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シリーズAラウンドで資金調達!経営管理プラットフォーム「DIGGLE」 事業好転のターニングポイントとは 【スタートアップコミュニティSPROUND 利用企業インタビュー DIGGLE】

「知の還流」がコンセプトのインキュベーションオフィス「SPROUND」をご利用の企業、通称SPROUNDERの入居者インタビュー第9弾。
今回は、経営管理プラットフォーム "DIGGLE" を開発・提供するDIGGLE株式会社の代表取締役 山本清貴(やまもと きよたか)さんと、DIGGLEでバックオフィスを担当する社員の冨田貴大(とみだ たかひろ)さんにお話を伺います。

今月、シリーズAの資金調達を発表したDIGGLE株式会社現在の成長に至るまでどんな苦労があったのかをCEO山本さんに、社員の冨田さんからはスタートアップで働くことについて話していただきました。また、SPROUNDに入居して約2年が経つDIGGLEさんに、SPROUNDを利用しての感想・ここまでSPROUNDを継続利用している理由についてもお聞きしました。

DIGGLE代表取締役山本さん(右)と社員の冨田さん(左)

山本さんのキャリアとDIGGLEの起業に至るまで

日高:お二人ともよろしくお願いします!まず、CEO山本さんのご経歴含め自己紹介をお伺いしたいと思います。山本さんはこれまでどのようなキャリアを積んでこられて、起業に至ったのですか?

山本:法人営業一筋の経歴です。特に外資系のERPベンダーに、11年間と長く勤めていました。大企業向けの会計システム、サプライチェーンマネジメントシステムの営業をやっていました。
40歳手前のタイミングで、自分のキャリアを見つめ直そうと思い、働きながら夜間のMBAに通い始めました。MBA卒業後、個人の力が全てだった外資系企業を離れ、チームで仕組みや事業をつくって社会にインパクトを与える仕事がしたいという思いで、当時伸びてきていた「動画」の事業を手掛けるスタートアップで営業マネージャーとして働くことにしました。3年ほど、動画マーケティングのスタートアップで働きました。

動画マーケティングの世界で働くことで、「動画マーケティング」のような特定部門向けのビジネスではなく、過去に経験のある会社全体に影響を与えるIT業界で起業したいと思うようになりました。また、事業部門のマネージャーをつとめる中で「予実管理」の重要性を感じるようになりました。当時予実管理のクラウドサービスはあまり世の中になかったので、挑戦しがいがあると思い、この領域で起業することに決めました。

その動画マーケティングのスタートアップでは、DIGGLEの共同創業者として参画してくれた水上と出会ったことも大きいです。そして今日このインタビューに同席している社員の冨田は、水上の大学の後輩で、彼の紹介で入社してくれました。

山本清貴/Kiyotaka Yamamoto
DIGGLE株式会社 代表取締役
経営管理プラットフォーム”DIGGLE”を開発・提供するDIGGLE株式会社。

DIGGLE事業成長のターニングポイント

日高:DIGGLEさん、今回は資金調達おめでとうございます!今回の資金調達を機にこれまでを振り返って、スタートからこれまで苦労はありましたか?

山本:DIGGLEは一度も事業ピボットをしていないんです。起業した2016年から今まで、同じ事業で頑張ってきているわけですが、2019年の夏頃までは結構苦労しましたね。苦労していた頃、プロダクトが未熟だったのはもちろんありましたが、何よりもカスタマーサクセスを疎かにしてしまっていた節があったと今となって思います。当時はカスタマーサクセスを軽視しているつもりはなかったのですが、売り上げを上げなきゃいけない焦りが出てきて、人材採用せずに事業を拡大しよう、とにかくプロダクトを営業で売るしかない、と思っていた結果、そうなっていたのでしょう。
その結果、売り上げは0ではないけどそんなに伸びていない、せっかくお客様が契約してくださっても解約されてしまうといった状況が続いていました。

日高:そうなんですね。何かターニングポイントがあったのでしょうか?

山本:カスタマーサクセスの改善をしたことが、事業が好転するきっかけになりました。
2019年の年末に投資家皆様より、その時のプロダクト・顧客の状況のままで本当に良いのか?根本的に業務のプライオリティを変更しては?というアドバイスをうけました。それを機に一度DIGGLEを見直すことにしました。どうせこのままやっててもダメなら、自分たちが本当に欲しいと思うプロダクトを作りきって、お客様に徹底的にフォーカスして、3ヶ月後の2020年3月までにDIGGLEを“愛してくれる”会社を“3社”作るという目標を立て、会社の方針をプロダクトを見直すこと、カスタマーサクセスに徹底的に注力することに舵を切ることにしました。

