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【読書】『山へようこそ』石丸謙二郎著

ご長寿番組「世界の車窓から」のナレーションでお馴染みの石丸謙二郎さんのヤマ本。番組のナレーションよろしく山について楽しい登り方をユーモアを交えて伝授してくれている。これから山を登ってみようと思っている初心者の方には持ってこいの本だ。

また、なかなか経験者でも言語化しにくいような暗黙知になってしまいがちな痒い所に手が届くような山の知識も書かれているので、登山歴の長い方が読んでも面白いと思う。特にパーティー登山でのピーク手前で経験のある引率者が初心者に先頭を譲ってあげる気遣いとかは、なかなか登山歴の長い人でも気づかない点だと思う。

上記の他にも自然現象に対する知見は目を張るものがあって、石丸氏のウインドウサーフィンの経験から得た山の風に関する知見は勉強になった。風が見えると言われると胡散臭い気もするが経験者が語ると本当なのだろうと納得してしまう。

ウインドウサーフィンをする人たちは、風葬6メートルと8メートルの違い、16メートルと18メートルの違いがわかる。~中略~このスポーツは、風の強さで使う道具を変える。いつも風速を意識して風に対する感覚が自然と身についてくる。

山では風の強弱が強い「ガスティ」な状態と風向きが左右にシフトしていく「シフティ」な状態がある。「ガスティ」のときは体が飛ばされないように耐えるものの、風が弱まったときによろけて体勢が崩れて事故につながりやすいので注意が必要だ。風が「シフティ」なときはいつの間にか風が巻き風になり歩く方角がいつの間にか変わってルートをロスしてしまうことがあるという。このような風についての知識は初めて知ったことなので有難い。

後半はピークハウントだけではない山の味わい方が書かれている。日本全国の下山後にオススメな温泉の紹介や、山で出会うイカルやルリ等の野鳥を紹介し、山から得られる学びや好奇心の扉へ誘う。うーん、今年はコロナで部屋にひきこもり気味だっただけに山歩きをしたくなってきた。

石丸氏のブログも海や山についての記事がたくさん書かれているのでこちらもオススメである。

石丸謙二朗オフィシャルブログ



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