「どんな仕事しているの?」

 と、よく聞かれます。

 再建外科医です。ベースは形成外科で、再建、中でも頭頸部再建を専門としています。
 そもそも形成外科って何?とも聞かれますが、よく分かりません。ここでは「再建外科」について書きます。
 がんやケガなどでなくなってしまった部分を作りなおす仕事です。

 例えば胃袋がとられたあとどうするかというと、残った両側をつなぎ合わせます。もちろん、胃液が出なくなるので消化に問題が出たり、食べものを入れる最初の袋がなくなるので一度にたくさん食べられなくなったりします。でも胃袋は消化管の一部なので、食べものさえ通れば、おおまかな機能はクリアされます。この、つなぐということが再建です。

 多くの切除術には再建が必要になりますが、たいていは切除した外科医がそのまま行っています。ちょっと複雑なものを再建外科医が担当します。最近、社会的な話題にでるのが「おっぱい」です。再建外科が担当するほとんどの再建は、移植が必要なものか、見た目が重要なものです。最近は外科医のみなさんが気を付けて上手に縫うようになってきたので減りましたが、できものをとった傷をきれいに縫うだけのこともあります。

 再建が必要になる病気はがんがほとんどですが、他にも、けが、骨折、化膿、がんが治った後のひきつれやキズあとなど、たくさんあります。われわれが気にするのは、もとの病気を治すのと同時に行う「即時再建」と、もとの病気がなおった後に再建だけを目的として行う「二次再建」の違いです。「即時再建」の場合は、もとの病気を治すことと再建することのバランスを考えて治療目標を設定しなくてはいけないからです。

 私の専門は頭頸部再建です。首から上の再建です。顔があり、話す、食べるなどの機能もあり、ヒトが人らしくあるためにもっとも大切なところだと思います。この仕事をさせてもらっていることには、とても感謝しております。でも現時点での再建医療は、登山でいうと3合目くらいで、山頂はまだまだ先。それでもついてきてくれるすべての患者さんにはとくに、いつも感謝しております。

 再建外科に興味を持たれた方は、是非「再建手術、承ります」を読んでみてください。尊敬する大先輩が書いた、とてもよい物語です。


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