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1期生ライブ・メンバープロデュース企画が良すぎた

良すぎた。

去る3月28日、3月29日にそれぞれ配信の形で「9th YEAR BIRTHDAY LIVE〜2期生ライブ〜」「(同)〜1期生ライブ〜」が行われた。

2期生ライブは、この日を以てグループ卒業となる堀未央奈ちゃん最後の出演であり、彼女を中心に据えたパフォーマンスや演出も多々、しかしその一方で単に彼女だけが主役ではない、その日の夜放送の『乃木坂工事中』まで含めて、この3月28日がとても「2期生の日」だったなと感じるライブでございました。

そして次の日の1期生ライブ。公式Twitterでも「9年間の全てを知っているこの8人」と評されていたが、これまでの9年間、そして10年目を迎えた彼女達の集大成……と思いきや、ただひたすら「今一番仲良しなんだよ」と主張しているような、8人の絆をとことん見せつけられためちゃ楽しいライブでした。

どちらも感想なんていくらでも語れそうなものですが、もはやとりとめが無くてまとまらないレベル。2期生ライブにしても(堀ちゃんの卒業含め)、乃木坂46を好きになったばかりの頃を振り返ることから始めないと、とても書けやしない。

なので今回は、中でも1期生ライブにおける、めちゃ楽しかった要因の大いなるひとつである「メンバープロデュース企画」に焦点を絞って書いていきたい。

乃木坂46のライブにおいて、個人にフォーカスを当てる企画は、全員センター、ジコチュープロデュースなど様々な形で過去にも(そして今なお)執り行われてきた。

それらは、くじ引きによって楽曲が決まったり、自らやりたい楽曲(&演出)を発案したりするものであったが、今回は遂に他のメンバーから「この子にこれをやらせたい!」という、もう、最高じゃん、最高の企画が実現した。

現1期生8名分の8企画、1人につき他の7名から案が出されて総計56企画、ボックスによる抽選で決まったそれらは、あまりにも関係性が透けて見える、10年目だからこその互いへの理解があってこそ完成されたと断言できるものばかり。

時に「見たことのない姿が見たい」、時に「得意とするパフォーマンスを発揮させたい」、時に「インド映画です」、その幅も充実しすぎているくらい充実していた。今まで傍で見てきた、理解し合っている、だからここまでのプロデュースが行える。メンバーの魅力を最大限に引き出すことが出来るのはやはりメンバーなのだ。

と、細々書いてもしょうがないので、早速1つずつ挙げていこう。当日LIVE配信とリピート配信を見た限りの記憶で書いているので、一部の誤りはご容赦されたし。

13日の金曜日 / 生田絵梨花(星野プロデュース)

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トップバッターを務めるは生田絵梨花ちゃん。星野みなみちゃんプロデュースによる『13日の金曜日』が披露された。みなみちゃん曰く「(生ちゃんの)王道アイドルの姿が見たい!」とのことだったが、それを実現するにあたっての解答が「斉藤優里の完コピ」であった。

当楽曲のオリジナル・センターである斉藤優里ちゃん、彼女の(とりわけライブにおける)アイドルしぐさが圧倒的であることは周知の通りだが、楽曲自体はもちろん、オリジナルの衣装を身にまとい、強いくらいのぶりぶりした表情、煽り、イントロでの「この指止~まれ」に至るまで、彼女のパフォーマンスが生ちゃんによって徹底的に(ちょっと照れくさそうに)再現された。

存分に生ちゃんの「アイドル」を堪能させていただいたが、しかし生ちゃんは、たまに「やってる」的なイジられ方をされることからわかるように、「アイドル感」「あざとさ」の部分を潜在的に秘めてもいる。

そういう意味では、今回の13金は「見たことの無い姿を見れた」というより、「本来持っているのに自分からあまり出そうとしない部分を力業で引き出された」プロデュースであったように思う。(よく考えたら他の参加メンバーもナチュラルにその餌食になっていることがまたポイントである)

今や個人でのミュージカル出演や各所での活躍もさかんな生ちゃん、相対的にアイドル業との距離感は広がり、ないし比重は薄れつつあったともいえるが、それを今回の13金でグッと引き戻し、かつ「まだまだイケる」と証明して見せたと断言していいだろう。みなみちゃんがどれだけ自覚的だったのかは定かではないが……恐ろしい子!