営業出身の自分は、営業を控えてカスタマーサクセスに注力するという大幅な路線変更の決断に、最初はかなり迷いました。キャッシュもあと8ヶ月くらいの状況でしたが、このまま続けても変わらないと言われて、やるしかないと腹をくくりました。その判断からはとても忙しくて、2019年の年末はずっと仕事をしていました(笑)

山本:2020年の3月までにDIGGLEの熱狂的なファンを3社作るという目標のもと、走り出しました。
自分と共同創業者の水上も、それぞれの専門領域である営業とコードを書く仕事をストップし、営業・マーケティングをしていた社員も含め全員に担当のお客様をつけて、全員がカスタマーサクセスという体制に変えました。

とは言っても僕らはカスタマーサクセスのノウハウもないので、お客様にとにかく困っていることを聞いてそれを全てプロダクト開発に還元してという形で、ひたすらお客様の声に応えました。多い時は1ヶ月に24度のプロダクトアップデートを行いました。ほぼ毎日です(笑)

結果として、3月にDIGGLEの熱狂的なお客様を2社作ることができました。目標の3社には届きませんでしたが、「もうDIGGLEがないとつらいです」って言ってくれるお客様ができて、めちゃくちゃ嬉しくて。
さらにこれを成功事例としてお話しできるようになってから、自分たちが話す内容にも深みが出てきて、営業活動でも成果が出てくるようになっていきました。手探りでやっていたカスタマーサクセスも成熟し、2020年の夏くらいからはお客様も継続してくださるようになりました。そこから自分たちの事業への信頼が確信に変わりました。

社員冨田さんのキャリアとスタートアップで働いてみて

日高:今回同席していただいている社員の冨田さんは去年の春に入社され、今年2年目に入ったと聞いております。冨田さん、まずはご経歴含め自己紹介をお願いします。

冨田:DIGGLEでバックオフィスを担当しています。大学は名古屋で、2017年に卒業してから化学メーカーへ入社しました。
もともと実家が町工場の経営をしていたことから、メーカーに憧れがあり、工場を希望して入社しました。工場で5年経営企画、本社で3年経理を担いました。

工場での5年は予実管理が業務の中心にあり、大切ではあるけど本当に作業量が多いなと感じていました。我々はよく「Excelのバケツリレー」と表現するのですが、まさにそのような状況でした。会社を良くするために必要な業務ではあるのですが、業務に忙殺されて「作業」が多くなってしまっていました。経理・経営企画職がより価値を生み出せる仕事に時間を割けるよう、効率化の必要を感じていました。

ERPも使ってはいたのですが、UIが優しくなくて、少々使いにくい印象があり、当時も使えるプロダクトがないか探していました。それから本社経理となり、その気持ちは燻ぶったままでしたが、自分と同じ大学でサークルの先輩である水上を通してDIGGLEと出会いました。当時特に様々な経験を積めるスタートアップに興味があり、自分自身が問題意識を持っていた分野のプロダクトを持つ、DIGGLEに入社することにしました。

冨田貴大/Takahiro 
DIGGLE株式会社 バックオフィス担当

日高:もともとスタートアップに興味があったのですね!安定した大企業からスタートアップに入るって、ある意味挑戦と捉えられることが多いと思うのですが、なぜスタートアップに興味があったのですか?

冨田:スタートアップで会社の立ち上げの段階に携わることで、コーポレートの全体像を見れる仕事がしたいと思ったからです。
確かに大企業からスタートアップへの転職は勇気がいることで、ためらいはありました。

でも、タイミング・スキル・人の観点で、自分にとってDIGGLEがとてもフィットしていたんです。自分が入社した当時、DIGGLEはシリーズAの前でバックオフィスの部門もない段階。立ち上げ期からジョインして、やりがいのある仕事ができそうだと思いました。

また、これまでの自分の経験を活かして、カスタマーサクセスとしてお客さんを導ける、事業の拡大に貢献できるという自信がありました。あとは今一緒にいる山本と、共同創業者であり自分の大学時代から信頼出来る知り合いである水上はじめ、DIGGLEで働いてる人がよかったのがあります。

日高:実際にDIGGLEでスタートアップの社員として働いてみてどうですか?

冨田:本当にやりがいがあって充実しています。スタートアップは日々状況が変わるので、やることも変化します。色々なところからボールが降ってきて、今までやったことがない仕事もできて楽しいです!

SPROUNDの使い方・SPROUNDを利用していてよかったところ

日高:DIGGLEさんはSPROUNDオープン初期頃からご利用してくださっていますね。

山本:2020年10月から利用開始し、もうすぐ2年になりますね。最初は個室なしでオープンスペースのみ利用していました。個室を利用し始めたのは2021年夏です。6人部屋の個室からスタートして、8人部屋に移り、今は10人部屋を使っています。

日高:個室の変遷からも事業拡大の様子が伺えますね!今はどういう業務の人が何人くらいでSPROUNDご利用しているのですか?

