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[読書記録-1]インテリアデザインが生まれたとき

みなさまこんばんは!インテリアデザイナーのSHOKOです。


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今回はインテリアデザイナーやインテリアを学ぶ方向けの本を紹介します。


①基本情報


著者:鈴木紀慶(すずき・のりよし)
出版社:鹿島出版会 
発売日:2015/6/3
単行本:179ページ
カテゴリー:インテリアデザイン史


 いまでこそ当たり前に使われている「デザイン」という言葉がまだ確立されていなかった戦後から、2010年代(書籍出版の2015年頃まで)のインテリアデザインの歴史を書いた書籍です。

 著者は環境芸術家の山口勝弘の発言から、インテリアは建築とアートの間、アート寄りで生まれたのではないかという仮説を立て歴史をたどっている。

 一九八〇年一月号の『インテリア』の座談会で、冒頭に山口勝弘の発言から、インテリアデザインは、《建築》と《アート》のあいだ、それもアート寄りで生まれたのではないかと筆者が推測したことから始まった考察だった。山口は二〇〇〇年代に「アート・デザイン複合体」へと向かうことを予想するかのように、『日本のインテリアデザイン Vol.1 デザインの奔流』(一九九四)で、次のように述べている。 
 
  六〇年代の芸術とデザインの衝突の中で生まれたインテリアの分野は、
 ひとつの自立したスタイルを形成するとともに、それ自体がデザイン
 として洗練され、アート・アンド・デザインというに分野を超えたもの
 として昇華されていったのではないだろうか。

インテリアデザインが生まれたとき p.162 より引用

②要約

まだデザインという言葉がない時代、デザインは工芸や産業という曖昧な言葉の中に内包されていた。

戦前はインテリアデザインを手掛ける事務所がなく、百貨店の室内装飾部が家具販売や室内装飾を手掛けていたそうだ。戦後、渡辺力や剣持勇がデザイン事務所をそれぞれ立ち上げプロダクト、家具、インテリアデザインを手掛けていた。

当時はまだ建築に従属するかたちであったため、インテリアデザインは社会的に確立されてはいなかった。

1960年代頃まで建築家もインテリアデザインとインテリアデコレーション(コーディネート)を混同させている部分や、商業デザインにネガティブなイメージを持っていたようだ。

著者はその根底には日本人の精神構造が奥底にあるのではと推察している。

 ー 江戸時代の階級制度「士農工商」が現代においても、日本人の精神構造の奥底にあって、 
ー中略ー 
根深いものがあり、一〇〇年くらいでは人の価値観が変わらないのだろう。

インテリアデザインが生まれたとき p.100 より引用

当時のイメージであって、現代は変わっていると述べられている。

インテリアデザインの歴史を語るには剣持勇、倉俣史朗の二人が重要と著者は言う。

1960年代以降は倉俣を中心にアートとの関わり、ファッションとの関わりが語られる。1980年代以降は2010年代まではやや駆け足でアートとの関係性が綴られている。

③おわりに

この本を読むと日本におけるインテリアデザインの歴史を大まかに遡ることが出来ます。

こちらの書籍の前哨として「日本インテリアデザイン史」があり、より詳しいインテリアデザインの歴史を確認することが出来ます。

 読んだ感想としては2000年代以降の話や、他にも立ち位置が気になるけど書籍には登場していないインテリアデザイナーもいるので、そのあたりももう少し読めたらよかったなと思いました。 

今回の読書記録は以上となります。
それではまた次回お会いしましょう!

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