Out of the blue / 秋元真夏(飛鳥プロデュース)

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「キャッツですね」という飛鳥ちゃんのフリにどういうことだろうと首を傾げていたら、本当にキャッツだった真夏さんの『Out of the blue』。まずもって、飛鳥ちゃんによる4期生楽曲のチョイスと言う時点でちょっと興奮が止まらないところであるが、その標的となったのが秋元まにゃつさんであった(NOGIBINGO懐かしい)。

まず衣装を見てみると、以前『しゃべくり007』に出演した際に披露していた(握手会などでも着用した)私物の白猫コスプレ衣装であったが、つまり彼女はキャッツをやらされるどころか、自宅から衣装を持ってこさせられたものと思われる。「自ら用意させる」というドSのやり口が非常に飛鳥ちゃんだ。

とは言え実際のパフォーマンスは、「にゃにゃにゃ~」という猫語の歌唱を拙いながら一生懸命こなしていることも相まって、非常に可愛らしかったのも事実。20代も後半である彼女だが、本当、揶揄抜きで、本当に凄まじい愛らしさを放っていたように思う。まさにジェリクル・キャッツ。

実際飛鳥ちゃんも「真夏の可愛さを引き出すには~」といった旨の解説をVTR中でしていたが、どこまで本気かはさて置き、それが見事に叶ってしまったプロデュースと言える。彼女の魅力を引き出すパフォーマンスの答えに、飛鳥ちゃんは辿り着いてしまえるのだ。

加えて言えば、真夏さんが後に「いざ真ん中で一人でやるとなると恥ずかしくて」と話していたことが、むしろプラスに働いた。だって、ノリノリよりちょっと恥ずかしそうなくらいの方が可愛いじゃないか。

僕のこと、知ってる? / 高山一実(松村プロデュース)

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松村沙友理プロプロデュース(※誤字じゃない)による、高山一実ちゃんのガチピアノ生演奏……のはずが、「いや手元映さないと思ったらそういうことかい!」と全視聴者が画面越しにツッコんだであろう、見事なピアノパフォーマンスであった。

あれを白々しくなく、そしてどんどん過剰に持っていきながら披露するのは、誰にでも出来ることではない。10年選手の一員である一実さんを、ずっと見てきた松村プロだからこそ託すことが出来た最高のコントと言えるだろう。

しかしながら、重要なポイントとして、一実さんの『僕のこと、知ってる』によくマッチした暖かい歌声や、ドレス姿(@紅白2018)の可憐さがある。説得力を持ったそれらがこそ、種明かしまでの厳かな雰囲気を崩すことなく支えていたのだ。そしてその要素が丸ごと、弾いてない事が明かされた瞬間のばかばかしさをも支えるのである。

ラストだけ本当に弾いたこともまた感動的だ。ピアノに戻ることなくしれっと終わっても成立しただろうに、まさかの二重サプライズであった。めちゃめちゃ「ド」とか「シ#」とか書いてあった楽譜も最高。

うん。だけどやっぱり単純に歌が良かったな……これまでも主要歌唱メンバーとして活躍してきた彼女だが、『僕のこと~』のような優しい曲調が一番合っているかもしれない。ソロであったこともとても良かった。それも、松村プロのことだから全て織り込み済みだったのでは、とさえ思える。

命は美しい / 樋口日奈(星野プロデュース)

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ポップな三連発からのド本気のパターン。二度目となる星野みなみちゃんプロデュースによる、樋口日奈ちゃんの『命は美しい』披露は、流石と言うほかない、純然たるダンスパフォーマンスであった。

あの流れからの4番手であることにしても、樋口日奈ちゃんの何を引き出すのかという解答にしても、「ガチ『命は美しい』」という選択は120点の大正解であったと思う。もちろん、当のひなちまもその期待に見事に応えていた。やはり空気を塗り替える力を持つ人はスゴイ。

曲前のVTRでも『欲望のリインカーネーション』などのダンスシーンが流れていたが、彼女のステージングは凄まじい。単にダンスの技術が高いかどうかの話だけではなく、魅せ方のレベルが違う。

ライブの場数も相当踏んでおり、舞台出演経験も豊富な彼女は、「ステージ上でどう在るか」をよく解った上で臨むことが出来る人だ。みなみちゃんは苦労を想って可愛く謝っていたが、この日の為に作られたソロダンスも一切隙がないものだった。

彼女について印象的なのは、阪口珠美ちゃんが座長を務めた、つい先日のアンダーライブ。1期生のひなちまは隣で支えるポジションであり、MCなども多く任されていた。そこで見られた「1期生としての大きな背中」が、1期生だけしかいない今回の場でも、パフォーマンスという形で大いに発揮されていたように思う。それをまんまと見抜いたみなみちゃん……恐ろしい子!

