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【ぼくたちの哲学教室】やっと憧れのシネコヤに行けた話

『シネコヤ』ってご存知ですか?
神奈川県の鵠沼海岸にあるちょっと変わったミニシアターです。
シネコヤのシアタールームには映画館らしい座席はなくて、どちらかというとインテリアショップにあるような二人掛けソファと椅子とサイドテーブルがあります。
『広いお部屋でみんなで映画を観る』という表現がしっくりくる、アットホームな場所です。

おまけに、エントランスには美味しそうなパンが並んでいます。
上映前に注文しておけば、スタッフさんがあったかいパンやドリンクを席まで運んできてくれて、味わいながら映画鑑賞ができるんです。
映画好き・パン好き・カフェ好きにはたまらない、以前から憧れの場所に、やっと行ってきました。
そこで観たのは『ぼくたちの哲学教室』。

外は大雨だったので全然写真撮れませんでしたが、外観も内観もとても洒落ています。


北アイルランド・ベルファストにある男子小学校が舞台のドキュメンタリーです。
校区は内戦の痕が生々しく残る場所。1998年に一応の武装解除はされたものの、撮影中も付近で爆弾が見つかって子どもたちが避難する場面がありました。
そんなこの学校では、校長先生による哲学の授業が主要科目になっています。

小学校といっても、生徒の年齢層は4歳〜11歳なんですよ。4歳から哲学に触れられるなんて!
とはいえドキュメンタリーであり子ども相手ですから、都合よく事は運びません。
昨日グッドボーイだったかと思えば今日はバッドボーイで、次々に問題が起こる、そんな映画です。

登校中の女子小学生に火炎瓶が投げつけられたり、子どもを揉みくちゃにしながら大人たちが中指立てて罵声を浴びせていた場面はあまりの残酷さに頭がくらくらしました。
群衆の罵声は多重音声みたいになっているから全部が字幕にでているわけではなくて、全部理解できてしまってたらつらかっただろうな、とどこかほっとしていた私は卑怯者です。

つい最近の戦争で傷付いた親世代。
その子どもは、「やられたらやり返せ!やられたことを忘れるな!」とパパママに言われてきた子も少なくない。
でも哲学の時間を過ごすことで、だんだん衝動的になっていって、自分の衝動を説明するようになる。
(最年少クラスは)4歳の本当にちっちゃい身体で、なんであんなことしちゃったんだろ?って自問して自問して、やがて「ぼくは本心で相手を傷付けたかったわけじゃない!」に行き着いて、「じゃあ衝動をコントロールしなきゃ」と自分でたどり着く。
それって凄いことですよ。自分を抑え込むことなく、議論の必要性と仕方を学ぶことで自分の考えを通そうとしてるんだもん。

日本の義務教育にはなぜ哲学の授業がないのだろう?
道徳に時間を割くなら、哲学や人権教育を取り入れて欲しいな。
…という話はこちらの記事で既にしましたね。失礼。

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