見出し画像

633生命維持装置 費用負担を言うのは気が引けるが…

ネットにあった下記の記事について。
自民・高市氏 昭恵夫人到着まで安倍元首相の生命維持処置を依頼「苦しみ抜きました」病院との連絡役― スポニチ Sponichi Annex 芸能
自民党・高市早苗政調会長(61)は奈良県が地盤である。ツイッターで安倍元総理の遭難について振り返っている。
― 「金曜日は九州出張を取り止め、翌朝まで、安倍元総理が搬送された奈良県立医大との連絡役を続けました」と、地元が奈良の高市氏が重責を担ったことを明かした、「昭恵夫人が病院に到着するまで生命維持処置をお願いしたことが正しかったのか否かと苦しみ抜きましたが、ご葬儀で昭恵夫人の喪主あいさつを伺い、救われました。元総理が最期に手を握り返したと」とつづった。 ―
安倍さんは至近距離から撃たれており、直後の報道でも心肺停止のようなことを言っていた。即死に近かったか、蘇生はほぼ不可能な状態での搬送だったのだと思われる。夕方の死亡発表後の記者会見での担当医師の治療説明も「輸血を100単位以上施した」などにとどまり、手の施しようがなかったことがうかがわれた。
撃たれたのは午前中、死亡発表は夕方5時以後だった。どのような治療項をしていたのか。質問した記者も疑問を持ったのだろう。
それが高市さんのツイッターで明らかになった。これが今回取り上げた記事のポイント。昭恵夫人が到着したときに、まだ暖かい体に障らせてあげようと配慮したのだろう。現に昭恵夫人は「手を握り返してくれた」と感謝している。肉親の情に配慮した対応だとボクは評価したい。記事を読んだ多くの人も同じ思いだろう。
そのうえで問題提起したいのだ。そしてこれは自民党の社会部会長も経験し、社会保障に関心が高かった安倍さんも期待することだと考える。
それは医師がもはや“生還不能”と判断した以降の生命維持装置稼働にかかる全経費をだれが負担するのが、社会保障制度として正しいかである。
わが国は国民皆保険。国会議員の安倍さんがどの医療保険に加入していたのかは知らない。健康保険か、国民健康保険か、共済組合か。加入先保険がいずれかに関わらず、医療給付は同じである。そして今回の蘇生努力に要した費用は、加入先保険に請求される。輸血費用一つとっても半端な金額ではないはずだ。
医学的には今回の治療は最初から成果が見込めなかった。同様なケースでは強い要請がない場合、医師の判断と家族の了解によって、長時間の延命措置をしないのが普通ではないか。しかし遠距離を取るものも取らずに駆けつける家族の気持ちを忖度すれば、それまで生命維持装置で心肺を動かす配慮も分かる。ただしその間、医療スタッフが他の患者に向かうことができないなどの問題が派生する。医療保険の運営上も疑問であろう。

ではどうするべきなのか。ポイントは実は簡単なのだ。わが国での治療行為の基本は、患者と医療機関の間での契約であり、そのうちでどこまでを保険が費用負担するかは、厚生労働大臣が診療報酬として設定することになっている。であれば治療効果が期待できる間は保険がしっかり負担し、見込めなくなった時点以後は自費診療にするという方針を明確にすればよいのである。
これで患者サイドの満足、病院側の経費回収、そして健康保険財源の有効活用のすべてが達成される。テレビドラマなどで、周囲がもうやめなさいと静止しているにもかかわらず心臓マッサージをやめない医師が描かれるが、患者サイドの要請による自費負担分野と整理されれば、だれがその費用を負担するのかと心配せずに安心して見ていられることになる。
なお本件で奈良県の医療費審査機関が保険給付を認めない方針とか、奈良県立医大病院が保険請求をしないことにしたとか、それを知る情報は今のところない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?