ロマンスのスタート / 齋藤飛鳥(秋元プロデュース)

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キャッツの仕返しなのか、5番目は真夏さんプロデュースによる、あしゅりんの『ロマンスのスタート』。ピンふり衣装に身を包み(ヘッドセットが似合い過ぎててヤバい)、時折真夏Pからの指示に従う、お人形さんのようなあしゅりん。いつも抵抗しがちな飛鳥ちゃんですが、今回に限っては泣く泣く言われた通りにやっていて、もう最高でしたね。

『NOGIBINGO』が放送されなくなって以来、乃木坂メンバーの可愛い台詞・可愛いアクションを観る機会が減ってしまったことをこっそり残念に思っていたのだが、ここぞとばかりに(それもあしゅりんによって!)行われてしまっては、首を垂れるしか出来ない。

それにしても、片や秋元まにゃつをやらされ、片やあしゅりんをやらされ、という陥れ合いをする2人の関係性がまた可愛くて仕方がない。かつ、実際のところそのパフォーマンスが可愛らしかったのは確かであり、プロデュース側がそれを見たかったのは間違いないであろうことを思うと、なおさら胸が締まる思いだ。

そんな彼女の隣に、真夏P、そして生ちゃん・ひなちま・まあや達ギャラリーが控えていたのは、指示を出す役(と賑やかし)でありながら、一人でやらせない優しさだったのかも、とも思う。恥ずかしいキュンキュンアクションをやるにしても、みんなが傍にいれば心強いものだ。いや……単に間近で観たかっただけかもしれないが。

そして、シンプルに飛鳥ちゃんソロによる『ロマンスのスタート』披露という点そのものが実はめちゃめちゃ良かった。飛鳥ちゃんの落ち着いた歌声も軽やかな舞いも極上だ。次は是非『あしゅの手裏剣』で!

欲望のリインカーネーション / 星野みなみ(和田プロデュース)

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6番手は、まあやプロデュースによるみなみちゃんのセクシーが引き出された『欲望のリインカーネーション』。

このパフォーマンスは、上にも書いた「見たことのない姿が見たい」に該当し得るものだが、しかしプロデュースを行ったまあや自身が、また後のMCにて一実さんが「みなみにセクシー合うよね?」と言っていたように、単に「試しにやってみさせた」という話ではない。彼女達はみなみちゃんの本質を確かに見極めている。まあやは、その上で彼女にこの曲を与えたはずだ。

それは視聴者が実際に観たその印象が答えで間違いない。ハートのお口が可愛らしくてやまないみなみちゃんであるが、それを封印したクールな顔つきもあまりにも魅力的であった。

思えばみなみちゃんは、「可愛い」に落ち着きがちな一方で、『制服のマネキン』『against』といった楽曲のフロントポジションも務めてきた。今回の『~リインカーネーション』のパフォーマンスはその線上にあるものだ。

その2曲はセンターであった生駒ちゃんが語り草であるが、しかしみなみちゃんもまた、その両翼の片方を担っていた。彼女も、あれらの楽曲が放つ熱い脈動をその身で表現し続けていた一人なのだ。それこそ、みなみちゃんのダンスパフォーマンスに対する高い評価の声は、常に多く挙がる。

つまるところ、今回の『欲望のリインカーネーション』のパフォーマンスは、彼女が1期生としてこれまで歩んできた歴史がまさに現れたものであったと言いたい。ダンサーさんを従えてたとは言え、メンバーがおらず実質ソロでの披露となった事もまた感慨を呼ぶというものだ。

釣り堀 / 松村沙友理(生田プロデュース)

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次いで披露された松村沙友理ちゃんによる『釣り堀』。プロデュースを務めた生ちゃんからの万感の愛に溢れたものであった。それは本人の口からも解説があったように、サビの〈サボってみよう〉というフレーズに集約される。

乃木坂46メンバーとして、グループ内外を問わず、果てはグループ内ユニットも含め、群を抜いた多方面での活躍を見せてきた松村沙友理ちゃん。さゆりんご軍団の楽曲『働き方改革』では、むしろ彼女が人に〈たまにはサボるが勝ちでいいんじゃない?〉とメッセージを放っていたりもした(彼女自身が作詞したものだ)。

そんな彼女へのアンサーのような、妹からの「たまにはそれを休んでもいいんだよ」という優しさが、今回の『釣り堀』をプロデュースする形で降り注いだ。そして曲を披露するという形でまっちゅん自身も受け止めたのだ。「この為にボイトレをした」というエピソードもそうだが、一人で懸命に歌う姿が、生ちゃんの想いに応えたものでないはずがないじゃないか。

