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企画「ほしかったラブレター」に参加します(noteリスペクト)

山根あきら様の企画「ほしかったラブレター」に参加します。

それではいってみましょう。
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当時私は新卒OL。雑用専門だったのに、突然責任のあるお仕事を任されてしまったの。

男女雇用機会均等法といって、女性も男性と同じ仕事をすることになるのだって。私はその最初の社員だった。

でも職場の空気はそう簡単に変るものじゃない。お茶くみコピー取り、お客様へのコーヒーだし。上司のスケジュール管理や経費計算。それにプラスのお仕事。もちろん男性社員はOLの仕事なんかやらない。

タカ先輩はそんな私によくコーヒーを買ってきてくれた。それも私が席を外している間にそっと置くの。ある日なんか残業中に、タカ先輩があったかいおでんとおにぎりを私の机に置くのを見ちゃった。

どうしよう。私はそんなタカ先輩に恋をしてしまった。

バレンタインデー。義理チョコが社内中を飛び交うのでメールボックスはぱんぱん。私も前日お仕事でお世話になってる人10人あまりの義理チョコを包み、メールボックスに放り込んでおいた。

タカ先輩には少し高いゴティバの本命チョコ。帰りに渡そうと机の引き出しに入れたの。それが最大の凡ミス。入れた引き出しは、私の横の係長の机の引き出しだった!

私が気付く前に係長が引き出しを開け、そのチョコを高々と掲げ

「るりいちゃんからチョコもらったーうえい!」

とみんなの前でおおはしゃぎ。

私は忘れない。向こうからタカ先輩がその姿を呆然と見つめていたことを。ああ、もうだめ。もうだめなの。いやあああん。

タカ先輩とはそのうち疎遠になってしまい、私も激務で体を壊し職場を辞めた。

タカ先輩。いまどこで何をしているのかしら?

私の頑張りを優しくいつも見守ってくれていたタカ先輩。どこかで誰かにその優しさを注いでいるのかしら。

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