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日大理事たちはどうする 公的組織の信用失墜

 不祥事が続く日本大学で林真理子理事長が給与の半額を返上するとの記事。記事では酒井健夫学長と沢田康広副学長が辞任させられる方向とも書かれている。
学校法人は特別法に基づくきわめて公益性が高い組織である。建学の精神に基づき社会に有意な人材を世に出す責任を有する。それが故に税の非課税その他の特権を与えられている。日本大学は最大規模であり、学校法人の中でも模範的でなければならない。
そうした観点から役員の責任の取り方を考えると、外部からの批判の的になっている二人の辞任で済ませてよいものだろうか。
理事構成をみると、林、酒井、沢田氏を含め24人が就任している。そのうち9人を除いてすべて日本大学の出身者である。( 理事・監事の紹介 (nihon-u.ac.jp) )
林理事長の本業は作家(ボクも著書を読ませていただいているファンの一人)であり、その気はなかったが、母校の危機を救うために火中の栗を拾う決断をされた。その気持ちは全理事に共通していたはずだった。
にもかかわらずとんでもない不祥事がまた起きた。そして事後処理が公的組織にあるまじきものだった(と国民に受けとられている)。この種の事件が起きる際にはさまざまな噂が飛んでいるものだ。だが林理事長の耳には入っていなかった(と報じられている)。では他の理事ではどうだったのか。
林理事長は報酬(2400万円)の半額返上で襟を正すそうだが、こういうときは全額返上したほうが、示しがつくのではないか。林さんの場合、作家収入があるわけで理事長報酬にこだわるのが分からない。トップが無報酬を貫くことで、母校の歴史を護る意識が戻ると思われるからだ。
江戸の町を震撼させた桜田門外の変(1860)では、大老井伊直弼(現在の総理大臣に相当)を白昼に天下の大道で殺害された。災害犯の処罰に比較して教科書などでは触れられていないが、護衛の者に対する処置が後日下されている。( 桜田門外の変 - Wikipedia )
井伊家は徳川四天王と言われて尚武の家柄。その家臣が60人も付き従っていたにもかかわらず、わずか10数名での襲撃を許し、無残に首級を挙げられてしまった。家名の恥である。下された処分は、戦闘がもとで死亡した8人を除きすべて厳しい。重傷者5人は流罪で死刑こそ免れたが、家禄没収。軽傷者は切腹、無傷だった者は斬首の刑。もちろん家禄没収で妻子は離散である。
武威の家柄であるにもかかわらずその部面で無様をさらしたからである。日大が今回の麻薬等の不祥事を大学にとってどれだけ本質的な事件と受け取っているか。各理事それぞれの所信なり声明なりをマスコミは聞き出して公表する責務があるのではないか。

【2023年11月26日共同通信】
 アメリカンフットボール部の薬物事件に関連し、日本大の酒井健夫学長と沢田康広副学長が理事会側からの辞任勧告を受け入れる方向で調整していることが26日、関係者への取材で分かった。2人は引責辞任に納得していないが、学内の混乱を避けたい意向があるという。林真理子理事長を減給50%とする処分案とともに、27日以降に学内の協議が進むとみられる。
 薬物事件を調べた第三者委員会の報告書は、沢田副学長が7月に寮で大麻のような不審物を発見してから警視庁に報告するまでの「空白の12日間」が「(大学の)信用を失墜させた最大の原因」と指摘。酒井学長は早い段階で報告を受けたのに問題視せず、林理事長への報告も遅れた。
 関係者によると、22日の理事会で酒井学長ら2人に辞任を要求する方針がまとまった。林理事長は減給を受け入れる意向を示した。27日が辞任勧告への回答期限という。
 薬物事件を巡っては、文部科学省が改善計画を今月中に提出するよう日大に要請している。

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