品〜マンガ編〜(後編)

          いらっしゃっいませ。 後編までお付き合い頂き誠にありがとうございます。 それでは残りの5作品を早速紹介させて頂きます。 ⑪『バタアシ金魚』/ 望月峯太郎 ・上京前は近所の本屋さんに入荷されない単行本は電車で街まで遠征し購入していたのですが『バタアシ金魚』は街の書店にも在庫がなく、注文しても入荷するか確約できないと言われ、どうしても読みたかった私は意を決して東京まで遠征し、渋谷のパルコブックセンターで単行本だけを購入して(余分なお金がないので食事も抜き)寄り道することなく

          青野春秋を形成する作品〜マンガ編〜(後編)

          青野春秋を形成する作品〜マンガ編〜(中編)

          引き続き読んで頂きありがとうございます。 それでは早速ですが、前編に続き紹介していこうと思います。 ⑥『銀河鉄道999』/ 松本零士 ・『男おいどん』『宇宙海賊キャプテンハーロック』『宇宙戦艦ヤマト』など、下宿生活から宇宙を冒険と振り幅があり、しかもどちらも魅力的でおもしろい巨匠漫画家。 中でも『銀河鉄道999』は夢中で読んだことを覚えています。 松本先生は初期に少女漫画を描いていたこともあり、女性キャラの描き方が魅力的で独特な雰囲気が作品に漂っており、松本零士作品の特

          青野春秋を形成する作品〜マンガ編〜(中編)

          青野春秋を形成する作品〜マンガ編〜(前編)

          もっとも多い質問で「影響を受けた作品」についての回答を前回記しましたが、その中でも私自身が漫画家としてもマンガ読者としても、特別に影響を受けた作品を紹介しようと思います。 それでもやはり、絞り込むのは難しいことなので15作品に限定し(全部あげるとキリがないので)悩みに悩み厳選したマンガを選出し、5作品ずつ三回に分けて紹介させて頂きます。 順不同での紹介なりますので「これが一番」とは自分でも決めることができないことをご理解頂けますと幸いです。 それでは、前置きが長くなりま

          青野春秋を形成する作品〜マンガ編〜(前編)

          青野春秋が影響を受けた作品について

          漫画家として「影響を受けた本を教えてください」という趣旨の質問を読者の方はもちろん、編集者などの仕事関係者の方からも訊ねられることは、僕が漫画家デビューした直後から今に至るまで定期的に何度もあった。 その問いには、いつも正直に答えることにしているので「本に限らず読んだり観たり聴いてきたあらゆる作品から好き嫌いは関係なく影響は受けているかと思います。 ただ、この作品のようなマンガが描きたいと思ったことはありません。 僕はこれを読んでほしいと思う自己作の背骨や軸は初めて描いたマ

          青野春秋が影響を受けた作品について

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          青野春秋のかなり簡潔な漫画史

          青野春秋のかなり簡潔な漫画史

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          しばざんまい(青野はる本店)

          しばざんまい(青野はる本店)

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          落書きとイラストと似顔絵

          落書きとイラストと似顔絵

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          『ドラえもん』と私

          『ドラえもん』には、二度泣かされたことがある。 一度目は、てんとう虫コミックス6巻に収録されている「さようならドラえもん」という一編を初めて読んだ9歳の時。 後にも先にもマンガを読んで泣いたのは、この時だけだ。 ぼろぼろ泣いたことを今でもよく覚えている。 18歳で上京するまで私が育ったのは茨城県の北に位置する田舎町だった。 私は母子家庭で6つ上の兄との3人で、本来は建設現場などで職人さんたちが休憩をとったりする詰所(つめしょ)というプレハブのようなモノを改良した場所で暮らし

          『ドラえもん』と私

          初連載『俺はまだ本気出してないだけ』の始まりから完結までの話(後編)

          連載再開後も映像化のオファーはたくさん来たそうです。 そんななか、Kさんから「この企画書だけは見るだけでも見てほしい」と映画化の話をされました。 相変わらず気乗りはしなかったが、連載再開を待っていてもらった恩があるので「見るだけなら」と企画書を読んだ。 【主演、堤真一】 シズオを堤真一?っていうのが素直な感想でした。 「堤さんがこの役を受けるわけないよ笑」と企画がなくなると思い承諾した。 【日活100周年記念作品】 『俺はまだ本気出してないだけ』 主演、堤真一 予想に

          初連載『俺はまだ本気出してないだけ』の始まりから完結までの話(後編)