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千羽社 『桜エッセイ』 感想

こんにちは!
文フリで買った本全部に感想を書こうのコーナー第3弾です!

エッセイを紙で読む経験をあまりしてこなかったので、とても楽しく読みました!
1年読んでなくてごめんなさい!

伐採された桜の木

そういうことってよくあると思うんです。僕は覚えているのに、他の人は覚えていない、とか。僕が覚えているそれとは、まるきり違うことを他の人は覚えている、とか。あの瞬間の虚しさったらありません。それまで己が信じてきた記憶を否定されるというのは少なからず不快だからです。でもそういうものなんだと思います。

桜幽霊

美しい言葉で圧倒されました。そして本当に恐怖を感じていたのがヒシヒシと伝わってくる文章。もし桜に魂があるのなら、僕も殺されてしまうかもしれません。その残酷さを理解できるうちに殺されることを願います。

三周年目の桜はすぐそこに

推しを推せる人はすごいですよね。僕もそう思います。それはそれは盲目的なほどに、何かに愛を注ぎ、捧ぐ行為に感嘆してしまうほどです。決意のエッセイ、好きです。

忘れてしまった桜花の背中

幸か不幸か、僕はまだ本を捨てたことがありません。自分の一部を捨てるような感覚になるのかもしれませんし、自分の嫌いな部分を捨て置ける高揚感に包まれるのかもしれません。その瞬間を怯えながら待とうと思います。

桜の咲いたときにまた会いましょう

もしかして、そのボカロシリーズとはカゲプロだったりするのだろうか、と思いながら読みました。インターネットの関係は熱し易く冷め易くて、でもそれが居心地の良かったころもあって、誰もがどこかで元気にやっていたらいいなと思う。とてもしっかりくる文章でした。

葉桜、冴えわたる

ひとりで生きていこうと思っていた頃が僕にもありました。正確にはそう思う時期とそうではない時期を交互に過ごしているだけなのですが。強くて芯のあって、稲穂さんが書いているんだと分かる文章で、エッセイの威力について考えさせられたりしました。

小説 春の息吹、泥棒

自分では世界を変えられない、自分はちっぽけな人間で、何も成せなくて、そういうことを抱えて生きていくのはとても辛くて。気付かないうちにどんどん沼に嵌っていて、でもそんな彼女を救い出して、背中を押してくれる人がいて、本当によかったと心から思えました。マスクが泥棒っていう比喩もすごく好きでした。そして、声が春の息吹である、きっと、つまり希望の象徴として機能していくのも鮮やかで、晴れ渡った気持ちになりました。


1年も放置してしまってごめんなさい。
また一緒に飲んだりお話しできたら嬉しいです。
来年もまた美しい桜が咲きますように。

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