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工事なしの客室リニューアル〜温泉旅館さんからのご依頼〜

■客室リニューアルのご相談

新潟県の有名観光地、弥彦。
その弥彦駅のすぐ目の前にある『割烹の宿 櫻家』様より
客室のリニューアルをご相談いただきました。


櫻家さんは2022年の春にロビーと一部の客室を大々的に改装されたのですが
その際に家具選定でお手伝いをさせていただき、それ以来のご縁です。

和風モダンといった趣のロビーに改装するとのことで、家具も従来の旅館さんで使われるような純和風ではないものをご希望でしたので、シンプルでスッキリとしたものを提案させてもらいました。

リニューアル後のロビー
リニューアル後のロビー
ロビーの他にも改装したいくつかのお部屋の家具も新調



■あまり使っていなかった客室

さて、今回ご相談いただいたのは昔のままであまり使われていなかった10畳の和室。
きれいに改装されたロビーや他のお部屋から見るとやはり古い印象がありました。

リニューアル前の客室

部屋のリニューアルというとまずは「壁紙の張り替え」が思い浮かびます。
しかしそれをしてしまうと・・・

天井はどうする?
埋め込み式の照明器具も変えたい(工事が必要)
部屋にあるトイレや洗面台も奇麗にしたい
ドアや襖など建具も変えたい

と気になる点が次々と出てきて、その一部だけ変えたとしてもチグハグな印象になってしまうので、結局は部屋まるごと大幅な改装工事が必要となります。
そうなると費用も大きく掛かってしまいます。

ですので今回は内装工事は行わず、まずは家具などで印象を変えることにしました。


■カーテンを取り替え

広い面積を占めるカーテンなどの窓周りは部屋の印象を大きく左右します。
以前はカーテンでしたがそれをロールスクリーンにしました。

ロールスクリーンに変更

カーテンを外して障子だけにしてももいいのかなと思ったのですが、朝方ゆっくり寝ていたいという方のために遮光性が必要とのこと。
障子のままでは光を通してしまうので、遮光のロールスクリーンを取り付けました。
ロールスクリーンはスッキリとしているので、障子の桟や畳のヘリなど直線デザインの多い和室には相性がいいアイテムです。
生地は少しざっくりとした織り感のあるものを選びました。
色はナチュラルな薄いベージュ。シックな印象にしたい場合はネイビーやグレーでも良さそうです。


■板の間部分

テレビ台や冷蔵庫などが置かれている板の間部分の家具類も変更しました。

リニューアル前


リニューアル後

壁にはモダンなキャンバスパネルを飾り、花瓶は白でスッキリとした形のものにしました。
冷蔵庫の隣に置いたサイドテーブルは下部に電話を、上部にはテーブルライトを置きました。
こちらのライトもスッキリとしたフォルムですが麻のような布製シェードで温かみがあるデザインです。
テレビ台は単体で見ると洋風なイメージですが、他の家具と色合いと合わせたことと、扉部分がラタン調になっていて自然素材を感じられるデザインなので和室にも馴染みました。
扉の中には急須や茶碗などお茶道具一式を収納しています。


■テーブルと座椅子

純和風なテーブルから現代風なものに。

オーク材の天然木テーブルと座椅子はモダンなシルエットのものを選びました。
他の家具との色合いを合わせ、デザインもシンプルにすることで和室でも違和感がなく使えます。


■家具だけでもガラッと印象が変わります

今回は家具類を和モダンな雰囲気でまとめました。
和室は昔ながらの和風家具を使うと重い印象になるですが、ナチュラルな色合いでスッキリとしたデザインのものを選ぶと、現代風な空間にすることができます。

大幅な改装工事をせずに家具類を変えるだけでもこれだけイメージが変わります。

例えば家具を新調することなく内装工事だけをしたとしても、新しくなった部屋に古い家具では似合わず結局は家具類も取り替える変えることになってしまいます。

ですからまずは改装工事をする前に家具や照明器具などを見直し、どれだけ変わるかを試すのもひとつの方法かと思います。

「部屋」が商品である宿泊業では、部屋の改装など設備更新をして常に空間の魅力度を高めていかなければならず、その都度コストも大きく掛かってしまいます。

宿泊業の方から時折ご相談をいただくのですが、私は大規模な工事を施す前に、使えるものはないか、どこを変えると効果的か、など考えなるべく無駄なく効果が上がるご提案ができればと思っています。

案外、照明器具を変えただけで空間がグッと魅力的になるなんてこともあるんですよ。

宿泊業の方をはじめ、一般の方の住宅でも参考になれば嬉しいです。


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