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【ヴァチカンのエクソシスト】悪魔は罵倒の語彙力が凄いのよ

ホラーの中でも、悪魔祓い系の映画が大好きです。
エクソシスト(1973)やら死霊館ユニバースやらインシディアスシリーズやらが大好きだからこそ、鑑賞前は、もし面白くなかったらどうしよう…と悶々としていました。

というのも、悪魔祓いは、工程や使う道具に至るまである程度手引きがあり、悪魔憑きの現象にもある程度「型」があるからです。

例えば、、
悪魔と会話してはならない
悪魔の名前を聞き出す
聖遺物で応戦
などです。

また、悪魔憑きに起こる現象としては、
白目をむいて神と周囲を冒涜
標的とは思えない声と言語で話す
ポルターガイスト現象を起こす
幻覚を見せ幻聴を聴かせる
霊、動物、自然災害も自由自在
などがあります。

つまり悪魔祓い系映画に親しみがあるほど、【これからどんな描写があるかファンがわかっている状態】なので、差別化が難儀なのです。

ところが本作は型破りなアモルト神父をモデルとすることで、「え!?悪魔に冗談飛ばしていいの!?」と冒頭から破天荒枠決定ですごく面白かった。

今作の悪魔祓い現場はスペインの修道院。
地元のトマース神父はまだ若く、悪魔祓いには縁がないために、アモルト神父が派遣されてきます。
このトマース神父が悪魔に「〇〇野郎!!」と過去を罵倒されて、グッズグズに泣きながら落ち込むシーンが私は大好きです。
とても人間的で、弱く、素直なのです。

やがて重要なシーンとして、2人の罪の告解が行われます。
アモルト神父の罪とトマース神父の罪。それぞれの心にへばりついている許せない過去の自分の行いが、人間臭くて見応えがありました。
その過去が、前半から語られている「悪魔祓いの依頼のうち、98%は精神疾患からくるもの。だが2%は――」に通じているのも、なんとも痛々しい説得力ではないですか。

怖さはあまり強くなく、活劇の色が濃いのでホラーが苦手な人も見られると思います。
(1人だと怖いかもしれないけど、映画館ならみんな居るし)

それにしても悪魔の語彙力って凄いですよね。
あいつらだけには罵倒されたくない。

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