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インタビュー技術を鍛えてくれた「片道3時間」

自慢じゃありませんが、私、インタビューは得意です。先日も初めてご一緒したクライアントから「今まで仕事をしたライターの中で1番インタビューがうまかった」と言われました。えっへん。普通の社会人なら「そんな事はありませんよ」と謙遜するのでしょうが、こちとら手に職の商売。無駄な謙遜をするより、なぜそうなのか分析した方がよほど役に立つ。なので、ちょっと考えてみました。

で、その理由の1つとして挙げられるかもと思ったのが地方取材。それも取材に行く道中の片道3時間での経験です。

先日、馴染みのカメラマンと地方取材に出かけました。片道3時間レベルの遠出は久々のこと。コロナ禍前はよく行っていましたし、若い頃も地方取材は日常茶飯事でした。

カメラマンは機材を運ぶため、車移動が多く、ライターは大抵彼らの助手席に乗せてもらいます。今回もそうでした。

乗せてもらう立場なので、のほほんと爆睡するわけにはいきません。酔っちゃうから原稿仕事も出来ません。そもそも、運転手が眠くならないよう会話の相手を務めるのも、取材の一環だと若い頃に教わりました。

自分が若い頃のカメラマンのほとんどは年上で、初めて仕事をする人との同乗も少なくありませんでした。緊張しながらも、会話のネタを探すのに全集中。なにせ、相手がどんな仕事をしていて、どんな写真を得意としているかも分かりません。最初はそうした社交辞令的な話から入ります。

しかし、そんな話はすぐ尽きてしまいますから、相手の興味を引きそうな話題を会話の端々から見つけ出すのが大切です。盛り上がに欠ければ、その後のモチベーションにも関わります。取材の成否は、この雰囲気作りにかかっていると言っても過言ではありません。

何せ片道3時間。会話が途切れないようネタを探し続けるのは一苦労です。しかし、今振り返ると、この3時間がインタビューのスキルを鍛える貴重な経験だったように思います。ネタを探し、質問し、回答に対してさらに質問し、会話を深掘りしていく。これ、まさにインタビューじゃん!と。

今回の取材は20年以上の付き合いの先輩カメラマンとでしたが、彼との何十回もの「片道3時間」が、自分のインタビュースキルを高めてくれたんだなと思うと、ちょっと感慨深いものがありました。

コロナ禍が終わり、地方取材が戻りつつありますが、遠出して取材をする機会自体が全体的に減っているように感じます。わざわざお金をかけて取材するよりも、zoomで話を聞いて写真はもらえばいいと。

それでも、遠出の価値は十分にあると思います。記事のクオリティもそうですが、ライターの学習機会としてもです。私も最初は大変だと思いましたが、先輩カメラマンや編集者たちとの会話から多くを学び、取材のコツや極意についても理解を深めることができました。

確かにリモートは便利で時短になりますが、一見無駄な時間が人を成長させることもあると思います。ライターとして、こうした時間はこれからも大切にしていきたいと考えています。

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