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北海道アウトドアガイドの勉強の1年

鳥の先生、新谷耕司さんからの繋がりで訪ねた安藤誠さん。「魂のガイディング」を学んでいらっしゃい、と言われて鶴居村にやって来たのが1年前の2020年6月だった。

ガイアシンフォニー6番の冒頭、原野で楽器を鳴らす撮影の企画とガイドをされた方と知って鳥肌が立った。音楽をテーマにした私にはとても印象深い作品だったからだ。

そしてパートナーの忍さんもまたガイアシンフォニーで紹介された「森のイスキア」の佐藤初女さんを敬愛し、学びを実践する方。私も初女さんのその本は今でも大切にして、何かに迷ったら開く本。鳥肌が立った。

久しぶりにガイアシンフォニーという単語を目にして、元の場所に戻ってきたような気がした。

お二人とも愛に溢れる方。give&giveの方。(愛の注ぎ方はそれぞれの方法で)

安藤誠さんとフィールドを一緒に歩くうちに、ガイアは信じられないようなギフトをくれた。

秘密の森でなんと、シマフクロウのカップルの鳴き交わしを間近で聞くことができたのだ。道内での生息数わずか180ほど。そう簡単に出会うことはないだろう、一生かかっても会えないと思っていたので、感激した。ふいに涙がポロポロ流れてきた。昔のアイヌの人たちもかつて聞いていたであろう声。鳴き声が山肌に木霊して、美しいエコーが聞こえ、私は震えた。私はシマフクロウたちのために行動しなければ、と思った。

そのあと、エゾフクロウと私たちは友達みたいに会話をした。エゾフクロウは私たちを仲間だと思ったのだ。

「あー、そうだ。先住民にとっては神聖なものと敬いながらも熊もフクロウも友達だったのではないかな?今までは静かにして人間の存在を隠した方が良いと思っていたけど、同等の立場になっていいんじゃないか。自然の中では皆対等、今は人間と自然に境界ができてしまっているけど、本来そうじゃないんじゃないかな」ということを思った。気づきが来た。Miracle が起き通し。

そして先日の実技試験。

来るのもままならない場所だったこともあって、ガイディング実技のプレゼンは最後までうまくいかなかった。横浜在住の私が北海道アウトドアガイドの資格を取るなんて意味あるのか、と思って最後まで悩みに悩んでしまった。

朝、達古武湖の湖畔に佇み、アオサギやベニマシコを見たり、アオジやコヨシキリの声を聞いていたら、森に囲まれているこの状況にいることが、どんなに特別な素晴らしいことなのか、ふと気づいた。

関東からここに来たら、ここはワンダーランド。都市にないものが全てある場所。私にしか出来ないスペシャルなプレゼンはこれだ!と思った。関東なら標高1,000メートルくらいに行かないと見られないミズバショウが、ここでは標高10メートル以下のところにある。何しろ湿原が10メートル以下にある。

釧路湿原の特別性と湿原を守るのには湿原だけ守るのでなく、水を供給する周りの森も守らないといけないんですよね、、と語ったら、審査員が大きく頷いていた。これは試験の2日前にキラコタン岬で感じたこたこと。そして師匠の言葉。

聞いたことをしゃべるのなく、実感から出る自分の言葉は深く人の心に刻まれる、と試験の最中に気づく。これもギフト。

全てガイアに導かれているのかもしれない、と思った。安藤誠さんに出会ったことも。いろいろなことが拍車をかけて動き出した。

試験の結果は気になるけど、それよりこの1年のうちにもらったギフトが素晴らしくて涙が出る。

全てに深く感謝。

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キラコタン岬(釧路湿原の特別保護区)安藤誠さんでないと案内できない釧路湿原の最奥。ガイアシンフォニー6番の冒頭はここで撮影された。昔は海の底だった、と初めて実感できた。その理解に導くガイドの存在は大きい。
湿地に生えるハンノキは根粒菌を持ち、僅かな窒素を取り込むことができることから湿原に生えることができる。しかし、ある一定の高さになると、倒れて自らが栄養になり、次世代に繋いでいく。

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ヒッコリーウィンドの脇のミズナラの林。夏にはオオジシギ、アオジ、コヨシキリ、センダイムシクイの声が絶え間なく響く。ここにいるだけ何時間も楽しめるワンダーランド。

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建物は安藤誠さんがご自分で建てた。なきゃ創る、がご信条。ギャラリーもバーも素晴らしいです。

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ハイイロミズナギドリの群れ。32,000kmを旅する鳥。しばしオホーツク海で羽を休める。飛ぶ前の助走に水面を蹴るので、水面が荒れる。私は奇跡の場所にいる、と思った。フルマカモメ、コアホウドリ、ウトウ、ウミスズメに出会うことができるなんて、、。

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2月、愛のダンスの始まり。まさにアイヌの古式舞踊のサルルンカムイそのもの。いや、反対。アイヌの踊りがタンチョウそのもの。

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写真を撮らせていただく、と考えなくてはいけない、と教わる。ガイドはお客様にいい写真を撮ってもらわないといけない。そのために写真の勉強も必要だ、と教わる。

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ノビタキはらあちらこちらに。鶴居村はこんな夢みたいなところ。

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オオルリ。なんとphoto by Makoto Ando 私のコンデジで。鳴き方がまだ下手だったなぁ。

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春は木の芽吹きやスプリングエフェメラルな花々が美しかった。クサノオウははじめて知った草花。アイヌ民族は痔疾や便秘の薬として煮出したものを使用していた。

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エゾノエンゴサクはケシ科の植物。ブータンの青いケシにも似た、淡い美しい色の花を咲かす。

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オオバナノエイレイソウは花が咲くまでに15年の歳月を要する。花が咲くまでのあいだ、春先、草木で地面が覆われる前にじっくり少しずつ光合成して地下茎に養分を蓄える。


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忍さんのおむすび。食は思いを伝える。

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