北陸三県の住宅着工件数につき、国土交通省建築統計調査報告の数値を毎月取りまとめしています。今回の発表にて令和４年度の着工件数が全て確認できることとなりました。

建築着工統計調査は、建築基準法第15条第１項の規定により届出が義務づけられている建築物を対象とする統計調査で、毎月調査結果を公表しています。調査から得られる全国の建築物の動態は、国や地方公共団体の施策の基礎資料となるばかりでなく、民間でも業界団体、金融機関、各種研究機関等で動態分析などに広く利用されています。

参照：国土交通省　建築着工統計調査報告　時系列一覧

用語解説

持家

「建築主が自分で居住する目的で建築するもの」と定義されています。 いわゆる注文住宅のことです。

貸家

「建築主が賃貸する目的で建築するもの」と定義されています。 つまりアパート等を含めた賃貸住宅のことです。

給与（住宅）

企業が建てる社宅や、官公庁が建てる官舎などのことです。

分譲（住宅）

「建て売り又は分譲の目的で建築するもの」と定義されています。いわゆる建売住宅や分譲マンションのことです。

表の見方

• 「戸数」は各項目の着工件数です。

• 「対前年同月比」は各項目の前年比です（例えば〇％増又は〇％減）。
  　但し、「合計」欄は前年度同月までの累計と比較した、増減戸数で表記しています。

• 「コロナ前比較」は、平成３１年度（令和元年度）同月まで累計と比較した、増減戸数で表記しています。

国土交通省が一旦統計結果を発表後に、当該統計数値を修正することがあるようです。そのため期間経過後、数値に若干の誤差が生じる場合がございますのでご了承ください。

過去の住宅着工件数の実績及び分析

これまでの分析については過去のブログをご参照ください。

ブログ：北陸の建設業者さん必見！住宅着工件数の動向（令和５年２月まで）

ブログ：北陸の建設業者さん必見！住宅着工件数の動向（令和５年１月まで）

富山県の住宅着工件数

単月

昨年同月と比較し、注文住宅、賃貸住宅、分譲住宅のすべてが減少し、約１３％の減となっています。

累月（年度合計）

昨年度と比較して、注文住宅は約９２％、賃貸住宅は約１０１％、給与住宅は約２０８％、分譲住宅は約８４％となっており、トータルは約９４％となっております。

コロナ前との比較はトータルで約９０％、令和３年度はコロナ前の水準近くまで戻ってきましたが、令和４年度はまた１０％近く減少する形となりました。

石川県の住宅着工件数

単月

昨年度より約１４％の減となっています。賃貸住宅は約３２％の減となりましたが、注文住宅が約２％となり注文住宅の単月としては実に１４カ月ぶりの増となっています。

累月（年度合計）

昨年度と比較して、注文住宅は約８５％、賃貸住宅は約７２％、給与住宅は約６０％、分譲住宅は約８９％となっており、トータルは約８１％と大幅な減となっています。しかし、分譲住宅のうち建売住宅だけで見ると１１１％と伸びています。

コロナ前との比較はトータルで約７６％となっています。

分譲マンションについては、昨年度との比較では４４％、コロナ前との比較でも５９％と大きく減少しています。

福井県の住宅着工件数

単月

昨年同月と比較して約１９％の減となっています。しかしそんな中でも、給与住宅は１,９２０％増と大きく増えています。

累月（年度合計）

昨年度と比較して、注文住宅は約９０％、賃貸住宅は約９６％、給与住宅は約３１０％、分譲住宅は約５８％となっており、トータルは約９０％となっております。

コロナ前との比較はトータルで約９８％、令和３年度はコロナ前を上回る着工件数でしたが、そこから少し後退する形となりました。

分譲マンションについては、令和３年度３０８戸、コロナ前の令和元年度が１５４戸でしたが、令和４年度は着工がありませんでした。

全国の住宅着工件数

単月

昨年度との比較では、給与住宅が約３４％増加していますが、トータルでは約１９％の減となっています。

累月（年度合計）

昨年度と比較して、注文住宅は約８８％、賃貸住宅は約１０５％、給与住宅は約１０４％、分譲住宅は約１０５％となっており、トータルは約９９％と若干の減となっております。

コロナ前との比較はトータルで約９７％です。

注文住宅は３月まで１６カ月連続減少中、賃貸住宅は３月まで２５カ月連続増加中と、全国合計での方向性は明確になっている感じがあります。また、分譲マンションは昨年比１１０％、コロナ前と比較しても１０２％と増加しています。

すでに令和５年度がスタートしています。今後も継続的に、富山県・石川県・福井県の動向を中心に、住宅着工について報告していきます。参考にしていただけますと幸いです。