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プーチン式の似非民主主義 日本政治が問われている 社説論評

 70%が投票し、そのうち80%が支持した。したがって自分は正当に支持されている大統領である。プーチンはそう言いたいようだ。
 しかしそれがインチキであることはだれもが知っていなければならない。読売新聞緒の社説の冒頭に「立候補や投票の自由が保証されてこそ、選挙は民主主義の制度」とある。そのとおりであり、異説(例えばウクライナ侵攻は間違い)を唱える者は立候補させない。プーチン以外の候補者はみなプーチンの小型版。家で寝ていようの投票ボイコットは許さない。
 これで民主主義を名乗られては迷惑する。日本政府はそういう声明をなぜ出さないのか。少なくとも官房長官が記者会見でそう吠えたという報道を耳にしない。岸田総理や林官房長官、上川外務大臣は内心で「日本もロシア型選挙が望ましい」と思っているのではないか。そう国民が疑念を持っても仕方がない。
 それでもロシアでは約3割が棄権し、投票者の約2割がプーチンを選ばなかった。プーチンを打倒してくれとロシア国民は西側(真の民主主義国)に祈っているのではないか。

 プーチンは核兵器を使うと脅している。西側がそれにおびえてウクライナへの支援を抑制している。それで戦争が長引いている。構図は簡単なのだ。今回の本格侵攻の前、バイデン大統領がアメリカ軍は参戦しないと宣言した。これが間違っていた。 
 プーチンが核使用を口にする以上、その可能性を前提に考えなければならない。使わせ内にはどうするか。通常兵器戦争でコテンパンに叩いてしまうことだNATOがウクライナに加勢してモスクワまで攻め込んだらプーチンはどうするか。①キーウ、ワシントン、ロンドン、パリ、ベルリン、東京に向けて核ミサイルを発射する。②命乞いをして降参する。このどちらかになるが、やってみなければわからない。だが人類にツキがあるならば、プーチン側近が彼に各ボタンを押させないだろう。
 ウクライナ単独でロシア戦線を支えている。ロシア軍は回りが怖れるほど強くない。専制主義のペルシャ帝国の大軍が民主主義の古代ギリシャ軍に完敗した故事もある。ヨーロッパ各国が正規軍の1割を参戦させるだけでロシア軍は崩壊するはずだ。
 そしてこれはロシア以上に専制独裁体制の中国にも当てはまる。ロシアを開放した後、四方から民主主義の包囲網を築き、経済的には本気の断絶をする。これで共産党独裁体制を打破して人民を救い出す。日本の政治に期待されていることはざっとこういうことだ。
 そのような怖ろしいシナリオを言うなよという声が聞こえてきそうだ。でもこれはボクの妄想ではない。日本国憲法にそう書かれているのだ。
 前文の第2段落の後半部分。「われらは、平和を維持し、専制と隷従、
圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しよう
と努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。」ここで追放すべきとされる対象は、プーチンであり、習近平であることはだれが読んでも異説はないはずだ。 

読売新聞社説 プーチン氏5選 「圧勝」を作り出した強権体制 2024.3.19

 立候補や投票の自由が保証されてこそ、選挙は民主主義の制度でありうる。ロシアのプーチン大統領の「圧勝」は、長期にわたる強権体制の産物でしかない。
 現職のプーチン氏が大統領選で通算5度目の当選を果たした。得票率は80%を大きく超え、投票率も70%を上回った。
 プーチン氏は「この選挙は国民の信頼の結果だ」と勝利宣言したが、これらの数字が有権者の胸の内を正しく映し出しているとみる人はどれだけいるだろうか。
 プーチン氏のほかに立候補した3人は、知名度も経験も不足していた。プーチン氏との政策論争はなく、誰も政権批判を展開しなかった。選挙の体裁を整える役回りを担っただけだろう。
 実際には、政権に異を唱える人物は排除されていた。ウクライナ侵略に反対する元下院議員は、立候補手続きに不備があるとして、出馬を認められなかった。反政権運動の指導者ナワリヌイ氏は2月に不審な獄中死を遂げた。
 プーチン氏が本当に「国民の信頼」を得ているという自信があるのなら、政敵を次々と追いやる必要はないはずだ。内心では、選挙を通じて国民の不満が表面化し、強権体制に綻びが生じる事態を恐れていたのではないか。
 そもそも、プーチン氏の5選は、自らがお膳立てしたものだ。2020年に改正されたロシア憲法は大統領の3選を禁じる一方、現職大統領の任期については、この上限規定の計算から除外した。
 これにより、プーチン氏は今年から新たに2期12年続投することが可能になった。議会や司法も、政権の影響下にあり、チェック機能は期待できない。
 ソ連が崩壊して、ロシアは民主主義制度を導入したが、プーチン政権下で三権分立も、選挙も、形骸化が進んできた。政権に反対すれば迫害を受け、不利益を被る体制は、ソ連の独裁指導者スターリンの恐怖政治を想起させる。
 プーチン氏は、「欧米の圧力に対抗する強いロシア」を強調し、国民の愛国心に訴えかけることで一定の求心力を維持してきた。
 ウクライナ侵略はその象徴となっている。今回の選挙で、ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州の支配地域とクリミアの住民に投票を強制した。明らかな国際法違反である。
 プーチン氏のロシアは世界秩序と民主主義に対する脅威にほかならない。日米欧は連携を深め、抑止力強化に努めねばならない。

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