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673スナク新首相の約束

イギリスで2か月間に3人目の首相誕生。ジョンソン首相の不祥事退陣を受けて、トラス女性首相が誕生しましたが、財政規律を無視した政策方針が国の経済を壊すのではないかとの国民の怒りで辞任し、スナク首相が誕生しました。
 短期間に総理がコロコロ変わるのは危機的状況。わが日本も他人ごとではありません。
 スナク新首相の官邸前での演説報道で聞きました。「今まさに、我が国(イギリス)は深刻な経済危機に直面している。新型コロナウイルス感染症の余波は、今も続いている。ウクライナにおけるロシア・プーチンの戦争は、世界中のエネルギー市場とサプライチェーンを不安定にしている」。
 プーチンによる領土侵攻や、それを覆い隠す手段である世界規模のエネルギーや食糧危機の脅しに屈しない。そのためにイギリス政治からバラマキ的要素を排除して、経済の自立性を回復する決意宣言と受け取れました。トラス前首相の大甘民政への決別であり、同じ党(保守党)内での政権交代なのに大胆な政策転換。みごとな演説でした。
 同じ議院内閣制の民主主義国。地勢的にも同じ島国。かつ立憲君主制。
 わが日本も、いつまでも放漫な財政赤字、バラマキ政治を続けている場合ではないでしょう。岸田首相は「国民の声なき声に耳を傾ける」約束をしていたはず。
 
 ところでイギリスの首相でわが国でも有名なのはチャーチルかサッチャー。
 このうち記憶が新たなのは女性初の首相であるサッチャーでしょう。アメリカのレーガン、ソ連のゴルバチョフとの3人で、世界を共産主義の恐怖から救いました。このときの勢いで、共産主義を標榜する専制主義論者どもを世界の果てまでも追い詰め、息の根を止めていれば、今の習近平の征服野望もプーチンのウクライナ侵略も金正恩のミサイル暴発も起こり得ませんでした。
「貿易や経済や政治体制とは別物」との不可思議な論理で、天安門事件で瓦解寸前だった中国共産党に救いの手を差し伸べたのが、わが日本の経済界であり、政治家たちです。悔やんでも悔やみきれないというのが、世界の民主主者および日本の一般国民の声なき声でしょう。
 
 ところでサッチャーが最初に就いた教育大臣としての業績が、「教育充実にミルク無償提供は有益無害」というものでした。教育の質とは何かについての彼女の方針は明確。限りある教育向上財源の有効活用がミルク無償配布であるはずがない。
 よく分かる論理です。しかし教育の前に生徒を腹いっぱいにすることが先決だなどと煽るグループがあるのですね。バラマキ論の原点のような主張です。腰が引けた政治家は、おかしいと肌感覚で感じても、反対表明すると叩かれると応じてしまう。
一事が万事。基本が肝腎。衣食住を政府にたかるようになれば、栄華を誇った古代ローマを内部から蝕んだとされる「パンとサーカス」の再来です。

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