山本:開発は全員リモートなので、営業とカスタマーサクセス、PR/マーケのサクセスサイドのメンバーがSPROUNDを利用しています。
サクセスサイドとは一般的にいうビジネスサイドのことなのですが、我々はサクセスサイドと呼んでいます。

開発もビジネスやっているし、ビジネス/開発という分け方ではないよねということと、先程お話した、カスタマーサクセスに注力した会社スタイルもあり、お客さんのサクセスを支援するのは営業もマーケもPRも一緒だよねということで、ビジネスサイドのことを「サクセスサイド」と呼んでいます。

日高:おお〜!めちゃくちゃ素敵な発想ですね。SPROUNDをご利用してくださっているDIGGLEのサクセスサイドのメンバーも続々増えていて、DIGGLEとしてはSPROUND利用開始から2年ほど経ちますが、CEOである山本さん目線で、SPROUNDをここまで継続して利用してくださっている理由・SPROUNDでよかったなと思う点などがあるのでしょうか?

山本:SPROUNDでよかったなと思う点は何点かあります。まずは、投資家さんとの距離が近いことです。スタートアップは、日々新しいことに挑戦していて、悩みや疑問が尽きません。

ですが、投資家の方に相談したくても、一つ質問するのも普通はアポをとらなくてはいけないわけです。ところが、SPROUNDはDNX Venturesさんが運営するオフィスで、すぐ隣にDNX Venturesさんのオフィスがあるので、お手洗いなんかで会ってサクッとちょっとした相談もできます。

また、シード・アーリースタートアップ向けのインキュベーションオフィスというコンセプトのオフィスなので、ステージも社員数も同じくらいの会社がたくさん同じ空間にいることも、環境としてとてもいいです。健全に競い合って一緒に頑張れる仲間が近くにいて、いい刺激になります。
あとは、この綺麗なオフィスは採用にもいい影響があると思います。

日高:ありがとうございます。きれいなオフィスは印象としても働く環境としても大切ですよね。私もSPROUNDのこの綺麗で開放感のある環境とても好きです。仕事も捗りますよね。冨田さんも社員目線で、SPROUNDご利用していただいて、いかがですか?

冨田:とても過ごしやすいです!落ち着ける席があって、相談するときはファミレス席を使ってと、エリアを使い分けて仕事をしています。これが自分の中で仕事のメリハリ・リズムを作りやすく、気に入ってるポイントです。
また、個人的にはSPROUNDの本棚が好きでよく利用しています。そこで読んだ本が実際に役立った経験もあります。

最近でいうと、「スタートアップ投資ガイドブック」という本を読みました。今回の資金調達の事務をやっているとき、始めは全く知見がなかったのですが、この本で基礎を知ることが出来てとても役に立ちました。この本棚にある本はSPROUNDを利用している方々の「推薦図書」ということで、おすすめコメントがついていて、それを読むのも面白いです。

日高:本棚たくさんご利用していただいてありがとうございます!実際に活用できたとはいう話は運営側としても嬉しいです!

日高:山本さんと今日お話ししてみて、思っていたより熱い方で意外でした!DIGGLEの会社全体としての雰囲気も、事業柄か真面目なイメージがあるのですが、実際のところどんな雰囲気なんですか?
山本:確かに、表面上は落ち着いているけど、内面が熱いとよく言われますね。そういう性格からか、負けず嫌いな人が好きで、社員もそういう人が多いかも。負けず嫌いって、向上心が高いということでもあって、事業成長するにはいいと思うんです。

あと、誠実さを大事にしてほしいです。グレーゾーンを攻めるのではなく、完全に白いところで勝ちたいんです。グレーに比べて成長は遅れるかもしれないけど、やっぱり白で行きたい。短距離走ではなくマラソンを走っているので最終的に勝つことを意識しています。一緒に働く社員もそういうマインドの人が良いので、正義感の強い人が多いですね。

また、こだわりが強く、徹底的にやってる人が多いです。散歩し始めたら三時間くらいずっと散歩してる人とか、何か一つについて何時間も話せますみたいな人が多いです。多分自分がそういう人が好きなんですね。

日高:面白い人がたくさんいそうですね!個人的にも、もっとDIGGLEの社員さんとお話ししてみたいと思いました!今日はお二人ともお時間いただきありがとうございました。

(文・聞き手:日高 くるみ(SPROUND Community Manager) / 編集:上野 なつみ(SPROUND Community Manager))

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