曲の開始時、ステージ上ではメンバー達が『僕は僕を好きになる』をパフォーマンスしていた。それを彼女は、同じく衣装を着ていながら客席上から遠目に眺め、会場の外へと抜け出してしまう。その演出がまた叙情的で、短いながら1本の映画を観ている気分にさえなった。

勿論それは、ベンチに横たわった彼女をメンバー達が追い掛けてきたところまで含まれてこそだ。最後に生ちゃんが掛けた毛布は、まさに『釣り堀』に込めた優しさのリフレイン。他のメンバーも顔を寄せたり、手を添えたりしたことだってそうだ。皆、まっちゅんのことが大好きなのだ。

ガールズルール / 和田まあや(松村プロデュース)

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最後を締めくくる、間違いなく大団円であった和田まあやちゃんの『ガールズルール』。いやもう全員出演してるし。その派手さも盛り上がりも、最高以外のボキャブラリーが奪われてしまったくらい最高だった。

まさかのインド映画オマージュ、いわゆるボリウッドだが、まさしくそれに倣った奇想天外かつ大胆な展開は、既に「楽曲披露」の域を超えていた。もはやミュージカルでさえない。なんかもうお芝居メインだったもの。わざわざセリフカンペを掲げている様まで見せつける辺り、松村プロは周到である。

だがしかし、いざ観てみたら、あれしかないと思える程の極上な時間であった。歌やダンスの場面だけ取り上げても、大勢のダンサーさんを入れたり合成を多用した(タージ・マハルを背負った)りした画面は観ているだけでめちゃくちゃ楽しい。あるいはトリップしている気分になった。もちろんそれは、まあやが培ってきたパフォーマンスの実力あってこそであるし、何よりまあやのエキゾチックな顔立ちにサリーが似合い過ぎている。そこからの着想だったんじゃないかと疑いたくなるほどだ。

そして、まあやの「愛され力」がそのまま、プリンセス役である説得力にもなっていたように思う。樋口王子とのカップリングも相まって(王子かっこよすぎやしないか)、全力おふざけでありながら、インド映画的ラブロマンスをきちんと再現する土台力も見せつけていた。そこはまさに松村プロプロデュースの賜物だ。メンバーの関係性あっての采配でありながら、しかし彼女の手腕がビカビカ光っていたと言えるだろう。

2人の傍を通り過ぎるゾウ使いや1日100枚ナンを食べる人、インドチックにアレンジした振付といった遊び心も含め、最高のパフォーマンスだった。全体ライブではまずできないであろう、まさに「今回の1期生ライブでしか観れない(実現しない)」パフォーマンスだった。

1期生8人総出演&ダンサーさん達による今回の最大人数での披露が生んだ多幸感は、上でも書いたが「大団円」の一言だ。インド映画が目指す「娯楽」のそれを見事に達成した壮大なフィナーレであった。もしあの『ガールズルール』が本ライブの最後を飾っていたとしても、盛大な拍手で迎えてしまったことだろう。

まとめ

駆け足ですがこんなところで。言いたい事としては、単に良い企画だった、良い選曲だったという話ではなく、9年間の関係性あってのプロデュースがすべての曲において行われていて、そのことが何より感動的だったという話です(しかし改めて並べてみると、曲のバランス・順番がめちゃくちゃ良いですね)。

いやあホント、幸せな8曲だったし、幸せな3時間だったし、幸せな2日間でした。観てしまって良いのかと思っちゃう程に。

1期生ライブに限っても、こういったセットリストで進めつつ、本編を『ぐるぐるカーテン』で締め、アンコールで『思い出ファースト』『ボーダー』『I see…』を披露、そして『左胸の勇気』で締めくくった事はまた、今回のライブに出演した8人だけではないメンバー達の影を見せた。

アフター配信での大縄跳びは絶妙に緩く、それをこんなメモリアルな日にやっちゃうことも含めて愛と平和でしかなかった(円陣に縄跳び小助さんを呼ぶところとか、引っ掛かったメンバーを設楽さんの物真似で責めるところとか)。

そして最後に歌った『あらかじめ語られるロマンス』。もしかしたら単に可愛いこの曲をみんなで歌いたかっただけかもしれないが、しかし、〈どんなに離れていても結ばれ合う/その奇跡〉というラインが、まるで乃木坂46で出会った彼女達を謳っているようだ。

そんなこんなで、ありとあらゆる選曲や演出からつい意味を見いだしてしまってしょうがない、9年間の愛に溢れたライブであった。

後にも先にも再現することのない、あの日だけの最高のライブでした。

以上。





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