夢破れて山河あり。(国は破れなんかしない。大国アメリカの話)

知人と、いや顔見知りと偶然すれ違った。彼女も又日本人である。
名前も知らないと言った非常に希薄な関係性であり、虫の居所が悪ければ、無視するような関係性の彼女に突如興味が湧いた。
これも、スポーツクラブのなせる技であろう。

さて、
「この頃どやさ?」
と聞いてみる。無論、以前がどやさであったかなども知らないし、どこに住んでいるかも定かでは無い。そしてこれからも聞く予定も無い。

彼女は言う。
「もう、ここに居るのが嫌になっちゃったから、日本に帰るの。」
「どの位NYにいたの?」

すかさず私は聞いた。同時に頭の中で思う。
こんな時自分だったら・・・全くもって余計なお世話以外の何物もなく、なんで知らない奴に話さないといけないんだ。今後も関わりがなさそうなのに。

頭の中の私の意見を持ちつつ、然もありなんと彼女の話を聞く。ふむふむ。
伊達に長い間日本企業に勤めた唯一の勲章とも言えるかも知れぬ。然もありなん顔は得意中の得意である。

「4年居たんだけど、ビザをさ、維持する為にバイトして(勿論イリーガル、非常に多いのが日本人のみならずこの国に来る外国人のリアル。)お金稼いで居たんだけど、何やってるのか解らなくなっちゃったし、もう日本に帰りたくなった。」

いい事が何も無かった。なんて顔で彼女は続ける。
ニューヨーク。挑戦する奴は有象無象と。
挑戦し続けない限り、活路は得られず。そんな場所である。





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