春は・・・

山ふかみ春ともしらぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水
式子内親王は春を詠んだ

春がやってくる
全てを覆い尽くしていた雪が解け
全てがあらわになる

今遠くの戦場を思う
山深い場所で砲弾が飛び交い
樹々も人も建物も破壊されている
永久凍土の荒野に流れる血は
その大地を溶かすことなく乾いていくだろう

春が来たとも知らぬ兵士が待つのは
声の届かぬ場所にいる家族からの便りか
平和の呼び声か

思うこと
時を超えて誰かに伝わる
その風景と感情は
今誰かの頬を伝わる涙になる

昴に別れを告げる声が響くのは
青々とした草原をわたる風

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