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#3|医療保護入院


 そうこうしているうちに精神病院受診の日がやってきた。叔母は同居するのが無理なら、しばらく入院した方がよいとの考えで、私も仕事をしながら、母を日中1人にはできないと感じたので、入院に賛成であった。
 ただ、母に言うと病院受診さえ拒否される可能性が高いので、母には言わないでおこうとなった。まず、病院に着くと認知症テストが行われ、母は30点満点に近い数字で認知症ではないと診断された。医師に「なんで今日この病院に来たのか。」を聞かれ、市役所で紹介してもらったこと、現在の状況、入院したいことを伝える。母は「私が嘘をついていると思っているのか、騙したな。」と机を叩いて怒りまくった。

 でも、入院させるほか選択肢はなかったので、心を鬼にし、医療保護入院の手続きをした。入院に必要な持ち物も一式持って来ていた。

閉鎖病棟へ

 妄想性障害との診断を受けた母は閉鎖病棟へ入院することになった。
 閉鎖病棟とはその名の通り、出入口は常時施錠されており、病院職員に解錠を依頼しない限り、入院患者は自由に出入りできない病棟である。

 人性で初めて閉鎖病棟に入ってみて驚いたことがある。

1.コップが凶器になる

入院の準備物の中にコップがなかった。
看護師に確認すると、陶器等のコップを割って、自傷する人がいるから禁止にしているとのこと。

2.薬は人間の人格を変える

入院してしばらくして病院に面会に行くと、母の様子は見違えるほど変わっていた。

・覇気がなく、目は虚ろ。
・ほとんど話さない。
・どんどん痩せていく。
・ほとんどご飯が食べられない。
・常にヨダレを垂らしている。
・感情が何もない。

 簡単にいうと日に日に人間らしくなくなっていった。

3.病院は退院後の生活に向けては消極的

 数ヶ月入院し、退院の話も出てきたが、退院後の住居や日常生活についてのサポートは一切なかった。むしろ母の状態は悪化しているようにさえ感じ、とても1人で生活できるとは思えない状況。このままここにいては駄目だと判断して、叔母とも相談し、一旦我が家に引き取り、その後自宅には帰らず、施設を探そうとなった。

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